3月8日ミャンマー・ヤンゴンで開催されるONEチャンピオンシップ「REIGN OF VALOR」に日本の内藤のび太こと内藤禎貴が出場する。昨年9月ストロー級タイトル戦でジョシュア・パシオに敗れて以来5カ月ぶりのONE参戦は、元王者の2019年タイトル戦線への再殴り込みをかけた試合となる。
本来日本初上陸の主役になるべき存在のひとりだった。先行し2016年からONEチャンピオンシップに参戦。フィリピンの新進気鋭パシオ、アレックス・シウバと戦いを繰り広げ、粘り強いレスリング技術でストロー級王座に二度君臨し、3勝2敗。敗戦した試合も接戦の判定によるものだ。
内藤はここ数年のストロー級という階級を牽引してきた代表的な選手という意見に議論の余地はないと思われるが、一方で急激に進歩を遂げたこのアジア発のMMAリーグの中で変化を求められて来たことも確かだろう。それが明確となったのが、前回敗れたストロー級の防衛戦での判定結果だった。
このパシオ戦で内藤は試合全体を通してテイクダウンを奪いキープする場面が多かったものの、1ラウンドでパシオが見せた攻めの積極性が支持される形となった。ここ数年で徐々に醸成されてきたONEのルール解釈の中でもこの内藤vsパシオのタイトル戦は、寝技でのキープよりも打撃による評価を取るという流れを明確にした最たる例といえる。
前述でも触れたが、3月31日の東京・両国国技館大会で内藤のび太の試合が組まれなかったのには、日本から第2、第3の参戦選手が登場し、日本人激戦区となってしまったONEストロー級戦線という状況もあるだろう。「第2の男」鈴木隼人の挑戦が決定していたものの、事前のメディカルチェックで不調箇所が見つかり中止に。代役として参戦した猿田洋祐がパシオに勝利しストロー級タイトルを奪取という目まぐるしく移る状況で、両国でのストロー級戦を組むのはスケジュール的に困難だったものと予想される。ファンとしては「猿田vs内藤」の日本人対決を期待したかったものだが、ONEタイトルを賭けた日本人対決は今後も予定されるであろう日本大会に夢をつなげたいと思う。
今回のヤンゴン大会で内藤は40歳の大ベテラン、ルネ・カタラン(フィリピン)と対戦する。フィリピンといえば一大勢力となっているトップチーム、ラカイを想像するが、カタランは散田などの打撃をベースにフィリピンの総合格闘技をリードしてきた老舗ファミリーの長男。打撃のカタランと寝技の内藤という、クッキリと特徴の違いが感じられるカードである。
ONEには黎明期から参戦し、元ストロー級王者アレックス・シウバやデェダムロン・ソー・アミュアイシルチョークといずれも内藤が勝利した選手に敗れているものの、現在は5連勝中と好調だ。
これまで「日本人の階級」としてリードしてきたストロー級。王者・猿田洋祐が前王者、ジョシュア・パシオとのダイレクトリマッチを4月12日にパシオの地元フィリピンで行うことが決定しているが、その試合の結果を問わず、内藤・カタラン戦の勝者が次期挑戦者になる可能性も十分考えられる。35歳とMMAファイターとしてはベテランの粋に入ろうとしている内藤のび太の2019年のチャレンジはヤンゴンから始まる。
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