(ベストストレッチマンV3に勝ち、自身が率いる「スパーキー」の3人で大会を締めた中津。今や完全にBASARAに中心となった)
プロレスリングBASARAのシングル王座・ユニオンMAXを保持する中津良太が、5月6日の板橋グリーンホール大会で6度目の防衛戦に臨む。
3月21日、後楽園大会で団体代表の木高イサミを下し、新エースとしての座を不動のものとした中津。4.23新木場ではベストストレッチマンV3の挑戦を退け、イサミの防衛記録に並んだ。試合中にストレッチで体をほぐすことでパワーをためるという、独自のファイトスタイルを持つ通称「ベストさん」。それでいて身体能力は抜群で、中津も「難解な人やった…」と頭を抱えた。
しかし大健闘の挑戦者を振り切ったのは、王者としての底力の証明だろう。相手が力を出しきり、その上で自分が勝利する王者らしい闘いでもあった。
この試合の直後、挑戦の名乗りをあげたのが関根龍一だった。もともと2人は騎馬隊というユニットを組んでおり(もう一人のメンバーは全日本プロレスの岩本煌史)、BASARAのタッグトーナメントで優勝している。
タッグを解消したのは昨年9月。きっかけは中津がユニオンMAX王者になったことだった。先輩の関根が「これからはお前が目標」と、ベルトを狙うために発展的解散を望んだのだ。それから半年余り。新ユニット・戦闘民族で6人タッグのベルトを巻く経験もした関根は「あらためてベルトの魔力を感じたんで。もう今しかない」と中津に挑むことを決めた。
(蹴り、関節技をベースにオールラウンドな実力を誇る中津)
「(過去ユニオンMAXに挑戦して)悔しい思いをしたし、逆に中津はトントンと成り上がっている。そういう気持ちもあるんでベルトを巻きたい」
ベルトへの思いに、順調に出世していった後輩へのライバル心も加わって、ベルトに挑むなら今しかないというシチュエーション。中津にとっては、最多防衛記録に向けて試練を迎えた言っていい。騎馬隊はプライベートでの仲の良さでも知られていただけに、“敵”となった関根はやりにくい相手のはず。以前、戦闘民族とタッグで対戦した際も、中津は関根を前にいつもとは違う表情を見せていた。
(試合後の中津に関根が挑戦表明。デスマッチでも活躍しており、猪突猛進ファイトでファンに愛されている)
関根は、そうした心理的な要素も味方につけて勝ちにいきたいという。
つまり中津が防衛するには、心理的な要素を乗り越えなければいけないということになる。元タッグパートナーがエースの快進撃を止めるか。あるいは試練を乗り越え、中津がさらに大きな存在となるか。ゴールデンウィークには各団体で力の入った試合が行なわれてきたが、その最終日、板橋でとりわけエモーショナルな対戦が見られるはずだ。
文・橋本宗洋
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