日本の植民地支配に抵抗した「三・一独立運動」から100年を記念し、キム・ヨナらが歌うテーマソング「3456」が話題になる中、1日、記念式典が行われた。100年の節目とあってデモや集会も大規模なものとなり、日本の総領事館前に設置される計画だった徴用工像は警察の阻止により、100メートルほど離れた場所に設置された。
また、記念式典の演説で文在寅大統領は「南北分断の原点は日本による独立運動家への弾圧にある。歴史を正すことこそが堂々と歩むべき道だ」と指摘、「約7500人の朝鮮人が殺害され1万6000人が負傷した」と訴えた。この演説に対し、自民党の会合では抗議すべきだという意見も相次いだ。青山繁晴参議院議員は「"これは根拠がない数字だ"ということを、外務省は正式に反論すべきだ、という指摘がたくさんあった」と明かした。
文大統領は昨年、国定教科書を改訂。これまで日本による統治が終わった第2次世界対戦後の1948年を建国の年としていたが、三・一独立運動が始まった1919年に変更した。また、100年を迎えるにあたって、戦後初めて「独立活動家記念館」で閣議を開催、「親日を清算し、独立運動に礼を尽くすことが民族の精気を立て直し、正義ある国に進む始まりだ」とも述べている。
2日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した元在韓国特命全権大使の武藤正敏氏は「韓国の独立は勝ち取ったわけではなく、終戦で与えられたものだ。三・一独立運動がなぜこれほど大事かというのも、日本に抵抗し民族の士気を盛り上げたという歴史を大事にしているからだ。だから独立宣言も日本がけしからんことをしているというものではなく、民族の歴史が書かれた極めて崇高なものだ。ある意味でブルジョワの独立運動だったので、抗日パルチザン運動の北朝鮮とは性格がだいぶ違う」とした上で、「日本だったら、事実関係はどうだったかということを積み上げて、歴史の真実は何だったかということを考える。しかし韓国は、正義は何か、自分たちにとって何が正しいかを考えて、歴史の事実をそれに合わせて組み立てようとする。だから危なっかしい側面があるし、事実や根拠がないことを平気で言ってしまう」と話す。
また、文大統領が言及した "親日を清算する"という点については「親日というのは、戦前日本に協力した人たちを指していて、その子孫が先祖から継承している財産を没収するという考え方がある。しかし現実を直視すれば、朴正煕大統領時代の"漢江の奇跡"で中心になって経済復興に邁進したのは、昔からのリーダーだった人たちだ」と指摘した。
こうした文政権の動きに対し、韓国メディアからも疑問の声が上がっている。先月15日付の朝鮮日報は「政府が非理性的な反日感情でこじつけに近い要求を乱発し韓国の外交的立場を困難にしている」、同日付の中央日報も「日本に対する誤解を正す必要がある。93年河野談話や95年村山談話で日本は反省や謝罪をしている」としている。そんな中、今週は徴用工訴訟で最高裁が賠償命令を出した三菱重工に対し、新日鉄住金に続いて2例目となる資産差し押さえが行われる予定だ。
「韓国に出ていく日本企業は減ってきていると思うし、結局は韓国に跳ね返ってくる。しかし韓国のマスコミは被害者に寄り添うべきだ、という"大本営発表"だ。日韓関係を考えた発言をしない限り、日韓関係は良くならない。歴史には断絶はなくて、戦前も戦後も歴史だ。事実を客観的に見て、日本が戦後、韓国に対して行った色々の協力について理解してもらえれば、"謝罪や反省をしていない"なんてことにならないと思う。歴史的事実をきちんと踏まえて客観的に理解してやっていこうということだ」(武藤氏)
また、韓国政府が発表した世論調査では「日本に好感が持てる」が19.0%だったのに対し「好感が持てない」は69.4%に上っている。
武藤氏は「韓国では"日本が好きだ"と言いにくい雰囲気がまだ残っている。世論調査の時に見るのは、日本の政治と歴史のイメージだけで、交流は頭に入っていない。おそらく"好感が持てない"と思っている人は半々か、それよりも少ないと思う。だから反日を煽っても支持率は上がらないと思う。日本での同じような調査では、嫌韓感情が77%ぐらい出てきている。こちらの方が驚くぐらい大きい」と話していた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)