亀田vs天心、魔裟斗「興毅なめたらヤバいよ」発言の真相 「キックボクサーには打てないパンチ」に注目
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「興毅なめたらヤバいよ」

 先月21日、K-1の黄金期を牽引した魔裟斗が自身のインスタグラムに投稿した“ひと言”が波紋を呼んだ。これは言うまでもなく、22日に「那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円」のスペシャルマッチとして行われる元ボクシング世界三階級王者の亀田興毅那須川天心の一戦を想定したコメントであり、魔裟斗の発言の真意はもちろん、その勝敗の行方についても多くのファンを巻き込む論争に発展した。

 決戦を10日後に控えた11日、東京の新宿区にある協栄ボクシングジムには魔裟斗の姿があった。亀田の仕上がり具合を確認するためにジムを訪れた魔裟斗は、当初はリングサイドから真剣な眼差しを向けていたが、ミットを手に取るとリングに上がり、亀田のパンチの威力を確かめるように受け止めた。その後も続いたミット打ち、さらに鏡の前での念入りなシャドーを終えたところで、対談形式のインタビューが始まった。魔裟斗には発言の真意を、亀田には改めて現在の心境を聞いた。

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「(あと)10日ですよ……目の前やん」

 何とも言えない笑顔を浮かべた亀田に対して、魔裟斗が「調整期間は(十分だったか)?」と質問を投げかけた。実際には1カ月半弱だったと回答した亀田は、去年5月にポンサクレックと戦った時の調整期間が3カ月半であったことを明かすと、今回の調整期間の短さに対する不安に言及する一方で「こういう戦いはこのタイミングでしか実現しない。自分の身体が動くのも今だけ。あと3年くらい経ったら難しい。ギリギリ『亀田興毅』の名前が残っている今だからこそ、格闘界の次の世代を担っていく選手と格闘技の枠を超えて交わえるというのは、客観的に見ても夢があっていい」と率直な心境を語った。

 そんな亀田の言葉を受けて「ドリームマッチではあるが……」と続けたのは魔裟斗だ。魔裟斗は「日本人としては初の三階級制覇を達成したチャンピオンが、仮にキックボクサーの那須川天心に負けるようなことがあれば、ダウンをとられるようなことがあれば、リスクが大きすぎるのでは」と話した。

 「確かにリスクはある」と頷いた亀田は「もし負けたとしても、それはボクシングが負けたわけではなく、亀田興毅が負けたということ。どちらにしても注目が集まる場で、引退はしたけどいいボクシングを披露できたら、その様子を見て『ボクシングってカッコいいな』という子供が増え、すそ野が広がっていけばいい。ボクシングの競技人口は減っていて、井上尚弥選手というビッグスターが誕生する一方、世界チャンピオンでも生活のためにアルバイトをしなければならない選手もいる。それでは寂しい。注目を集めるくらいなら今の自分にもできる。だからこそ、身体張って行ったろうかな」とボクシング界への思いも口にした。

 とはいえ、そこは三階級制覇のチャンピオン。実際にパンチを受けた魔裟斗が着目したのは、亀田の左フックとインサイドのボディだ。「インサイドボディはキックボクサーでは打てないボクサー特有のパンチなので、受けたことがないはず。あのパンチを入れることができるか否かの勝負になる」と魔裟斗が指摘すると、亀田は「あれも一つ。ただ他のパンチも織り交ぜながら。一つだけで行っても、相手は足が速く、巧いから当たらない。バリエーション多くやっていく」とボクサーとして培ってきた“引き出し”の多さに自信をのぞかせた。

 また魔裟斗は「前に出る圧力、プレッシャー」についても言及すると「あれだけの圧力はおそらく試合の中で感じたことが少ないはず」という見方も示した。すると亀田は「そこがどうか、というのはある」と応じると「相手が意外といけると感じるか、結構パワーあるなと思うかは手を合わせてみなければわからない」と慎重な姿勢を崩さなかった。

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「あれ、どっちなんですか?」

 唐突に亀田が、魔裟斗の“例の発言”について切り出した。「どっちなんやろうと思ってて。とり方によっては、どちらとも言えるから……」と話すと、意味深な笑顔を浮かべた魔裟斗は「(今まで同様、3Rでの勝負を前提に)ペース配分が変わってくる」とボクシング出身の“興毅が不利”であるという見解を述べ、あの発言が興毅に対する忠告であったことを明かした。そして、その理由を次のように説明した。

「12Rで闘うボクシングがマラソンだとすれば、3Rは800m走。天心は普段から短いラウンドで闘っているので、最初からくる。現役時代の頃にボクサーとのスパーリングを行っていたが、10回戦以上のレベルの選手になればなるほど、最初のスピードについていけないという話をよく聞いた。そこのギャップを意識して入らないと、興毅くんも危ない」

 魔裟斗の指摘に対して冷静に頷いた亀田は「3Rの人たちって、スタートからハイで行ける。ボクシングは12Rやから、1Rから上げるのが正直シンドイ。あれ、あれとなっているうちに終わってしまう可能性もある。1Rからマックスで来る相手に耐えられるようにしておかないと」と話し、魔裟斗の指摘は“織り込み済み”であるとの認識を示した。

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 対談も最後になると、魔裟斗から思わぬリクエストが飛び出した。

「今はすっかり大人になった亀田興毅。でも、試合当日のリングで相手と向かい合った時には、現役当時のような挑発を見られるのでは? と密かに期待しています」

 この言葉を聞いて「ちょっと待ってください」と破顔した亀田は「もう32歳ですよ。20歳の相手に『コラァ』とか言ってたら、さすがに見え方おかしくなるでしょ(笑)」と大人の対応。しかし、闘いとなれば話は別のようで「そりゃ、試合ではスイッチ入りますよ。そこは『浪速乃闘拳』で行かないとね」と自信に満ちた穏やかな笑顔で締めくくった。

写真・文/車谷悟史

(C)AbemaTV

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