「早く国会議員を辞めたい」「年内は何もしない」N国党・立花代表の行動原理と”NHKをぶっ壊す”ためのロードマップ
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 「勝ったぞ!NHKをぶっ壊す!!」。NHKから国民を守る党、"N国党"が比例代表で最後の50番目の議席に滑り込んだ22日午前4時すぎ、支持者達とともにシュプレヒコールをあげた立花孝志代表。AbemaTVの開票特番に生出演した際には、「政党要件を満たさなければ党名は出ず、"諸派"として扱われる。次の衆院選挙のことを考えて、とにかく2%の政党要件を取ることを目指した」と、先を見据えた緻密な戦略があったことを明かした。

 立花氏が話したとおり、公職選挙法では国会議員が5人以上、もしくは1人以上で直近の選挙で比例区か選挙区のいずれかで得票率が2%を満たさなければ、「政党」としては扱われず、政党交付金も受けることはできない。また、この基準を元に報道を行うメディアの扱いもきわめて小さいものになってしまうのだ。

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 そこで立花氏はYouTuberとしての経験を活かし、SNSやYouTubeをフル活用。電話のやりとりや取材を受ける様子をLIVE配信、街頭演説やNHKの政見放送でも過激な発言を繰り返してきた。そして、6年にわたって訴え続けてきたことは、ただ一つ。NHKを見る人だけが受信料を払い、見ない人は払わなくてよい、という主張だ。また、自らの露出のハードルにもなっていた公職選挙法の規定をいわば逆手に取り、戦略を構築した。

 「都道府県の選挙に候補者を出して、2%以上を取った場合、いわば選挙資金は政党助成金として1票いくらで返ってくる。しかも供託金よりもたくさんのお金がもらえるということを計算してしまった。そこで、"こういう法律、こういうシステムになっていて、前回の選挙では幸福実現党さんがこれくらい獲得できただから、うちはYouTubeの力で確実に2%超えられる。だから貸してくれない?"と説明したら、1週間くらいで1億円近くが集まった。資金が集まった段階で大丈夫だと確信した」。

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 一方、党所属の地方議員の中には、差別的な発言が問題視された人もいた。「切り捨てた。大バカ野郎だった。そもそもうちの党から立候補するなんて、取引を止められたり、家族の反対に遭ったりと、マイナスが半端ない。それで立候補すれば当選すると分かって利用しようとした不届きな奴がいっぱいいた。こちらとしてもそういう人はうまく使わせてもらっていたが、今回はそういう人間はいらないと思ったので、10人くらい切った。これからはこちらが選べるようになる。特に地方議員はちゃんと表に出て有権者と触れ合っている人。党のボランティアとしてやってもらって、分かっている人をこれからは選ぶ。そういう人がすでに順番を待っている」。

 それでも、「暴言吐いたりとか、放送できない内容でも、言いたい放題言って、こっちもスカッとする」「欲望に正直なところ。汚いところも包み隠さず」と、99万票もの支持を集め、ついに議席を獲得するに至った。

 「"NHKをぶっ壊す"というキャッチコピーやポーズが広まったことは間違いないが、だからといって票を入れるわけじゃないし、下ネタ系の発言はなかった方が票は入っただろう。どちらかといえば、"NHKの被害者を守る"ということでシールを配ったり、相談の電話に出たりと、6年間の"どぶ板"を行ってきたことの効果があったと思う。僕はNHK時代、予算を会長に説明していたので、超インテリですよ(笑)。本当にできる人間は崩しても大丈夫だということです」。

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 しかし、立花氏の本当の目的は、前述のとおり、次の衆院選だ。「参院選のための政見放送は、3年前の東京都知事で終わっていた。今回は、次の衆院選に勝つための政見放送を41名でどのようにやっていくかだった。次の衆院選までに、若者にYouTubeで政見放送を見てもらい、温めておく。そして次の衆院選では、間違いなくふざけない。ビシッとやる」。

 いわゆる"インディーズ候補"の取材を長年続けてきたフリーライターの畠山理仁氏は「みんなが同じ条件、同じ額の供託金を納めて出馬しているという意味で、本来はスタートラインが一緒。ただ全候補を呼んで討論させるのは物理的にも難しいということで、政党要件を一つの基準とし、それを"主要政党"として選んで出しているのが現状。今回の参院選は、そうやって"放送禁止物体"のようにテレビが映さなかった政治団体が議席を取るという、非常に歴史的な選挙になった。今後、同じようにSNSを活用して新規参入しようとする政治家にとってはモデルとなる可能性が示されたし、ある意味ではテレビが負けてしまった選挙だとも言えると思う。ただ、引き続き出演させるのを嫌がると思うは思う」と話す。

 この点について立花氏は「今はNHK内部がえらいことになっているという情報も入ってきているし、『日曜討論』にも出してくれないと思う。例えば山本太郎さんが小沢さんとくっついた時には議員が4人から5人になったので出られるだろうと思ったが、"1.91%しか取ってないから"と、議員数と得票率の両方をクリアしてないことを理由に断わられた。だから今から5人集めに行くぞっていうのが、僕の初仕事」とした。

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 参院選から2日後の23日、立花代表の姿は永田町にあった。「初仕事というか、多数派工作。たくさんの国会議員がうちの党にいることが大切なので、今から内緒の多数派工作に行ってきます(笑)」。

 日本維新の会を離党した丸山穂高衆議院議員ら、無所属議員に秋波を送る。「"立花さんの所の政党に行ったら2430万円くれるんですか"ってびっくりしていた人もいた」。これから交付される政党助成金を次の選挙の資金に充ててもらう代わりに、入党を打診するという戦術だ。それ以外は、当面「何もしない」と話す。

 そして次の衆院選は来年に実施されると予測、2022年の参院選の前年、2021年にスクランブル放送を実現させたいという。「今回の参院選で改憲勢力が国会発議要件である3分の2を切ることも読んでいた。これからの3年間は発議できないが、その次の3年間を見据えて、裏では交渉していこうと思っている。とりあえず今のところは反対で、安倍さんの“最後の懐刀“で置いておきます。もし自民党がスクランブル化に賛成するのであれば、憲法改正に賛成します。委員会で立花には当てない、質問の時間を与えない、という動きがすでにあるし、政治というのは数だから、1人で何かできると思ったら大きな間違い。国会で僕だけが動いたところで時間がかかる。しかし、直接民主主義にすれば、NHKのスクランブル放送してほしいという人が絶対半分以上いるから、自然にスクランブル放送ができることになる。そのためにYouTubeをする。そして、NHKのスクランブルをしようという思いが自民党の人にあればいい。だから自民党が"分かった。NHKのスクランブル放送に協力する"と言ってくれるよう、自民党との駆け引きも始めている」。

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 立花氏が繰り返し言及したのは、「早く国会議員を辞めたい。できるだけ早くスクランブル放送を実現させ、政治家を辞めて、解党する」という行動原理と、そのためのロードマップだった。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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