先月27日から2日間の日程でベトナムにて行われた米朝会談。その決裂に関して北朝鮮事情に詳しいコリア・レポート編集長の辺真一氏(71)は率直な感想を述べると、「ふりだしに戻った」と語った。さらに辺氏は「妥協の産物を持ちかえれば、国に帰って叩かれる。それを防ぐために決裂を選択した。気変わりした」とトランプ大統領の側に立って今回の経緯について補足説明すると、一方では北朝鮮の金正恩委員長については「それはないだろう、という心境。失望と落胆しかない」と続けた。
今回の米朝会談においては、交渉決裂はもちろん、金委員長の列車移動も注目を集めた。長期間、国内における金委員長の不在状態について、東京大学大学院卒業で元日経新聞記者の鈴木涼美氏(35)から「北朝鮮のように不安定な国でトップ不在が長くなることについての不安は無かったのか」と話しを向けられた辺氏は「不安定ではなく、政治的にはものすごく安定している」と即座にこれを否定すると、金委員長が列車でベトナムに向かう際の、駅の送迎シーンを例に挙げてその理由を述べた。
「党のナンバー2から軍の幹部が勢揃いし、90度にお辞儀をして送り出している。あのシーンを見れば、一体全体どこの誰が金委員長に楯突くのか。もうすでに、俗にいう粛清はほぼ終わっている。そのような絶対的自信を持って平壌を空けたということであって、クーデターは起こり得ない」
そして話は会談期間中、金委員長の車を取り囲むようにして警護に奔走する背広姿の男性たちに話が及ぶと、辺氏は興味深い事実を明らかにした。
「背広を着ているが、全て軍人。北朝鮮には護衛司令部があり、国内で行われる朝鮮人民軍の軍事パレードで最初に行進を行うのがこの護衛隊。すなわち金委員長の決死隊。思想的には誰よりも強固で、誰よりも金委員長に忠実な面々ということになる」
さらに辺氏は、金委員長が最も恐れていることに「側近による暗殺」を挙げ、次のように続けた。
「1980年に韓国で起こった時の独裁者・朴正煕大統領の暗殺事件が影響している。朴正煕大統領は絶大的な権限を持っていたが、一瞬にして政権が崩壊した。これは側近による暗殺であり、この出来事は金委員長にとっての教訓となっている。そのためいくら優秀でも労働者や農民から信頼できない人物が選抜されることはなく、国のトップである金委員長も世襲だが、北朝鮮のボディガードもまた世襲。すなわち、(金委員長の)祖父を支え、父を支えた三代目が、金委員長を支えているんです」
この辺氏の話にスタジオから驚きの声が上がったが、MCを務める千原ジュニアが「そんな流れで来ているのに、親戚のおっさんは殺すんですね」と、暗に2013年に粛清された張成沢(チャン・ソンテク)氏の件について言及すると「金正恩委員長からすれば、親戚と言っても血がつながっていません。一族ではありませんし、木に例えると“枝”にすぎない」と話した。(AbemaTV『Abema的ニュースショー』より)
(C)AbemaTV
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▶「金委員長が今最も恐れるのは、側近による暗殺」辺真一氏が語った興味深い北朝鮮事情
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