UEFA チャンピオンズリーグ(CL)のベスト8進出を目指すバルセロナが、ホームのカンプ・ノウにオリンピック・リヨンを迎える。アウェーで行われた1stレグはスコアレスに終わるも、地力の差でバルサ有利の見方が広がっているが、決して楽観視できない3つのポイントがある。
くせ者・リヨンの警戒すべき3つのポイントとは?
通算5度の優勝を誇り、2006-07シーズンのベスト16敗退以降は常にベスト8まで進出しているバルセロナ。世界最高のフットボーラーの一人であるアルゼンチン代表FWリオネル・メッシは31歳を迎えたが、今もなおトップパフォーマンスを保ち、リーガエスパニョーラでは26ゴールでトップ。CLでも8ゴールを挙げているバイエルン・ミュンヘンのポーランド代表FWロベルト・レバンドフスキに次いで6ゴールで2位タイとスコアラーとして躍動している。
いくら1stレグでゴールを奪えなかったとしても、最後はメッシがなんとかしてくれる――。しかし、今回もそうなるだろうか? 対戦するリヨンは大変なくせ者だ。バルセロナといえども、決して楽観視できない相手である。
その理由の1つは、今季のリヨンがCLにおいて“無敗”であること。グループDに組み込まれたリヨンは、優勝候補の1つであるマンチェスター・シティ、ウクライナリーグの王者であるシャフタール・ドネツク、近年はブンデスリーガでも結果を残しているホッフェンハイムと同居した。
2018年9月19日に行われた初戦のシティ戦ではアウェーで2-1の勝利。残りの5試合を全て引き分けで終えてグループ2位で決勝トーナメント進出を決めた。シティに勝利している点も侮れないが、何よりも「負けないチーム」である点が厄介だ。
特にバルサは1stレグでゴールを奪えていない。2ndレグでリヨンに得点を許した瞬間から、勝ち上がりには「90分での勝利」が必要となる。「負けないリヨン」を相手に先に点を許すことだけは避けたいところだ。
2つ目は、CLの舞台では不可能はないということ。これはバルサファンが一番よく理解しているだろう。2016-17シーズン、バルサは決勝トーナメント1回戦でパリ・サンジェルマン(PSG)と対戦。アウェーで0-4の大敗を喫して2ndレグを迎えた。
CL史上、4点差をひっくり返した前例はなかったが、彼らは前半からゴールラッシュ。特に後半のアディショナルタイム1分にはブラジル代表FWネイマールのPKで2試合合計5-5とし、同5分にはスペイン人MFセルジ・ロベルトのゴールで見事逆転勝利を飾った。
さらに今季は決勝トーナメント1回戦だけでも逆転突破が2件ある。1つはホームでPSGに0-2の敗戦を喫していたマンチェスター・ユナイテッド。PSGがバルサに逆転突破を許した過去もあり、2ndレグでも付け入る隙はないと思われていたが、その2ndレグで3-1の勝利。2戦合計は3-3となるもアウェイゴール数の差でユナイテッドがベスト8に進出した。
ユヴェントスもアウェーの1stレグでアトレティコ・マドリードに0-2の完敗。堅守・アトレティコを前に突破は不可能だと思われたが、ホームで行われた2ndレグでポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドのハットトリックで3-0と勝利して逆転突破を決めた。
今回のリヨンは自分たちが得意とする「負けなければいい」状況で、これはユナイテッドやユーヴェよりも遥かに楽な状況といえる。
そしてリヨンを警戒すべき最後のポイントは、司令塔であるフランス代表MFナビル・フェキルの存在だ。
リヨンのトップ下に君臨し攻撃をオーガナイズするフェキル。1stレグは累積警告による出場停止でフェキル不在での戦いだった。そこでのオフェンスの迫力不足を見ると、チーム内における彼の存在の大きさがわかる。前線に入ることが予想されるフランス人FWムサ・デンベレやブルキナファソ代表FWベルトラン・トラオレへのラストパスは1stレグよりも多いものとなるはず。そしてセットプレーの守備が不得意なバルサにとっては、フェキルのプレースキック精度も脅威となるだろう。
11日付のスペイン紙マルカでフェキルは「バルサは欧州でもっとも優れたチーム。彼らとの試合は楽しみだし、僕たちは全力を尽くす」と自信を覗かせている。
地力を考えるとバルサ有利であることは間違いない。しかし、何が起こるかわからないのがCL。注目の一戦は日本時間13日の29時キックオフとなる。
予想サイトの『SUPERCHOICE』では、「UEFA チャンピオンズリーグのバルセロナ対オリンピック・リヨンで勝利するのは?」という投票を開催中。13日15時の時点で一番人気の「バルセロナの勝利」が1.33倍のオッズとなっており、「オリンピック・リヨンの勝利」は6.86倍となっている。
文・川嶋正隆(SAL編集部)
写真・AFP/アフロ