先週発売された『未来のセックス年表』。障害者の性や性風俗で働く女性のサポートを行うなど、社会的な切り口で性問題の解決にも取り組んでいる一般社団法人ホワイトハンズの坂爪真吾代表が執筆したものだ。
同書の中で、坂爪さんは来年には単身の高齢女性が"ジジ活"を始めるという。そして2025年にはセックスレスの夫婦がマジョリティになり、女性用風俗が増加すると予測する。さらに注目されるのが、AIなどのテクノロジーと性のかかわりだ。2032年には障害者・高齢者のセックスをテクノロジーが補完するようになるとも予測している。「今は我々のような団体がアスタッフを派遣して射精介助を行うといったサービスをしているが。テクノロジーが発達すれば全てロボットで代用できるようになると思う」。
8日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、そんなテクノロジーの進化が私たちの性をどう変えていくのか、またその弊害について坂爪氏と考えた。
「ロボットとのセックスは可能になるだろうし、変な話だが、普通になるのではないだろうか」と断言するのは、AIに詳しい公立はこだて未来大学の松原仁副理事長だ。「何十年かしたら。人間相手が面倒くさいとかそういう人たちにとって、それの手段をAIとかロボットが提供するというのは普及してくるんじゃないかと思う。日本は潜在的にラブドールとかそっちの技術が強いので、世界最高の製品が日本からという可能性はある」。
すでに欧米ではAIを搭載したセックスロボットの開発も進んでおり、販売されているものもあるという。日本においても、客が視聴するアダルトVRの性行為に合わせて女性スタッフがサービスを行う「VR風俗」が登場している。風俗店を運営する「かりんとグループ」が開発する「VR風俗」をAV女優の紗倉まなが取材した。
VRゴーグルを装着した紗倉が動くと、同じ動きをする映像の中のキャラクター。池袋店代表のにしやまさんによると、「現実のキャストさんがバーチャルなキャラクターに置き換わるということをコンセプトにしている」と話す。つまり、「キャストが映像に合わせる」のではなく、「映像がキャストに合わせる」という発想だ。
これにより客の没入感はアップ、よりリアルに快感を得ることができるようになるという。さらにVR開発者のmi-soさんが取り組むのが、ボタン一つで女の子の特徴やシチュエーションも即座に変更できるという機能だ。にしやまさんによると、今後は自身が持ち込んだアバターを持ち込んで楽しむことも可能になるという。
次に訪ねたのは、数々の作品を手がけてきたアダルトVR専門の技術者・"VRおじさん"こと鈴木貴久さんだ。鈴木さんは、発達したAIが人間を超える「シンギュラリティ」が、AVの世界にも起こると考えている。「オナニーがセックスを超える。オナニーの快楽がセックスを超える時が近々くるかもしれない。AR=拡張現実によって、たとえば自宅に紗倉まなさんみたいな人気セクシー女優を呼んで、自分の部屋であんなことやこんなことや…。初期段階では映像かモーションキャプチャー的な動きに加え、決まったセリフしか言えないかもしれないが、そこにAIが取り込まれてくれば、紗倉さんの個性を学習することで、喋り癖みたいなのを使ってコミュニケーションを取ることは可能になってくると思うし、自分好みに育てあげることができるかもしれない」。
取材を終えた紗倉は「VRの作品を撮影していることもあって、馴染みがある方なので、納得できる部分もあった。取材して、5年後ぐらいには絶対にこの域に達しているだろうなという感覚があった。セックスの概念とかエロの概念が今思っているものとか抱いているものとはちょっとずつ変わってきたりすることはあると思う」と振り返った。
坂爪氏は2034年にVR風俗がキャズムを超え、"フルダイブ"で脳と脳のセックスが可能になるかもしれない予想する。「視覚だけではなく、五感全部がVRでできるようになっていけば、脳だけで行うセックスも可能になるかもしれないということが言えるだろう。年齢に伴って性機能が低下してしまった高齢者の方々が若い頃の自分をVRの世界の中で再現して、その中で性行為を楽しむということが起こりうるのでは。死別したパートナーも同じように再現したり、自分の妻の若い頃を再現するという方もいらっしゃるだろう。テクノロジーが人の気持ちの部分にまで入り込んでくる世界になってくる」。
他方、高齢者が"アダルトコンテンツ難民"になってしまう可能性も出てきているという。「コンビニから成人雑誌が消えるということが報じられているが、スマホやネットを使えない高齢者がアダルトコンテンツにアプローチしづらくなるということが起こると思う。また、テクノロジーの発展によって今まで働けていた人が働けなくなるということも当然起こりうるのかなと思う。海外ではすでに問題になっているが、AIを使って顔の画像を生成して、それをポルノ動画と組み合わせて作ったフェイクのAVみたいなものネットにばらまかれるということも問題になってくる」と指摘。
また、シェアリングエコノミー人間の身体にも波及してくるといい、「自分の身体を使ってない日をマッチングして使うということが広がり、2050年には"不倫"という概念がなくなるかもしれない。テクノロジーが変化していく中で、セックスとは何なのか、どういった目的でするものなのかという問いがどんどん大事になってくると思うし、そこに自分なりの答えを考えていくことが重要だ」と指摘していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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