「私が中核派だと知らなかった杉並区民もいたと思う」今も暴力革命を肯定?話題の新人区議・洞口朋子氏に迫る
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 22日に開票された杉並区議会選挙で3275票を獲得、48議席中18位の上位当選を果たし話題を呼んでいる洞口朋子氏(30)。

 警察庁が「極左暴力集団」と呼び、「依然として"テロ、ゲリラ"事件を敢行する一方で、周囲に警戒心を抱かせないよう、暴力性・党派性を隠しながら大衆運動や労働運動に介入するなどして、組織の維持・拡大をもくろんでおり」と指摘する新左翼「中核派」の活動家でもある。

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 "中核派区議"が誕生したことについて、区民はどう思っているのだろうか。駅前で話を聞くと、「中核派?知らない」(20代女性)、「私の中では昔の赤軍派とか、そういうイメージ」(50代女性)と、少し困惑気味の意見もある一方、「変革が起きるんじゃない。やっぱり壊して欲しいわけだよ、色んなものに対して」(70代男性)、「民意で選ばれたということから、出自がどうあれ当選したことは間違いない」(50代男性)と、見方は様々のようだ。

 そこで26日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では洞口区議本人を招き、その思想に迫った。

■「やっぱり暴力を使わないといけない場面もあると思う」

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 「労働者による労働者のための社会主義国家」を目指して1963年に結成された中核派。正式名称を「革命的共産主義者同盟全国委員会」といい、共に分裂した「革マル派」と激しい"内ゲバ"を繰り広げ多くの死傷者を出す一方、成田空港の反対闘争、警察官が死亡した渋谷暴動など、デモ・暴力を重ねてきた。さらに火炎放射器による自民党本部放火事件(1984年)、東京サミットを狙い迎賓館に迫撃弾を撃ち込む(1986年)などの過激な活動も目立つ。

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 現在も4700人の勢力があるといい、先月8日には警察が家宅捜索を行っている。番組では2年前、その活動拠点「前進社」に潜入取材を敢行していた。その際に取材に応じた洞口氏は、自らを監視する警察官たちの顔写真を貼った壁などを案内、「暴力を使ってでも民衆の側が国家に対して戦うということはあると思っているし、そういう運動が本当に社会を変える力を持つのではないかと思っている」と語っていた。

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 「中核派の活動家」と呼ばれることについて「全くその通り」と洞口氏。「愛読書はマルクス以外でいうと松本清張」「(新天皇の即位で)祝賀ムードだが、天皇制には反対」。 宮城県仙台市で生まれ、中学生だった2003年、イラク戦争の反戦デモに参加。法政大学在学中の2010年には「学生自治闘争」等を理由に無期停学処分を受ける。2015年には安保法制反対の国会前闘争にも参加した。現在は「前進チャンネル」(YouTube)のキャスターとしても活躍する。

 「労働者を搾取して得た利益で資本主義経済が回っているし、労働者が社会を動かしているから富が分配されている。労働者がいなければ、資本家は何もできないと私は思う。だから労働者が主人公になっていく、決定権を持つ社会にしたい。こういう話をすると、原始時代に戻ると考える人もある。そうではなく、必要な人に必要なものが与えられる社会、富の正しい分配の仕方。貧困のない社会はそういう形で実現できるのではないか」。

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 これまで中核派が引き起こしてきた数々の事件については「沖縄での闘いや東大での闘いなど、もちろん映像でしか見ていないが、その時代を象徴する出来事だと思うし、私はもちろん支持している。今後、中核派が独自で組織するかは分からないが、変わらずこういう闘いを実現できたらいいと思う」と肯定、「私たちの全ての活動が非合法だと言われることもあるが、合法的な領域でも活動している。それでも共謀罪の成立以降、国家の監視体制が強化されていて、中核派に対象が絞られていると思う」との見方を示す。

 さらに「学生運動の経験から、声を上げたり、抵抗したりしたときに襲いかかってくるのが国家の暴力だった。逮捕されたことも2回ある。そういう現実に対し、どう闘っていくのかということ。国家の暴力に対し、ところかまわず暴力を振るえばいいという考えではないが、やはり暴力を使わないといけない場面もあると思う」とし、「今でも革命のためには暴力を使うことも辞さないという考え方か?」との問いには「そうです。それは、はい」と答えた。

 その一方、「50年以上の歴史の中でやってきたゲリラの闘いを私も引き継ぎたいという思いはもちろんあるが、訴えかけるのは世の中の人がいてのこと。中核派がソフト路線になったということは公安警察も言っているが、訴え方とか闘い方は、世の中に合わせて変わっていくべきだとは思っている」との考えも示した。

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 そこで作家の乙武洋匡氏が「なぜそんなに革マル派と仲が悪いのか」「既成の大きな政党の中で最も左と言われている日本共産党とは何が違うのか」と尋ねると、洞口氏は「革マル派とは何度かしか遭遇したことがないが、やはり革命の進め方が根本的に違ったんだろうなと思う。背後には国家権力がいると思っていて、国家権力と癒着して中核派を襲撃してきたこともあった」、さらに「日本共産党だけの問題ではもちろんないが、議会の中での革命に固執していると思っている」と主張。

 その上で「日本共産党だけではなく、既成の政党は"1票をお願いします、託してください"というが、一人が議会に行ったからといって何かが変わるという保証はない。議会だけで変えようというのは無理だ。やはり権利を持っている一握りの議員が議会の中でお喋りして法律を作って、というだけではなく、それが反映される現場が変わらなければ社会は良くならない。だから1票を入れてくれた人たちと一緒に声を上げていきたいというのが私のスタンス。SNS上には世の中、会社に対してこれだけの不満があるのに、なぜその怒りが発信されないのだろう、なぜデモやストライキや起こらないの、と思う」とした。

■「私が中核派のメンバーだと知らなかった人もいらっしゃると思う」

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 しかし、中核派やその活動家としての洞口氏の思想が杉並区の有権者には十分伝わっていなかったのではないか、との意見は多い。

 実際、選挙戦では「若者の声を杉並から」をスローガンに、「貧困のない世の中を:若者と女性で社会を変えよう。非正規職、貧困、過労死のない世の中を」「阿佐ヶ谷再開発は撤回を:公立保育所の増設、児童館をつぶすな」「改憲とめよう」という政策を掲げており、"中核派色"はほとんど薄れていた。また、ピンク色を基調としたデザイン選挙ポスターやビラにもそれを匂わせる文言はない。

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 洞口氏は「中核派の色を消してということはもちろんないし、争点として駅前の再開発の問題や貧困の問題を目立たせたいというのはあった。同世代の人たち、特に女性に訴えかけたいと思ってこういうビラにした」と説明。

 当選の理由については「杉並区の投票率は39%台だったので、6割以上はそもそも選挙に行っていない。その中で、憲法9条の改正の動きなどに対して若者が声を上げられる社会を作りたいという思いを訴えたことが響いたのかなと思っている。全国の中核派はもちろん、支援者の方たちにたくさんの支えて頂いた。大勢の中核派が杉並区に引っ越してきたということもない(笑)。ぶっちゃけた話、3275票の中には、私が中核派のメンバーということを知らなかった人もいらっしゃると思う。ただ中核派は杉並でずっと選挙活動をしてきて、これまでにも都議や区議の方がいた。だから私のことを中核派の"3代目"という認識で投票してくださった方もたくさんいらっしゃると思うし、選挙中にはいわゆる左派の人たちが誰に投票したらいいのか分からないという声も聞いた」とした。

 この点について乙武氏は「洞口さんの政治的なお考えとは全く相容れない。ただ、"中核派であることを隠すなんてとんでもない"という意見については、そんなことを言ったら、自民党の候補者だって、世間から反発を食らいそうな政策についてはあえてポスターに書かず、生ぬるいことだけを言ってお茶を濁す人はいくらでもいる。その選挙戦略の部分について洞口さんだけが批判されていることには同情する部分もある」と話した。

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 また、「前進チャンネル」を視聴しているという元経産官僚の宇佐美典也氏は「分配するパイが膨らんでいくので、資本家も労働者もうれしいという時代が長く続いた。しかし成長が止まりつつあるのに、資本家と労働組合が完全に協調する体制ができあがってしまっていて、その既得権益から漏れている労働者たちがひどい目にあっていることは事実。その意味では洞口さんの主張通りの部分はあるし、既得権益のある正社員の方ばかり向いて労働者を守らない労働組合のケツを叩きたい有権者が票を入れたのかもしれない」と指摘。「洞口さんが中核派の色を隠しているというが、むしろ逆で、これほどYouTubeにも顔を出し、"私は暴力革命をする"と言ってきた中核派はいなかったと思う。そこに対して、"今のリベラル情けねえから入れるか"という人もいたと思う」と分析した。

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 初当選を受け、今後について洞口氏は「"中核派がなぜ選挙に?"ということはよく言われる。私たちは議会だけでの革命ということは考えていないが、逆に議会に根ざして活動するのが突拍子もないこと、というわけでもない。政治集団なので、議会に行くこともある意味では流れなのかなと思う。中核派といっても色々な人がいるし、こういうふうにやりたい、もっとこうして欲しいというのは当然あるし、区民からの声はある。今回、区議会議員選挙に当選したが、これからもスタンスは変えない。資本主義社会ではない社会、働く人たちが主人公になれる社会が自分の目指している社会だ。その実現をしていきたいと思っている」と決意を語っていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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