「30代で性交渉を経験していない人の割合は10人に1人」という調査結果を、東京大学大学院の研究者らが発表した。この研究では、性交渉の経験率と年収に相関関係があることもわかった。
東京大学大学院の客員研究員で医学博士の上田ピーター氏らが調査したのは、年齢や収入、雇用形態による異性間交渉“未経験率”の違いについて。
「『童貞・処女率が高い』というのは数年前から話題になっていた。アメリカとかイギリスの調査に比べると、未経験の割合は驚異的に高い」(上田ピーター氏)
日本人の異性間性交渉未経験の割合を30~34歳の年代で見てみると、女性は1987年の6.2%から2015年は11.9%に、男性は1987年の8.8%から2015年は12.7%に増加したことがわかったという。イギリスやアメリカの調査では、30代で異性間性交渉未経験の人の割合は1~3%程度だということだ。
では、どのような人たちに未経験者が多いのか。男性は「収入」と「性交渉経験率」に相関関係があるという。
「25~39歳の男性では、収入が高くなるほど異性間性交渉未経験である確率が低くなる。年収800万円以上の25~39歳の男性と比べて、年収が0円~99万円の男性は異性間性交渉未経験の確率が20倍。雇用形態を見てみると、(未経験率は)正規雇用と比べて非正規雇用は4倍、無職は8倍という結果も出た。何らかの理由で労働市場で成功しない人たちは、同じ理由で恋愛市場でも成功しないかもしれない。ただ、相関関係があるからといって必ずしも因果関係があるとは限らず、収入が低いから異性間性交渉の経験がないとは言えない」(上田ピーター氏)
では、一方の女性はどうなのか。
「女性の場合は、学歴が高いほうが未経験である確率が高い。高卒以下の女性に比べて、大学か大学院卒の女性は異性間性交渉未経験の割合が約2倍。性的に活発な生活を送っていない人は学問に集中するのか、勉強しているから性的に活発でないのか、どちらが先かということは言えない」(上田ピーター氏)
女性は「高学歴」ほど「性交渉未経験率が高い」というのだ。ただ、あくまでもグループレベルのデータだとし、「個人差は当然あるし、高学歴だから経験がないわけではないというのは強調すべきところ」とした。
上田ピーター氏は、性交渉未経験率が人口動態に与える影響についてはさらに研究が必要だとしている。「我々研究者としては、正確なデータを提供することが第一の目標。ジャーナリストや学者がデータを解釈して社会について考える。それがひとつの活用の仕方」だと述べた。
そうしたなか、AbemaTV『けやきヒルズ』は異性間交渉未経験の29歳男性から話を聞くことができた。男性は、世界と比べて日本の未経験率が高いという調査結果に「誠に遺憾です。残念です」とコメント。彼女はおらず「趣味で楽しければいいや」という部分があるという。また、フリーターのためお金は「全然ない」そうで、「自信もなく、お金があればまだいけるかもというのはある。(お金のある人に女性は)なびくと思う」と語った。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)