巷の女子たちを熱狂させている存在“王子”が集結した映画『PRINCE OF LEGEND』が、いよいよ公開される。王子とは美しく尊い男たちを呼ぶ名称なのだが、まさに顔よし、スタイルよし、性格に少々癖がありそうな…個性的な王子たち14人がスクリーンに“大渋滞”する。テレビドラマに端を発し、ライブ、ゲームと様々な形態で展開されてきた本プロジェクトがついに映画となるということで、見過ごすわけにいかない。
セレブ中のセレブが通う名門・聖ブリリアント学園では、3年に一度「伝説の王子選手権」が行われる。誰もが羨み、憧れる称号を手に入れるべく、さらには王子たちあこがれの女子生徒・果音の「伝説の王子になった人と、お付き合いしようかな」という一言により、プリンスバトルは幕を開けるのだが…。
総資産数兆円といわれる御曹司、下町ヤンキーのカリスマ、学園の人気と尊敬の的である生徒会長など、多種多様な王子たちの中のひとりとして、「モテすぎて付き合うと苦労するから彼氏にしてはいけない職業・チーム3B」のバンドマン王子・TAICHIとして出演するのが、俳優であり自身もミュージシャンの一面を持つ、こだまたいち。元々『MEN'S NON-NO』モデルとして活躍していたこだまは、スリムな体、整った小さい顔を持つまさに元来王子。しかし、本人は平身低頭、「僕が王子なんて…」と囁く。王子なんて「滅相もない」のか、王子なんて「嫌だ」なのか、こだまの本心を知るべく微に入り細に入りインタビューしてみた。
――「バンドマン王子の役です」とオファーがきたときは、どう思いましたか?
こだま: 僕は本当にバンドをやっているので、あえてチャラいような、茶化しているような役をやるなんて面白い、と思いました。本当は自分のやっていることをチャラく見せたくなんてないと思うはずですけど…僕は逆に興味が湧いたと言いますか…(笑)。
――音楽仲間にはお話しましたか?
こだま: あ……。みんな…知っていました…(笑)。バンドで地方に行くんですけど、対バンする人たちからも「プリレジェ(『PRINCE OF LEGEND』の略)、知っていますよ」みたいな。だから、バンドマンみんなに土下座したい気持ちです(笑)。
――チーム3Bは、女性をはべらすシーンも多いですよね。慣れたものでしたか?
こだま: すごい冷や汗をかきました…。普段、全然そういうタイプではないので…。
――ご本人の資質としては、バンド、モデル、俳優とモテ王子路線に見えます。
こだま: いや、まったくです!僕には「はべらす」方法がわからなくて、「はべらすってどうやるんだろう…」って(笑)。
――高校時代も、はべらしていなかったんですか?
こだま: いやいや!……あれ?「うん」って言わせたいんですね?
――すみません(笑)。
こだま: (笑)。高校時代も音楽をやっていたんですけど、その時点で外側の人間というか、スポーツをやっている人たちがモテの王道だったんです。当時は僕、「ちくしょおおお」って、カウンターのつもりでやっていたので(笑)。
――では、こだまさん本人に「バンドマン王子」要素は…。
こだま: 違いますね、ないですね!勝者の気持ちはわからないです。それに僕、中学・高校時代、背が一番低いくらいだったんですよ。今177センチですけど、高校入学のときは160センチで一番前で。高3くらいでめっちゃ伸びたんです。だからみんなの記憶は小さいままだし、男としてもあまり見られていない、みたいな。小さくてモテる人ももちろんいたんですけど、僕はそういうキャラじゃなくて、どちらかと言えば「かわいいね」みたいな。20歳で同窓会をしたときに、「こだまくんて、こんな大きかったの!?」とか「あの人、誰?」みたいになって、それが…人生一番のモテ期だったかもしれないです。
――浮かれたりしなかったんですか?
こだま: これまでとのギャップで、もうどうしたらいいかわからなかったです。正確に言えば、調子に乗りきれなかったです。乗れたらよかったんですけどね…(笑)。
――現場では3Bの清原翔さん、遠藤史也さんとご一緒の時間が多かったですか?
こだま: ふたりは『MEN'S NON-NO』で一緒だったので、付き合いやすかったです!安定の感じでした。ほかのチームの方々だと、まずチーム先生の町田(啓太)くんが、優しく話してくださって、めちゃくちゃ仲良くなりました。ごはんにも何回か行ったり、プライベートでも会ったりして。町田くんを入り口に、LDHの方々とちょっとずつお話をしたりしました。
――町田さんとは馬が合ったんですね。
こだま: そうです!僕、同い年なんです。年下の方が多い現場だったので、「やったあ」と、世代の絆みたいなのがありました。あと、(関口)メンディーさんも同じ年だったんですけど、全員でごはんに行ったときに、知らない間にメンディーさんが全員分ごちそうしてくれたんです。…だから、しばらく同じ年と言えなかったです。年下ぶっていました(笑)。
――同じ男子の集団とはいえ、モデルの現場とは違うものですか?
こだま: 全然違いますね。明るさが違うというか。『MEN'S NON-NO』のときは全員どちらかと言うと、静かなんですよ。太陽と月なら月、という感じで。でも『PRINCE OF LEGEND』のときは皆さんが明るくて太陽みたいな!優しくて、礼儀正しいし、素晴らしいんです。
――新しい世界でしたか?
こだま: 本当に(うなずく)。価値観がちょっと変わりました。LDHの方々とは今までまったく交わることがなかったので、「ああ、格好いいな」と思いました。これまでは、正直、体育会系というイメージがあって、髪も派手だったりいろいろな色をしていますし、ややチャラいのかな…って、ごめんなさい!近寄りがたく思っていたんです。それこそ、高校のスポーツをやっていた一軍みたいな感じに見えていたので。それが接すると、本当に「優しいんだなあ…格好いいんだなあ…いい人たちなんだなあ…!」と、しみじみ感じました。
――女の子だったら惚れちゃいますか?
こだま: 惚れていますね。「プリレジェ」の中だったら……京極尊人!
――積極的に、ありがとうございます(笑)。
こだま: 実際、伸くん(※演じている鈴木伸之)の感じも格好いいですよね。「やんちゃ、明るい、豪快に笑う!」みたいな。「あ、好きかも…」みたいに気づきました(笑)。
――逆に『MEN'S NON-NO』チームも、何も知らなければチャラいと勘違いされることもありませんか?
こだま: ああ、あるかもしれないですね。そんなことはないんですけどね。チャラい風のやつもいますけど(笑)。…(プレスの3Bをじっと見る)これを見ると、僕でも「わ~、メンノン勢チャラそう」って思います(笑)。
――(笑)。3Bは定義として「モテすぎて付き合うと不幸になる」とありますが、現実問題、不幸になっちゃいますか?
こだま: 同じ3Bの美容師、バーテンダーに関しては本当にわからないのでノーコメントですけど、バンドマンに関しては真面目です!!本当に人を不幸にするようなモテすぎな人って、いたとしても、めちゃくちゃ一部だと思います。多くのバンドマンは、すごい素直で、真面目で、いい人が多いと思います、本当に!
――なるほど。こだまさんは現在、俳優業、音楽業をやられていますが比重やルールなど、ご自分の中で決めているんですか?
こだま: 僕は音楽をずっとやっていきたいと昔から思っているんですが、自分がやれることを逃がしたくはないので、必要とされているうちは、決めずに全部やりたいんです。俳優業も音楽業も、どちらも両方のためになっていると思うので。いわゆる、あか抜けた感覚は、モデルや俳優をやっていたほうが身に着くんですよね、人から見られる感覚と言いますか。輪の中に入ってどういう立ち振る舞いをするかは、芸能のほうがめちゃくちゃ勉強になるんです。いざ音楽をやるときに、その感覚を持ち込むと結構うまくいったりもしますし、新鮮で、ほかの人がやっていないことができたりするんです。その逆も然りで、音楽を泥臭くやっているので、キラキラの世界の中にもちょっとその要素を入れられたら…それこそ、ややカウンターの気持ちで、個性を出せると思っています。
――こだまさんのロールモデルに近い方はいらっしゃいますか?
こだま: 本格的に音楽も俳優もやろうと思う前、まだ高校生の頃に、銀杏BOYZの峯田(和伸)さんが主演の『アイデン&ティティ』という映画を観て、めちゃくちゃ感動しました…。本気のバンドマンが映画に主演していて、「めっちゃ格好いい、何でこんなことができるんだろう!!」と思って。音楽の人が俳優をやっているという、僕にとっての原体験でした。
あと、僕は昭和80年代が好きなんですけど、当時のキラキラしている芸能人は、普通に歌も歌っているし、俳優もやっていて。多彩さって、本当の芸能という意味なんじゃないかと思うんです。昭和芸能に憧れています。
――昭和時代は体験していないですよね。どう掘っていったんですか?
こだま: 体験していないからこそ、好きだからめっちゃ調べました。音楽も映画も好きで、影響はいろいろ受けたんですけど、舘ひろしさん、原田芳雄さん、布施明さん…本当に大好きです。
――挙げられた方々は、皆さん映画も歌もやられていますもんね。
こだま: 可能性を区切らないというか。できることを全部フル活用して、表現をしているのが格好いいなと思って、憧れるんです。僕も今すべてが刺激になっているので、どんどんチャレンジしていきたいです。俳優業で言えば、これまでは音楽に関係する役が多かったんですけど、今後は音楽に関係ない自分の演技というものをやってみたいです。自分でも知らない一面を、見られたらなと思います。
映画『PRINCE OF LEGEND』は3月21日より全国公開
取材・文=赤山恭子
撮影:You Ishii