AbemaTVの格闘リアリティ番組「格闘代理戦争 2ndシーズン」に那須川天心推薦選手として出場、注目を浴びた前田浩平がいよいよプロデビューを果たす。舞台は3月17日のパンクラス新木場大会。平田純一とのプレリミナリーファイト(バンタム級3分3R)だ。アマチュアMMAのオセアニア選手権で優勝、「格闘代理戦争」では優勝したユン・チャンミンに敗れたが、その後アマチュア世界大会にも参戦し、経験を積んだ前田。プロデビューまでに時間をかけただけに、培った実力に期待がかかる。「格闘代理戦争」出場選手たちのアフターストーリーとしても興味深いこの一戦。「ずっとパンクラスの金網でやると言っていて、出る出る詐欺だった」と自ら語っている前田に、プロデビュー戦を前に意気込みを聞いた。
(聞き手・橋本宗洋)
――いよいよプロデビューが決まりました。昨年でもよかったとは思いますが、あえてアマチュア世界選手権に出場されましたね。
前田 「格闘代理戦争」の後にプロデビューするはずだったんですけど。ただ番組に出て知名度が上がったところで、IMMAF、アマチュアの世界選手権というものがあるというのを知ってほしかったんです。
――IMMAFの大会は規模も大きくレベルも高いと話されてましたね。
前田 ベスト8、ベスト4に進む選手は日本だとアマチュアのレベルじゃないなという感じです。会場に(UFC王者のハビブ・)ヌルマゴメドフ選手も来てましたし、注目度が凄いんだなと。ジムの後輩でもあれに出たいという選手がいて、一つの目標になってるんだなと思いますね。そういう人が増えてくると、ピラミッドが大きくなる。
――前田選手はアマチュアの段階で“世界”を経験してきたことになります。
前田 試合慣れという点では、普通のデビュー戦の選手よりはあると思います。なかなかアマチュアの段階で外国の選手と何試合もしてる人はいないと思うので。そこは自信になってますね。国際戦は、「格闘代理戦争」のチャンミン戦も合わせて6試合やってるので。これは自分ならではのキャリアかなと思います。
――番組で注目されたことは、プロデビューにおいてどんな意味があると考えていますか。
前田 自分でも、知名度と実力が釣り合ってないというのは分かってますから。プロデビューして、そこを埋めていく作業になると思います。それもモチベーションになりますね。強くなっていることを見せるのは、今まで応援してきてくれた人たちへの恩返しにもなりますし。
――いま、練習でテーマにしているのはどんなことですか。
前田 打撃を課題にして練習してきたぶん、今度はグラウンドが雑になっているところもあると思います。まだうまくはないんですけど、打撃が好きなのでやりたくなるんですよね。でも、今の自分が得意なのは組み技なので。そのバランスをいかに取るかですね。理想を言えばパンチで倒せる選手になりたいですし、試合の間ずっと攻めるスタミナもつけなきゃいけない。これから自分なりのMMAのスタイルを作っていきたいです。
――今回の対戦相手、平田選手の印象は?
前田 僕より長くやっているぶん、うまさがあると思いますし、下からの攻めだったりは怖い部分ですね。でもそういうタイプの選手とも練習してますし、IMMAFでも似た選手とやってるので。練習してきたことをしっかり出せば、と。上に行くために勝たなきゃいけないですから。
――昨年の「格闘代理戦争」ワンマッチでチャンミン選手が負けた試合もそうですが、やはり番組に出演した選手と闘う人はモチベーションが高いでしょうね。
前田 それはあると思います。僕たちに勝てば一気に名前が上がるっていう。気合い入れてきますよね。
――プロでも、しばらくはそうなるでしょうね。「食ってやろう」という感じで。良くも悪くも「格闘代理戦争の」と言われますし。
前田 「格闘代理戦争」は自分の意思で出たものなので。そこはしっかり背負っていきたいです。番組で得たものも大きいですし。看板を背負って、そして勝って上に行きたい。“格闘代理戦争組”としての責任はあると思ってます。
――プロで活躍することが番組のためにもなると。
前田 アマチュアの強い選手として集められてトーナメントをやって、その選手がプロで連戦連敗だったら「あの企画はなんだったんだ」ってなると思うので。そう言わせないために、しっかり勝っていかなきゃいけないですね。こないだは椿(飛鳥)くんがONEウォリアーシリーズで勝ってたので、今度は僕が国内でも結果を残したいです。
――現時点で、プロでの目標は?
前田 一番はパンクラスのチャンピオンになることですね。そのためには今年中に3勝以上したいです。そうするとランキングに入れると思うので。他のどのベルトより、パンクラスのベルトが一番かっこいいと思うんですよ。僕は上京する前はUFCしか知らなくて、東京でパンクラスを見て、石渡(伸太郎)選手がベルトを掲げる姿を見て凄いかっこいいと思って。それからパンクラスが目標になりました。
――その先には世界の舞台もあります。
前田 まだ先ですけど、アマチュアでもほとんどケージでやってきて“ケージ元年”の世代という気持ちでいます。ONEに出ている若松(佑弥)選手も同時期にアマチュアに出ていた選手なので、負けてられないなと。「格闘代理戦争」に出る前から応援してくれている人たちもいますし、恩返しのためにもどんどん上に行きたいです。
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