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寺田心くんのコスプレでインタビューに応じたレイザーラモンRG

 「あるあるネタ」に端を発し、数々の物真似、歌真似、「キモ撮り」、直近では「リンゴかじるだけ王子」など、ひとつのブームに留まらない多種多彩なネタを繰り出すレイザーラモンRG。大学在学中に、レイザーラモンHGと出会い結成したお笑いコンビ「レイザーラモン」として光を浴びているが、近年はソロとしての躍動が顕著だ。

 4月末に開催された『島ぜんぶでおーきな祭 -第11回沖縄国際映画祭-』ではお笑いのステージに立ちながら、一方で、特別招待部門としてアジアプレミアされた『ばあばは、だいじょうぶ』の応援芸人として駆けつけ、主演の寺田心のコスプレ姿で登場し、会場にどよめきを呼びつつ盛り上げた。

 インタビューでは、「お笑いだけ、漫才だけやっている」わけではないからこそ、様々な流行にアンテナを張り、自分の芸として変換し取り入れるという道のりを語ってくれた。さらに、その源泉は「怒り」、「復讐」のパワーだったとつぶやく。真っすぐに伝えるレイザーラモンRGの心の声からは、「自分の個性を活かし、前を向いて生きる」という、我々もお手本にしたい人生のヒントが詰まっている。

研究を重ね試行錯誤の末に見つけた「キモ撮り」

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――レイザーラモンRGさんご自身について、今回はお聞かせください。まずはスタイルブックまで発売になった「キモ撮り」について、ヒット予測はある程度立てながら火をつけた感じだったんですか?

RG: いや、本当に、全く予想はしてなくて(苦笑)。スニーカーの大人買いを始めてから、いわゆるインスタに“映える”撮り方をいろいろ研究していたら、あそこにたどり着いたという感じなんですよ。

――研究とは、ご自身で鏡越しで確認して、というやり方ですか?

RG: そうそう、いろいろ。スニーカーは見せたいけど、一応自分の顔も写したい、全身も写したい、みたいな。世界中のスニーカーの写真を見て、試行錯誤してたどり着いたのが今の形でしたね。全身も見えつつ、スニーカーを強調しつつ、小顔効果も得られて、二重あごも隠せるっていうのが、あの姿勢になりますね。

――(笑)。今や多くの方が真似しています。

RG: そうですね、「スニーカーを買ったらキモ撮りしよ」みたいなね。スニーカー好きな人たちは、やっぱりおしゃれな子たちが多くて、モデルさんやタレントさん、芸人だと昔はオリラジの(藤森)慎吾とかにも、いっぱいやっていただいたりして。カメラマンさんとかもそうですけど、被写体を格好よく写したいと思ったら、あの形が落ち着くっていうことでしょうね(笑)。「カメラを向けられたら自然とピースサイン」みたいな感じで、誰が始めたとかはどうでもよくて、後々、みんなのものになればいいかな、という気持ちです。

本当はお笑いだけ、漫才だけやっている方がカッコいい

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――RGさんは多彩な芸をお持ちですが、時代を泳ぐ力みたいなものを持っている自負はありますか?

RG: 本当はお笑いだけ、漫才だけやっている、みたいなのが格好いいと思うんです。できないから、いらんことしてる、という状態です。あるときから、あるあるを常に振っていただくようになって、振られたときに言わなきゃいけないという、ちょっと強迫観念みたいなのがあって、情報はすごい得ようとはしています。だからかもしれないですね、「今これが流行ってる」とか、「これが来そう」とかいうのはちょっとだけ(わかる)。だから、デイトレーダーみたいな感じです(笑)。

――今トレンドのものに関しては、アンテナを張って、それをそのままやられるわけではないですよね。そこにオリジナリティをすごく感じます。

RG: うん。アンテナを張っておいて、それと違うことをしなきゃいけない、という気持ちではいますね。同じことをしていたらダメだな、という。…これは、桂文枝師匠の話なんですけど、昔みんなに名刺を配るとき、文枝師匠だけ形が違う名刺を配っていたんです。名刺を束ねると、師匠の名刺だけ違う形だからポコッて出るじゃないですか。それで、やっぱり仕事が増える、というのをやられていたんです。人と違うことするには、という参考になりました。

あと、「何かに詳しい」とか「何かが好き」と言っておくと、仕事のオファーが来やすいんですよね。それに関しては昔、椿鬼奴を見て思っていました。椿鬼奴は、売れる前からネタのイベントで、4分間ホイットニー・ヒューストンしか歌わないとかいうことをやっていたんですよ。

――(笑)。以前からよくご一緒にイベントをされていらっしゃいますよね。

RG: そうです。鬼奴は「私は、もうこれしかできません。もうホイットニーしか歌えません」と言っていたんです。そうしたら逆に、「ホイットニー、歌ってほしい」みたいな仕事が来る(笑)。それを見ていて、やっぱり「何でもできます」と言うよりは、「好きなものは、これです。これしか!」と打ち出したほうがお仕事になるんだな、と。あのやり方に心打たれて、「あるある」を歌い出したし、BARBEE BOYS(※椿鬼奴との歌真似)も始めたし、という感じで。

迷っていた時期、腐らないでいられたのは周りの環境のおかげ

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――そうした周りの芸人さんたちの影響も強く、大きいものなんですね。

RG: この間、すごく感慨深い出来事があって。『笑神様は突然に…』の4月のゴールデンで、千鳥と、かまいたちと、野爆(野生爆弾)さんと、あと秋山(竜次/ロバート)と僕という、すごい古くから知っている人たちでゴールデンの番組に出たんですよ。好きなこと、面白いことだけをやってきた人たちで、あそこに行けたのはジーンときましたね。そこに入れているという意味でも、うれしかったですね。

――皆さんで、たまにはそうした熱い話的なこともなさいますか?

RG: いやいや、それは恥ずかしくて、ちょっと言えないですけど(笑)。言えないですけど……いつか言いたいですね。野爆さんとかは本当にデビューのときからお世話になっていて、変なイベントをいっぱいさせていただいて(笑)。くっきーさんも「これしかできませんよ」というのでやってきて、今アートも、すごいじゃないですか。僕も頑張っていろいろやろうとしていた時期もあったんですけど。

――迷っていた時期というのは?

RG: 逆に…迷いがなくなったのって、本当に2010年ぐらい。「あるある」を始めてからです。そこからは、もう、「俺はあるあるでいくんだ!」っていう、ひとつ背骨ができたというか。それまでは、本当にプロレスの団体に出させてもらっているけど、ヘビー級の人たちに投げられて、叩かれて、正直「はあ…」となっていた時期もありました。

――くさらないでいられるのは、どうしてだったんでしょうか? RGさんの状況とは異なっていても、社会人として仕事に向き合っていると多かれ少なかれ「はあ…」の時期はきてしまうもので。

RG: そうですよね、そうですよね。僕の場合は…まずは、周りに恵まれていたのが大きいです。当時、(相方の)HGが「フォー!」で売れて、かわいがっていただいているバッファロー吾郎軍団の皆さんに、「お前も頑張れ!何してもいいよ」と、すごく優しくしていただいたんです。あと…どのインタビューでも言っていないんですけど、実は怒りのパワー、復讐のパワーが大きかったかもしれませんね。

怒りのパワーで20年間やり続けることができた

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――何に向けての怒り、復讐でしたか?

RG: あの時期に…2ちゃんねるとかでしたね、流行っていてね。2ちゃんねるとかを恐る恐る見ると、「あいつと同じ高校だったことが恥さらし」、「立命館大学の恥さらしだ」、「すごく滑ってる」とか。地元に帰っても、「地元を捨てた」とか、地元の人たちからもそういう目で見られてたっていう。何だったら親すらもね、同じぐらいの時期に、大阪で頑張っていたブラックマヨネーズさん、チュートリアルさんとか、みんな売れて、「あんた何してんの?」みたいな。

そのとき、プロレスの仕事でマイクパフォーマンスをしていて、「親にはこういうことを言われましたが、今こうして後楽園ホールで、メインでできて、皆さんが応援してくれてることは本当にうれしい。皆さんの応援のおかげで、俺は試合ができています、頑張れています。ありがとうございました」みたいなことを言ったんですよね。マジで、ちょっと泣きかけながら言ったんですけど、泣いたらダメだと思ってね、うん。だから、「何とかしてやろう」という怒りのパワーが、実は一番でかかったかもしれないです。

――それでも応援してくれる人の声が、支えになったりしていたんですね。

RG: ありがたくて。ちっちゃな喜びも見つけられるようになれました。僕としては当時、日本中から馬鹿にされていたように思っていたのに、タクシーの運転手さんとかに、「観てるよ。本当にお前のプロレスは心打つな」みたいに言われて、ジーンときたりとかね。「よし、よかった。やってきてよかった」って。「こんだけ言われたから見返してやろう」の気持ちが、20年間芸能界でやり続けていることかもしれませんね。

実は、今日も、「もしかしたら心くんや監督に、嫌がられるかもしれない…」と思いながらも、一応、自分なりに心くん風のヅラと衣装を持ってきたんですよ(笑)。

――え、その心くんコスチュームは自前というかRGさんプレゼンなんですね?

RG: そうです(笑)。会社側からは、ただ「RG、このイベントに行ってください」というものだったんですけども、ただ行くのってどうかな、と。例えば、この(舞台挨拶の)記事を見た先輩方が、「おい、何してんねん、あいつ」と少しでもならないことには意味がないですし、「ここで攻めなかったらどうする、自分」と思って。昨日の夜、家中のかつらを引っ張り出して、心くん風のを見つけて(笑)。

45歳だけど今が青春

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――20年間走り続けられている理由が、今のお話にもありますね。

RG: そうですか?あの場を盛り上げつつも、その記事を見た先の人にもというか、毎回くさびを打たないと。そうやって歩いていかないと、すぐ山から落ちちゃうんで。正直、監督と心くんにどう思われたかはわからないですけど(笑)、やらないよりはね。もともと仏教の精神というか、「悪いことをしたら、悪いことが起きる。さぼったら、やっぱり落ちていく」という想いがあるんです。

――落ちていく方を見たりした経験もありますか?

RG: 何回も見てきましたし、自分自身、何回も落ちたんで。芸人、みんな、めちゃくちゃあがいてるとこを見ているので。この間、仕事でちょっとだけニューヨークに行ったんですけど、渡辺直美も一歩踏み出しましたし、綾部(祐二)もあんなところでひとりで頑張っているとか。あと、トレンディ(エンジェル)の斎藤は、ミュージカル『レ・ミゼラブル』に出ているとか、こんなときでも、千鳥は7本撮りのロケをやっているとか(笑)…。みんなを見ていると、少しでもさぼっているのが怖くなりますよ。

――RGさんのすぐ周りで、ずっと頑張っている方がいらっしゃるから。

RG: そうですね、さぼれないです。ネタを書くとか、いい大喜利を出すとかじゃないから、俺のできることは、「ハァハァ、心くんの物真似だ!」と。さぼっちゃダメだと思って。あとは、そのニューヨークで少し嫌な思いをしたんですよ。一般の方に、「全然面白くないね、普段」みたいなことを言われれてね(笑)。

――今でも、真に受けます?「嫌なことを1言われた…」みたいな心境ですか?

RG: 「1言われた」って部分はある。でも、今度会ったときに、「こいつ、もうひれ伏さしたろう」という、湧き立つ想いですね、今。やっぱり怒り、復讐心なんですよ。ちょっとでも仕事がうまくいっているときとかは、褒められまくってしまうんですよ。「自分で思っていたところまで来れてるな」みたいなところがちょっとあったんですけど、ニューヨークでそんなことがあったんで、逆に「ありがとう」と。

――ある種、鼻をへし折られたような?

RG: はい。ほんま、煮えくり返るぐらい、2日間ぐらい、グツグツなりましたけど(笑)。その分、ニューヨークの仕事も頑張れましたし。「RG、あんまおもんないな」事件があったから、今日、心くんのコスプレにつながったと思います。もしかしたら、ちょっとあぐらをかいてたかもしれないので、毎日、毎日、何かに訴えていかんと、という気になりましたね。今年45ですけど、今が青春と思ってやってます。

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取材・文:赤山恭子

撮影:映美

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