「自己破産の可能性は誰にでもある」リボ払い、ツケ払い、銀行カードローン…無意識の”借金”に要注意
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 借金なんて自分には関係ない、そう考えている方も多いのではないだろうか。街で聞いてみても、「してない」「これからもする予定は絶対ない」等、自分は借金とは無縁の生活を送っているという人がほとんどだった。

 そもそも借金とは、一般的に銀行や消費者金融からお金を借りること。金融庁によれれば、金融機関などから借り入れをしているのは17~8人に1人ほどというが、毎月定額で支払う「リボ払い」、いわゆる「ツケ払い」「後払い」にまで範囲を広げると、ほとんどの人に"借金"の経験があるはずだ。実際、「僕は経験ないけれど、友達が50万」「1回だけリボ払いを使ったことがある。ちょっとずつ返していけばいいみたいな」、さらに「ZOZOTOWNのツケ払いが溜まっている人はいた」「奨学金借りてる。あれも借金か」などと話す人は少なくなかった。

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 ゆまさん(27)は、消費者金融からの借り入れも含め、およそ340万の借金を抱えている。18歳の時にクレジットカードを作り、リボ払いを利用してきた。「なんでも使える魔法のカードで、一瞬で支払いができるので超便利って感じだった。借金という認識は全くなかった」と振り返る。かわいい服やアクセサリー、おいしいご飯。さらに、ネットで簡単に申し込めてしまう消費者金融や銀行カードローンにも手を広げた結果、「カード会社からどこも貸してもらえなくなって払えなくなって、でも催促は続いた」。

 返済が困難になったと考えたゆまさんは債務整理を行い、慎ましい生活を送りながら、少しずつ借金を返済している。

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 お笑いコンビ「スパローズ」のボケ担当・大和一孝も借金で地獄を見た一人だ。高校卒業後に福岡吉本に所属すると、18歳にして初めて借金(10万円)。3年後には返済しなければならない額が450万。それでも"借金額がデカい方が芸人やな"という安易な考えから、知人・友人60人と、消費者金融40社から借金を重ね、額は累計で1000万円に上っていた。「飯食ったり、パチンコ行ったり、生活費とか。風俗も!…すみません。"飲む・打つ・買う"っていうのが芸人だって教わっていたから、もう言う通りにしようと、いけるとこまで借りようと」。

 芸人として売れているわけでもないのに借り入れを重ね、厳しい取り立てから逃げ回る日々。「15社に借りていたときは2日に1回支払いがある。お笑いの仕事が入るとバイトができなくなるので、人に借りて返し続けないといけない。3人に毎日借りて、3人に返すというような生活だった」。ついにファンからもお金を借りたという。

 「お笑いライブでも、借金の話しかトークができなかった。そしたらファンも心配しだして、ファンレターに1000円とか5000円とか入れてくれる子も出てきた、中には"風俗で働いているがお金の使い道がない"という方もいて、最初はそれはできないと言っていたが、半年後くらいに困ってしまい、借りてしまった。やっぱり追い込まれると、犯罪者に近づいていく自分に気付く。人を傷つけない犯罪はないかなって頭に浮ぶ。だけど、そこで踏みとどまったから今この場にいられる。やっぱり、お金がない人って人にも優しくできなかったり、イライラしたりが増えてくる」。

 その後、大和は自己破産を選択する。自己破産には全ての債務の支払い義務が免除というメリットがある一方で、「借入が約5~10年できなくなる」「住所氏名が官報に掲載」「免責決定まで就けない仕事がある」などのデメリットも存在する。しかし、今は経済を扱うラジオ番組のレギュラーを2本抱えるまでになった。

■自己破産の増加、背景に銀行カードローンの問題も?

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 せたがや市民法律事務所の三上理弁護士は「クレジットカードを作る時に、それが借金だということを認識しないまま買い物をし、払えなくなるとリボ払いに変え、さらに払えなくなると他から借りたお金で返していく…というのを繰り返しているうちに、借りられなくなるところまで行ってしまい、残高が膨らんでしまうケースはある。"リボ払い""ツケ払い"といった名前にすることで、それが借金にあたるということがなかなか自覚されないという問題もある。また、クレジットカード会社には支払い可能見込み額を調査する義務があり、年収と他社からどれだけ借りているかや、生活費を考えて、返せるだけの金額までしか与信を与えてはいけないことになっている。ただ、1回払いだけの場合は、その義務が課されないことになっているなど、不十分な部分もある」と話す。

 また、2010年ごろから銀行カードローン、そして自己破産が増加していることについては、「貸金業者、金融機関には"貸さない親切"があるはずだと思うが、返せるだけの収入がない人に返せないだけの金額を貸してしまう、過剰融資の問題、さらに過高金利や違法な取り立ての問題もあった。貸金業法が改正され、年収の3分の1を超えるような貸付をしてはいけないということが定められたので、それまでじゃぶじゃぶ貸していたような貸金業者には一定の歯止めがかかった。その結果、破産件数も13年連続で減り続けていた。一方、自己破産が増える傾向にある理由の一つとしては、貸金業法が適用されない銀行が貸付を増やしていった可能性が考えられる。テレビでも銀行カードローンのCMが流れるようになってきているが、2010年ごろから銀行による無理な貸付、収入の低い人に対する過大な貸付の問題が出てくるようになった」と指摘した。

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 そんな中、金融庁は2017年になって銀行カードローンの監視を強化している。「貸金業者が年収の3分の1しか貸せないのに、そこで借りられなかったような人に銀行が過剰な貸付をしているのはおかしいのではないかということ。銀行の方も規制をかけられては困るので、自主的に年収の2分の1や3分の1とかまでしか貸さないようにしている。最近の傾向としては、ノンバンクの消費者金融や違法なヤミ金が規制によって減ってきている代わりに、規制のかからないクレジットカードの買い物や銀行系カードローン、奨学金の相談がやはり増えてきている」と明かした。

 「誰しもが自己破産する可能性はあると思う」と警鐘を鳴らす三上弁護士。「借金は金を借りるだけではなくて、時間も負債を抱えるようになるし、心まで負債になってしまう。だから、0の時に踏ん張るのが一番楽だ。10万借りた時に踏ん張る、だともっと踏ん張り辛くなるし、50万になったらもっと踏ん張れなくなるので、今きつくても、ずっとマイナスではない。とにかくプラスにいることだけは守ってほしいと思う」と訴えた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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