終身雇用が当たり前のことではなくなる中、会社や団体に所属せず、個人が仕事や業務ごとに契約し報酬を得る働き方「フリーランス」に注目が集まっている。
働く場所も時間も、そして報酬も自分次第という自由に魅せられ、この3年で200万人も増加。実に社会人の5人に1人の割合に達するまでになっているという。
しかしシニア世代からは「世の中のポジションとして、その人の人生として、どれだけの価値があるかな」「勤勉に、蟻のように働くのが日本人。会社に属さないといけない。それが日本人の特性」「安定という意味では不安なところがあると思う。長女の結婚相手とかになるとちょっと考えてしまう」「だめ。今の典型的な若い連中は縦社会を嫌う。ルールがあるから自由がある。ルールがあることを煩わしいと思っていること自体がおかしい」と否定的な意見も聞こえる。
5日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、フリーランスのメリット・デメリットについて考えた。
"社長以外全員フリーランス"という異色の会社を立ち上げた、自称"フリーランスの王"ことStockSun株式会社の株本祐己代表は「会社にピンハネされるより、自分で全部もらった方がお得だよね、というのがフリーの根本的な考え方だ」と話す。
「正社員の場合、簡単にはクビにできないが、フリーランスなら要らなくなったらすぐに切れる。パッと即戦力を入れて、要らなくなったらパッと切ることができるということで、企業側にもメリットがある。フリーランスとしては、切られるリスクがある分、報酬を高くしてもらえる。特に若い世代は厚生年金のメリットも感じられないし、会社の歯車になって大した経験もないまま大人になる方がよっぽどリスク。20代のうちになるべく経験を積み、人脈を見つけた方が将来的に安定する。その意味で、フリーになれとは言わないが、ベンチャーで経営者と携わっている方が、将来自分の安定に繋がるという考え方があると思う。フリーランスだからといって社会的信用について不利益を被ったことは一度もないし、タワーマンションの審査も通った」。
その上で、「私の会社の場合、幹部や管理職の代替となるフリーランスが所属している。社員を管理職に育成するだけでなく、経験を積んだフリーランスにマネジメントしてもらうという選択ができる時代になってきている。営業は営業、中間管理職は中間管理職と、得意分野が細分化されたフリーランスがチームを組んでクライアントに納品するというのが増えていくし、今までは穴埋めに使っていたフリーランスが、これからは社内の中心、幹部として使われる時代が来ると思う」と予測した。
一方、フリーランスのデメリットとして、仕事や収入が不安定になりやすい、という点が挙げられる。
これについて株本氏は「100万円と200万円の月があって不安定というのと、毎月30万円で安定、というのがあったとしたら、私は前者を選ぶ。フリーランスで収入がゼロになる人はほとんどいないし、そういう人はフリーになっても大して稼げない。会社の中でも赤字社員だ。どうしようもなくてフリーランスになった人と、もっと稼ぎたくてフリーランスになった人の2パターンがあるが、自信がない人はやめた方がよい」と話した。
慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「会社員として勤めている時は、与えられた仕事をこなせば収入が保証される。つまり学校の宿題をこなすようなもの。しかしフリーランスは自分で報酬を交渉し、請求書を出さなければならない。これについては学校では全く教わらない。そこのリテラシーがない人は結構多いと思うし、僕もそれで十何年やってきた。そもそも雇用は人々を守るインフラの機能もあると思う。優秀な人はそのインフラを使わずにしっかり稼げばいいと思うし、ちょっと自信ないなというひとのために雇用は残しておけばいいと思う」とコメント。
働き方評論家の常見陽平氏は「フリーランスと聞くと、どうしても編集者やエンジニアを想像するが、肉体労働も含めて、その分野は幅広い。企業が人手不足や環境の変化に対応するため、専門性の高いフリーランス人材を活用したい場面がある。ただ、日本型雇用は制度的に野凍っているし、新卒一括採用も大企業では増えているので、社内に囲っておく幹部社員とフリーランスのハイブリッド化が進んでいる感じがある。ただ、雇用と請負は相反するものだし、フリーランスは労働者のように団結しづらいという問題もある」と指摘する。
「僕もフリーランスを3年間やったし、売り上げが数千万という友人もいるが、やっぱり仕事が途切れないためには、"選ばれる"ということが大事だなと思う。いかに次の種を撒き、リピート受注を得るかということ。売れている人は次の仕事がどんどんくる。去年、編集家の竹熊健太郎さんが出した『フリーランス、40歳の壁』という本があるが、あのような"壁の乗り越え方"のノウハウみたいなものはどんどん共有されていくべきだなと思う」。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)













