こんにちは、青木真也です。
さて、平田樹・19歳。昨年末に行われた格闘リアリティ番組『格闘代理戦争』3rdシーズン優勝。一気に日本女子格闘技の話題の中心になった平田選手。プロデビュー戦が6月15日のONE上海大会で行われました。結果は1Rでの圧倒的な勝利。この勝利に対しては驚きもなく、この勝利のさらに先を見ていきたいといった感想です。勝利が当然のことのように、本人だけではなく、周囲の関係者、観客すらも感じていることが彼女に対する期待感を表しています。
平田選手とは1月にシンガポールのEVOLVEMMAで練習をご一緒させてもらう機会がありました。その時に感じた彼女の強みは格闘技の強さではなく、学ぶ姿勢と挑戦する姿勢でした。技術的には粗さはあるのですが、知らないことや分からないことを学ぶ姿勢のある選手だと感じました。格闘技だけに限らず全ての競技や仕事で大事にされる当たり前の姿勢ですが、これが一番難しいのです。自戒を込めて、ですが、「学ぶこと」「挑戦すること」は大事です。
その姿勢は今回の試合でも発揮されていました。平田選手の得意分野である柔道を試合前半は封印して、打撃戦を試していました。最終的にはストロングポイントである柔道に帰結するのですが、自分が練習してきたことを試合で出そうとする姿勢は今後に繋がりますし、プロデビュー戦で挑戦する平田選手のマインドの強さは「プロ向き」であると思います。
平田樹は女子格闘技界を担う存在になるのか。
素質だけで言えば間違いなく、その可能性はあるでしょう。ただ男女問わず素質がある選手はごろごろといるのが現実です。それが途中で消えていくのが芸事の世界です。芸事の外にいる方からしたら、不思議に思うかもしれませんが、これが現実です。
格闘技の未来を担う存在になるかは分からない。
けれども『格闘代理戦争』を代表する選手として、関係者、裏方が懸命に担ぐでしょう。期待とか責任とか愛とか全てを燃料に平田樹を背負っていく想いであるのだから、大丈夫。僕も微力ながら担ぐ仲間に入れてもらえていることを嬉しく思っています。
『格闘代理戦争』出身者は、平田選手だけでなく、我々が懸命に担ぐから、担がれる覚悟を決めて、思いっきり格闘技人生を満喫してください。オレたちはファミリーだ。
■文/青木真也(格闘家)
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