「刑事弁護って、本当に辛い」弁護士が明かす、有罪率99%、”人質司法”の現実とは
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 世界に衝撃を与えた逮捕劇から108日、カルロス・ゴーン被告がついに保釈された。8日には家族と共に久々に外出、都内の公園で散歩を楽しみ、「この試練の中、そばにいてくれた家族や友人に非常に感謝しています。私は無実であり、根拠のない訴えに対して公正な裁判の中、全力で立ち向かっていきます」とのコメントを発表した。

 これまで2度にわたって却下されてきた保釈請求。弁護団は今回、ゴーン被告を説得し「事件関係者と接触禁止」「海外渡航禁止」「住居は東京都内に制限」、さらに「住居出入り口に監視カメラ」「インターネット接続不可。携帯電話のメールも禁止」「パソコン作業は弁護士事務所で」という異例の条件を東京地裁に提案、認められるに至った。

 背景には海外メディアからのプレッシャーがあったとの見方もある。英ガーディアン紙は「長期にわたる勾留は日本の"人質司法"に対する国際的批判を招いた」、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「国際的圧力が保釈につながった。日本のメディアは"人質司法"によって、日本の国際的評価が低下することをたびたび懸念していた」と報じている。

 主任弁護人の弘中惇一郎弁護士は会見で「人質司法と呼ばれるぐらい、つまり検察官の言う通りに自白をしないと、その罰としていつまでも勾留を続けるということになっていて、これは極めてアンフェアだと思っている」と述べ、否認するとなかなか保釈されない日本の刑事司法のあり方にも苦言を呈している。

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 これまでの有名な否認事件では、斡旋収賄の容疑で逮捕された鈴木宗男氏の未決勾留日数が437日、郵便不正事件の村木厚子氏は164日に上る一方、インサイダー取引容疑を認めた村上世彰氏の場合は22日で保釈されている。弘中弁護士は、いずれの事件でも弁護人を務めた経験を持つ。

 この点について、9日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した猿田佐世弁護士は「村木さんの場合、有罪になっても懲役3年がマックスだし、初犯であればその半分や3分の1程度になるはず。推定無罪が働いて、防御権を100%行使して戦わないといけない未決の段階で164日も"おつとめ"をさせられた。村上さんの22日も短く感じるかもしれないが、サラリーマンであれば首を切られてしまうし、ものすごく大変なこと。面会で"これから自分はどうなるんですか"、"認めると出られますよ"、"じゃあ先生認めましょうか"というようなやりとりをしないといけないのが否認事件の刑事弁護の現実。そうでなければ"無罪を最後まで貫きましょう、でも3年は入らないといけないかもしれません、99%有罪になります"と言わなくてはいけない。刑事弁護って、本当に辛い」と話す。

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 また、山口真由氏は「鈴木宗男さんについて弘中弁護士がおっしゃっていたことで印象に残っているのは、検察が宗男さんの家族や秘書を引っ張ると言ったという話。しかも検察は抗がん剤治療中の秘書を勾留した。鈴木さんは、"やりましたと言ってサインしていいから、出してもらいなさい"と言って憤ったという。家族や周りまでも引っ張っていくのが検察の怖さだ」と指摘した。

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 元検事の郷原信郎弁護士は「海外の目もあるから、正しい判断をせざるを得なかったということだと思う。裁判所の判断は当然だと思うが、それが今までは当然ではなかった。従来は検察の言うことを聞きすぎていた」と話す。

 「人質司法には二つある。日本の刑事司法全体の人質司法の問題と、特捜部の問題は区別しないといけない。否認している奴は閉じ込めておけと日本社会は思っている。それと特捜部がやってきたことは違う。自分だけじゃなくて、家族や知人のことを持ち出して脅しをかけられるのが一番こたえる。ただ、以前は調書で詳細な立証をするのが当たり前だったが、徐々に変わりつつあるし、否認していても佐藤優さんや鈴木宗男さんほど長くは勾留されなくなっている。それらに比べればゴーンさんは遥かに短い」(郷原氏)。

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 当時厚労省局長を務めていた村木厚子氏が逮捕された際の厚生労働大臣で、会見で村木氏を擁護する発言もしていた舛添要一氏は「裁判所も含めた司法が聖域になっていて、誰も批判できない。お茶の間でもなかなかそういう話はしないし、政治家が発言すると"介入している"と言われる。それでも、直さなければいけないものは直さないと。幸か不幸か、やっとゴーンさん事件で国際的な批判を受け、"外圧"が来たと思う」とコメントしていた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)


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