映画『岬の兄妹』初日舞台挨拶が3月1日、都内で行われ、俳優の松浦祐也、和田光沙、そしてメガホンを取った片山慎三監督が登壇した。

足に障がいを持ち、職を失った男・良夫(松浦祐也)が、自閉症の妹・真理子(和田光沙)の売春を斡旋していく様を描いた本作は重い題材ながら、ポン・ジュノ監督、白石和彌監督、香川照之、あいみょん、尾崎世界観ら各界著名人が絶賛。話題が話題を呼び、公開前に拡大ロードショーが決定していた。
韓国のポン・ジュノ監督や山下敦弘監督の元で研鑚を積んだ片山監督は、これまで『TOKYO!』(08)、『母なる証明』(09)、『マイ・バック・ページ』(11)、『苦役列車』(12)などに助監督として携わり、本作で長編デビュー。『岬の兄妹』では脚本・編集も自身でこなし、一年間、季節ごとの撮影を繰り返し完成まで二年以上かけた、妥協なき作品だ。

脚本段階から入ったという松浦は、片山監督とは山下組以来の仲。松浦はサムギョプサル屋に呼び出され、ざっくりとオファーを受けたそうで「サムギョプサル奢ってもらったから断るわけにはいかないぞって感じで、なんとなく進んだ」と振り返る。
同年代で気心も知れている。抜擢理由はもちろんそれだけでなく、松浦の演技力への絶対の信頼があってこそ。片山監督は「わりと良夫っぽいところがあったので、大丈夫かなと思いました」とコメント。これに松浦は大慌て。「普段は文学青年!小手指の本屋のせがれですから!普段は全くそういう感じではないんです!(笑)」と否定していた。

一方、和田はオーディションで真理子役に決定。片山監督は「和田さんはこういう役をやっても持ち前の明るさが滲み出るし、笑えるシーンも作れるんじゃないかと思った」と抜擢理由を説明。松浦と和田の掛け合いについても「息がすごくあって、本当に兄妹に見える。二人が並んだときのバランスが良かった」と絶賛すると、和田も「確かに松浦さん、本当にお兄さんみたい。何やっても返してくれるという安心感があった」と納得。
しかし、和田が「とくに脚本がない、結構即興の部分があったので、そういうときに絶対的な安心感があった」と続けると、片山監督は「脚本ありますよ?」と思わずツッコミ。「これはね、(季節ごとに撮影をしたため)脚本は最後まではなかったんですけど、演じるときはセリフはありますから!」と観客に実情を説明し、松浦も「これから賞レースに出るとき、脚本がないって言っちゃうと、脚本賞にノミネートできないから(笑)」とニヤニヤ。和田も「小出しにされてましたね(笑)」と訂正していた。

自主制作映画が単館上映から口コミで広がり拡大ロードショーとなったことから、昨年大ヒットした映画『カメラを止めるな!』に続くのでは?と噂される本作。そのことについて聞かれると、松浦は「つい先日、ニュースになっていましたよね。和解したと。今回の映画で、片山さんが企画を立ち上げたときに『兄妹の話にしたらどうだ?』と根幹の部分を提案したので僕なんです。だから僕が原作ということになりますので、大ヒットしたあかつきには、ごねまくって、原作料がっぽりいただこうと思っています。所沢あたりに土地を探して、これくらいの値段で一軒家買えるんだということも調べつつ、楽しみに待っております(笑)」とエッジの効いいたコメント。会場の笑いを誘っていた。

一方、片山監督は「一人でも多くの人に見てもらいたい内容ですし、今の日本映画にはないような要素がたくさん入っているので、こういう映画でもお客さんが入るんだよっていうことを示せればいいかなと思います」と映画界への思いも語っていた。
ストーリー

港町、仕事を干され生活に困った兄は、自閉症の妹が町の男に体を許し金銭を受け取っていたことを知る。罪の意識を持ちつつも互いの生活のため妹へ売春の斡旋をし始める兄だったが、今まで理解のしようもなかった妹の本当の喜びや悲しみに触れ、戸惑う日々を送る。そんな時、妹の心と体にも変化が起き始めていた...。ふたりぼっちになった障碍を持つ兄妹が、犯罪に手を染めたことから人生が動きだす。地方都市の暗部に切り込み、家族の本質を問う、心震わす衝撃作。
(c)SHINZO KATAYAMA
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