(柔術の練習に取り組んでいる白川。これからグラウンドも大きな武器になりそうだ)
昨年8月にレスラーデビューした“闘魂Hカップグラドル”白川未奈の存在は、女子プロレスファンの間でも少しずつ定着している。主戦場はデビューしたベストボディ・ジャパンプロレス(BBJプロレス)と東京女子プロレス。グラドルとしてのビジュアルや話題性だけでなく、人気のベースになっているのはプロレスに取り組む真剣な姿勢だ。
キャリア半年、目下のテーマはシングルマッチ初勝利となる。2月8日のBBJプロレスでは同期デビューの田村依里子と対戦したが、ムーンサルトプレスで3カウントを奪われた。BBJプロレスでしか試合をしていない田村よりリングでの経験値は高く、必勝を期していただけに、白川はリングを降りても悔し涙が止まらなかった。
結果を出すためには、実力の底上げも重要。最近ではプロレスの練習、ウェイトトレーニングに加え、プラスαを求めてブラジリアン柔術の練習にも励んでいるという。「前から興味があったんです。機会があれば試合にも出てみたい」と白川。まだ初心者ではあるが、実際に柔術を体験してみて「プロレスにも活かせる要素ばかり」と感じたそうだ。
「ウェイトトレーニングでパワーをつけるのはもちろんなんですけど、寝技もしっかりできる選手になりたい。ねちっこく攻めていくことでチャンスも生まれると思う。鈴木秀樹選手のようなファイトスタイルは理想の一つですね。『キャッチ・アズ・キャッチ・キャン入門』(鈴木の著作)も読んでます」
(2月28日に行なわれたBBJプロレス記者会見。前回、白川に勝った田村(写真右端)は竹林早苗と組んでチェリー&バンビと対戦)
デビュー戦で“グラマラス・ストロング・スタイル”で上を目指すと語った白川だが、レスラーとしてのタイプ、スタイルはまだ確立されてはいない。柔術の練習で武器を増やし、闘い方の幅を広げることも重要だろう。最近の試合では、スリーパーホールドの絞め方や足のフックの仕方など、細かい部分で練習の成果が発揮されているようだ。
BBJプロレスの次回大会は3月6日の新木場1st RING。ここで白川は米山香織と対戦する。今年でデビュー20周年、コミカルな試合ぶりで知られるものの、ここ一番での勝負強さも持つ選手だ。白川も「米山選手は小柄だけどスピードもパワーもある。何より会場のお客さんの心を掴むのがうまい選手ですね」と言う。そして、そんな相手だからこそ今の自分には意味があるとも考えているようだ。
「私はデビューからずっと、プロレスに対して根詰めてやってきたんですが、そのことでプロレスを楽しむ感覚を忘れていたかもしれない。米山選手との試合は大会の第1試合、プロレスを楽しんで、その上で勝ちを狙いたいと思います」
“米山ワールド”に翻弄されてしまう可能性ももちろんあるが、現時点ではそれも大事な経験だ。試合ごとに成長していく姿をファンは見守り、楽しんでいる。
文・橋本宗洋
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