去年、野党の反対を押し切って成立した参議院の定数を6増やす法律。選挙区の統合ではじき出される自民党議員救済という思惑も垣間見え、身を切る改革という国民との約束を果たしていないという批判もある。
議員歳費は1人当たり年間7530万円。夏の参院選でまず3人増え、年間で約2億円の負担増となる。そこで浮上したのが、参議院議員が一人月額7万7000円ずつ歳費の自主返納をするというもの。提案したのは国民民主党で、榛葉参院幹事長は15日、「我々だって6増反対だよ。だけど通ってしまった。だから自主返納というのが最善の案ではないか」と述べた。
野党が審議入りに応じない中、与党は国民民主党の妥協案に賛同し、自主返納を可能にする新たな法案の要項を各党に示している。これに対し、立憲民主党や日本維新の会は3年の時限措置となっている点を問題視。さらに立憲民主党は衆参で給料が違ってしまうのは憲法違反だと指摘しており、「両院歳費削減独自案」を検討。また、日本維新の会は「両院歳費2割カット法案」をすでに提出している。
立憲民主党の蓮舫参院幹事長が「なんで歳費だけ財源だけをこんな性急に進めるのか全く理解できない。むしろ国民に対して非礼だと思う」「国民に6人の定数を増やすことが本当に納得してもらえるのかという根本の議論がないままでは財源の話には到底入れないので、各党各会派が持ち帰って検討するということになった」と述べるなど、自主返納案は4回にわたる与野党協議でも意見がまとまらず、結論は持ち越しとなっている。与党は野党各党と個別に協議して国会での成立を目指しているが、会期末までに結論が出るのだろうか。
25日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した国民民主党の森ゆうこ参議院議員は「島根と鳥取が合区されたことであぶれた自民党議員を救済するのが目的で、そのために議員定数を増やし、批判をかわすために経費を削減する。ただ、参議院議員だけの給料を減らすのは憲法違反の疑いが濃厚だ。それを押し切って連休前に無理やり通そうとしたので、ちょっと待った、みんなが乗れる自主返納という案を考えてみてはいかがかということで、強行採決をストップさせてここまで持ち込んできている」と説明。
立憲会派の小西洋之参議院議員は「もともと与党が連休前に参議院議員だけ歳費を無理やり下げる法案を出してきた。参議院議員を増やしたのは沖縄復帰以来、初めてだ。それも強行採決した。国会議員の数を増やして、国民の皆さんが納得できないからと歳費を下げるのは、一種のポピュリズムだ。議員になる前に総務省で働いていた。これを言うのは始めてだが、計算すると、総務省で働いていた場合と比べると、私の人生のそろばん勘定はマイナスだ。真面目に国会議員をやっていれば、たくさん貯金できるとか豊かになるとか、そういうことはない。選挙にはものすごいお金がかかるし、退職金もないし、年金もない。国民の皆さんと同じ国民年金だ。総務省にいた時は上乗せの年金があったが。国会議員になったからお金が豊かということではない。それでもひとりひとりの国会議員がちゃんと働けば、無駄を削減し、国民の皆さんに富をもたらすことができる。私が仮に月に7万7000円戻すと、年間100万円くらい。参議院に無駄がないかなと調査し、事務局と2日間議論して、年間3億円くらい削減できる無駄が見つかった。見つけた。これも与野党の皆さんにお渡ししている。やればできる。ポピュリズムに走る自民党、公明党の姿勢は残念だ。国民民主党がそれはいくらなんでもということで折衷案を政治判断で出された」とした。
自民党の猪口邦子参議院議員は「それぞれの県から代表が出るということで合意した。それに対して少しでも自主的に歳費削減で対応しようと。謙虚な姿勢だ。小西先生、ポピュリズムというのは定義が違う」と反論した。
日本維新の会の石井苗子参議院議員は「どうして3年という区切りをつけているのか。そこからしておかしい。自主返納は努力目標でしかなく、総額としていくらとしか出してこないので、どの人が自主返納しているのかも分からない。日本維新の会はすでに衆参の国会議員は20%カットして、被災地に持っていっている。それをことさら自慢げに言っているわけではなくて、そうするべきだと思っている。25年間、復興税を国民の皆さんから頂いているのに、国会議員の歳費は2年でひっそりと戻してしまった。25年復興税を頂くのなら、20%ずっとカットすれば色々なことに使えるではないか、というのが日本維新の会の政策であり、精神だ。改革スピリッツということで大阪でもやっている」と説明した。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)