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(アメリカかぶれ的コメントに加え「世の中には2種類の人間がいる。俺か、俺以外か」を決め台詞とするなど、やけに味が濃くなっている王者・遠藤)

DDTの頂点、KO-D無差別級王座が海外で移動したのは4月4日のことだった。この日、開催されたのはDDT初の海外進出となるニューヨーク大会だ。メインでは王者・竹下幸之介に佐々木大輔が挑戦。2月の両国国技館大会から立場を変えてのリマッチであり、当初はノンタイトルの予定だったが佐々木の要求でベルトがかけられた。

 3月31日の福岡大会で黒潮“イケメン”二郎との激闘を制し、初防衛に成功したばかりの竹下に、佐々木は急所蹴りからの佐々木式ウラカン・ラナで勝利を収めた。客席の竹下にエルボーでダイブするハードコア殺法から反則を駆使するインサイドワークまで、佐々木らしさが出た勝利だ。試合後はメキシコ修行経験のある佐々木がスペイン語を交えてマイク。そのまま大会を締めるかと思われたが、そこにラリアットをぶち込んだのが遠藤哲哉だった。

 佐々木のユニット・DAMNATIONに属する遠藤だが、ここで予想外の「いつでもどこでも挑戦権」行使。ダメージの残る佐々木を約4分で沈め、KO-D無差別初戴冠をニューヨークで成し遂げた。デビュー7年、27歳。佐々木を仕留めたシューティングスター・プレスをはじめ空中殺法を得意とし、そのポテンシャルを丸藤正道にも絶賛されている遠藤。実力的にはいつベルトを巻いてもおかしくないと思われていたが、その舞台が団体初のニューヨーク大会になるとはドラマチックだ。

 帰国した遠藤は、記者会見にサングラス姿で登場。「俺はニューヨーク生まれストリート育ち」と、アメリカかぶれどころか経歴詐称を始めた。かつては「地元の(宮城県)白石ではコンビニの灯りでクワガタがとれる」と語っていたものだが、ベルト奪取の喜びは故郷すら忘れさせるものだったのか。

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(横浜大会では大石が直接勝利。足のダメージは王座戦にどう影響するか)

 遠藤の初防衛戦は4月28日の後楽園ホール大会。挑戦者には、先輩の大石真翔を指名した。理由は「DDTで一番弱い」からだという。屈辱的な言葉を浴びせられ、しかし王座挑戦のチャンスを掴んだ大石は、後楽園までの全大会で前哨戦として遠藤と闘うことを要求。「頭を使ったレスリングで追い込む」と予告した。

 普段は前半戦でコミカルな試合を担当することが多い大石だが、旭志織との名タッグでも知られている。テクニカルな攻防やサンボをベースとする関節技も得意とするところで、つまり“何でもできる”実力があるからこそDDTのDDTらしい部分を任されもするのだ。

 前哨戦では遠藤が2度、大石をフォール。しかし大石も4.20横浜大会で遠藤からギブアップを奪っている。足攻めが功を奏しての勝利だったが、大石は「ダメージを残さないために早めにギブアップしたのかも」と慎重なコメント。あくまでタイトルマッチの勝利が目的であり、前哨戦は勝ち負けも含めて心理戦と捉えているようだ。最後の前哨戦、4.21長野大会で勝った遠藤は「後楽園でお前が勝つことは100%ない。後楽園に来た人たちはお前を応援するだろうが、それがお前の冥土の土産だ」。だが大石も「負けたからこそ見えてくるものがありました。前哨戦を通して弱点は見つけました」と語っている。

 これは本当なのか、あるいは心理的揺さぶりなのか。普通に考えれば遠藤優位なのは間違いないのだが、今の王座戦線では「いつどこ権」も2つ残されており、王者にプレッシャーがかかる状況でもある。また遠藤が属するDAMNATIONの掟が「群れない、媚びない、結婚しない」なのに対し、大石は昨年、人気女子レスラーの大畠美咲(昨年いっぱいで引退)と結婚。人生の勢いという意味では遠藤に劣らないものがあるとも言える。この試合の結末がどうなり、さらにそこから「いつどこ権」も含めどんな動きがあるのか。DDTに予断は禁物である。

文・橋本宗洋

写真:(C)DDTプロレスリング

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