「那須川天心は相手ではなく、世間と闘っている」青木真也、「20歳の若者をただ見上げてしまう」
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こんにちは、青木真也です。時差ボケ辛いです。

7月1日から9日まで1週間ちょっとスペインにセミナーで行っておりました。セミナーとは言ってもセミナー自体は2時間を2回なので、リラックスしに行っていたと解釈されてもおかしくないです。

毎日、招聘してくれた方と練習してプールに飛び込み、メシを食らう日々を過ごしていました。近年は仕事とプライベートの境目がより曖昧になって公私混沌としています。“遊ぶように働く”と聞こえはいいですが、実際は淡々と目の前にあることに取り組んでいるだけです。

帰国して時差ボケには悩まされるものの、心身ともにリフレッシュしています。

練習が日に一回でそこまでの強度ではなかったことと、日本にいないので仕事が物理的にできなかったので、体が強制的に休まりました。何を今更な話ではあるのですが、強制的に休むような状況を作ることが大事だし、それを人はバカンスと呼ぶのだなと改めて思いました。休みも大事なのです。

今は練習がしたいし仕事がしたいなーと思えているので、働きたくないなって感じている人は、働きたくなるまで休むこともありなのではと思います。時差ボケは辛いけど。

「那須川天心は相手ではなく、世間と闘っている」青木真也、「20歳の若者をただ見上げてしまう」
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7月21日のRISE那須川天心さんがムエタイの強豪スアキム選手と対決。

那須川さんのハードスケジュールっぷりは同業者から見ると常軌を逸しています。このレベルで強豪選手との連戦は心身ともに削れていくはずです。若いからが理由にならないほどのハードスケジュールで強豪を相手にしています。

彼の立ち位置は不動のものだし、自分のペースで試合をすることもできるはずです。それなのに自ら過酷な戦場に飛び込んでいくのは彼が心の底から「ジャンルを一段上げたい」と動いているからのように感じます。

彼は対戦相手と闘っているのではなく、使い古された言葉で言えば「世間と闘っている」し、僕らが見えない見たこともないようなものと闘っているように思えてならないです。彼の発する「格闘技を盛り上げたい」の言葉は今までの誰よりも真実味と説得力があるのです。

僕は「格闘技を盛り上げたい」って言葉を使うのがどうも苦手でした。それは格闘技を盛り上げることの大変さもわからず、とりあえず社交辞令で言っている覚悟のない薄い言葉がほとんどだったからです。

格闘技を盛り上げたいのではなく、お前がよりたくさん見られたいだけだろうと感じてしまうのが本音です。格闘技が厳しかった時代にどうにかしようと全力を尽くしてダメだった経験があるので、大変さはよくわかっているからです。格闘技を盛り上げたいと本気で思って、そして言葉にしていいのは那須川天心なんだろうなあと思う最近です。36歳の同業者は20歳の若者をただただ見上げてしまうのです。無責任だけれども。僕は持ち場で頑張ります。

気がついたら今年も半分が終わっていました。もう半年コツコツやっていきましょう。今月も格闘技は全力営業中です。

文/青木真也(格闘家)

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