DDT恒例のシングルトーナメント「KING OF DDT」が、4月29日の板橋大会からスタートする。優勝者は7月15日のビッグマッチ、大田区総合体育館大会のメインイベントでKO-D無差別級タイトルに挑戦。夏に向けての“主役争い”がここから始まるわけだ。今年は14選手が参加し、2回戦のラスト1枠は1回戦敗者によるバトルロイヤルで決定。この変則形式がどんな結果を生むのかも注目されるところだ。
出場選手の中で、優勝候補の最右翼と言えるのが竹下幸之介だ。団体の頂点・KO-D無差別級王座の最多防衛記録保持者で、今年2月の両国国技館大会で佐々木大輔を下し、3度目の戴冠を果たした。高校時代にデビューし、現在23歳。常に期待され続け、期待以上の力をつけてDDTの新時代を担うエースに成長した。が、第三次竹下政権は予想外の短期間で終わってしまった。
4月4日のニューヨーク大会で佐々木と再戦し、敗北。2度目の防衛戦だった。この大会では、勝った佐々木に「いつでもどこでも挑戦権」を行使した遠藤哲哉が勝ち、さらなるタイトル移動が起きている。王座戦線が混沌とする中、竹下としてはトーナメントで出直し、仕切り直しという形だ。
(トーナメントの会見は神田明神で行なわれた)
新元号に向け“竹下時代”を盤石にするつもりだった矢先の王座陥落だけに、鬱憤もたまるというもの。トーナメントに向けた記者会見では「最低条件が優勝。全試合、格の違いを見せつけて優勝した上で大田区でベルトを取り戻します」と意気込みを語った。
単に勝つだけでは満足できないし、相手が誰であっても関係ない。1回戦で闘う上野勇希は高校の同級生。竹下の応援で試合を見たことがきっかけとなり、上野はDDTに入門している。そんな選手とトーナメントで対戦するのだから思い入れも強いだろうと想像したが、竹下は「初シングルでもないですし」と厳しい表情を変えなかった。
「特別な思い入れもないし、経験もスタミナも、勢いやバルクの差もある。僕がプロレスリングで負ける要素は一つもない」
あくまでも意識するのは優勝と王座奪還。硬軟自在のプロレスセンスを持つ竹下だが、このトーナメントでは“怖い竹下”が見られそうだ。