去年12月、新潟を拠点とするアイドルグループ・NGT48の山口真帆さんが公演から帰宅後、自宅に押しかけた男性ファン2人から暴行被害を受けた事件で、第三者委員会が21日に報告書を公表した。
報告書では、山口さんが襲われる前、メンバーの1人が山口さんの帰宅情報を男性らの仲間に教えていたことを明らかにした。公演後、バスに乗っていたメンバーAが降車したところ、NGT48のファンで顔見知りでもあった男性Zに遭遇。AはZから「まほほん、あの車両に乗ってる？」と声を掛けられ、Aは「乗ってるよ」と返答したという。
Zはこの情報を山口さんが住むマンションの向かいの部屋で待機していたXとYの2人に電話で連絡。XとYはZからの情報を元に、マンションの共用廊下の様子を確認しながら山口さんの帰宅を待っていた。帰宅した山口さんがドアを開けたところXとYに押し入られ、暴行を受けたということだ。
山口さんがXら廊下に押し出し泣き叫んでいたところ、Xは「メンバーにも相談して、メンバーに提案されて、やったことだから」「こうすればまほほんと話せるよ、と提案された」といい、メンバーABCの3人の実名を挙げたという。
山口さんの話によると、帰宅時間を教えたのがA、自宅の場所を教えたのがB、部屋に行けとそそのかしたのがCだということだ。Bは以前、山口さんと同じマンションに居住していた。また、Xは握手会の際に「Cがお前の家に行けってめっちゃ言ってくるんだけど」と山口さんに話していたという。
しかし、調査委員会はBとCについては証拠がなく、Aについてもバスを降りたときに突然声をかけられたため咄嗟に答えてしまったのが実情だと考えられるとしている。つまり、「メンバーの関与はない」と結論づけた。
調査委員会は、X、Y、Zの3人にも聞き取りを要請したが、断られたという。その中で、メンバーAから帰宅情報を入手したZは、聞き取り要請に対し「自分の出入り禁止についてAKS（NGT48を運営）と交渉に応じること」を条件にしてきたということだが、AKSはこれを拒否。調査委員会はAKSに対し、メンバーの安全管理の不備を指摘。悪質なファンへの対応などを含めて適切な体制の構築が必要だと提言した。
この報告を受けてAKSは「NGT48をもう一度応援していただけるよう、健全な運営に取り組む」とコメントしている。
第三者委員会の調査報告書について、仲岡しゅん弁護士は「捜査機関ではないので、弁護士としてできる範囲で調査した真っ当な報告書だと思う。メンバーの何らかの関与が疑われるということ部分は、あくまでもグレー。本人に聞いた調書には証拠がなく、これだけでグレーをクロとすることは難しい」との見方を示す。
調査報告書では、ごく一部のファンの“つながり”に対し、ライブ・握手会などではなく連絡を取り合うなどし私的に接触していたことは、噂レベルではなく具体的な事実だとも指摘している。
SKE48のメンバーだったフリーアナウンサーの柴田阿弥は、今回の問題がメンバー教育や管理体制に行き着くのではないかと指摘。「10代の子が多い中で、言ってはいけないことといった基本の教育が、『これくらいわかるでしょ』で済まされていた部分があるのでは。メンバーとつながりたい一部のファンだったら、この子なら情報を漏らしそうというのがわかってしまう気がする」と話す。
過去に握手会で事件が発生してから防犯体制は強化されたというが、「管理体制で一番問題だと思うのは、“つながり”に対して場当たり的な対応が行われていたということに対し、運営が厳しい対応をしなかったこと。ファンの方にとってアイドルは一種の聖域で、証拠がないのにメンバーを処分するのはリスクだけど、事件になってしまうなら芽で摘んでおくべきだった。対処しなかったことで真面目な大多数のメンバー・ファンの尊厳を傷つけたのは悲しい」と率直な思いを述べた。
さらに、握手会が私的な接触のきっかけになっているとの指摘には「こういった時にそう言われてしまうのは憤りを感じる。恐らく、握手会があってもなくてもつながる人はつながるし、全てがここで起こるというのは考えにくい。今回は明らかに管理体制がずさんだったのではないか」と主張した。
では、運営側の責任が問われる可能性はあるのか。仲岡弁護士は「雇用契約の場合、セクシュアル・ハラスメントやそれらに準じることがあれば、雇用者側の責任が問われる場合がある。どのような契約かは把握しなければならないが、今回を教訓にしてマネジメント会社も対応を考えないといけないことを肝に銘じて欲しい」とした。
なお、この件に関して22日の午後1時30分からNGT48が会見を行う。
（AbemaTV／『けやきヒルズ』より）
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