昨年12月に発表された『第15回 好きな女性アナウンサーランキング』(オリコン調べ)で見事第2位に輝いた弘中綾香アナウンサー。2013年にテレビ朝日に入社して以降、およそ5年間『ミュージックステーション』でサブMCを務め知名度を上げ、現在は『激レアさんを連れてきた。』で研究助手を担当。小気味いい仕切りと、若林正恭(オードリー)とのキャッチーなやり取りが世間にウケ、人気を獲得した。そしてこの夏、弘中はAbemaTVでトーク番組『ひろなかラジオ』のMCに挑戦する。初回収録から歯に衣着せぬ発言を連発し、収録に立ち会った番組スタッフも「こんなに喋れるんだと驚いた」と手応えを感じていた。
”嘘をつかない”のが弘中のスタンスだ。女子アナランク2位について聞くと、少し考えた末に「言っちゃえば迷惑(笑)」と笑顔で返す。そんな弘中が、今後挑戦していきたいこととは? 話を聞いた。
上がったら落ちていくだけ
--『好きな女性アナウンサーランキング』第2位を受けて、率直に何を思ったのでしょうか。
弘中:うーん、なんだろ。あまりいい印象はないですよね、2位って言われても。
--そうなんですか?
弘中:上がったら落ちていくだけじゃないですか? 世の中ってそういうものというか。アウトローで生きていきたいなと思っていたので、世間に見つからない方がよかったなと。2位になっちゃうと良くも悪くも注目を浴びちゃうと思うし、ネットニュースとかになるのも嫌だし。言っちゃえば(ここから小声になって)迷惑というか(笑)。
--あははは(笑)!
弘中:大変失礼な発言だと思いますけど(笑)。というより「2位だったね」って声を掛けられても実感がないっていうのが本音なんですよ。まず「2位って本当なのかよ!?」っていう疑問が1つでしょ。それに加え「そんなのに縛られたくねぇぜ」っていう中二病みたいな気持ちが生まれてきちゃったのでね(笑)。
--個人的には、『激レアさんを連れてきた。』の中で繰り広げられる若林さんとのコミカルなやりとりが世の中に受け入れられたのかなと思うんです。あえて本人に聞きますが、何が世の中に受け入れられたと思います?
弘中:1つだけ”ここかな”と思うのが嘘をつかないようにやってきたことですかね。等身大というか、もしかしたら親近感みたいなものを感じてもらえたのかも。でも、本当にわからない。なんで私が2位なのかな。
--ネットの声は気にしますか?
弘中:もう気にしてないです。気にしないようにしています。
--配信する立場として気をつけなければいけないと思いますが、明らかに間違った内容や意見も本当にたくさんありますからね。
弘中:そう。「うあ、また間違ったニュアンスで書かれてるよ…」と思うことが99%なんです。その時に「なんでこうなっちゃうんだろう」という気分に左右されちゃうのが1番よくないなと思って。なので「そのようなコメントには触れません、見ません」みたいな気持ちになってます。
ラジオは議論を深めていける
--ラジオ番組は弘中さん自らが「やりたい」と発信していたと伺いました。
弘中:ふふふ(笑)。そうですね。色んなインタビューを受ける中で「やりたいことはありますか?」と聞かれるんですけど、「ラジオをやりたいです」って話をしていて、今回AbemaTVで始まるという運びになりました。
--『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)に出演したのがきっかけだったのでしょうか。テレビ局のアナウンサーがラジオ番組に出演するのも前代未聞の試みですよね。
弘中:あのおふたりがいたからこそなんですけど、初めてのラジオ番組はとっても楽しかったです。なので、自分でも番組をやってみたいなと。
--ラジオに挑むのは、トークスキルに自信があるから?
弘中:いや、そういうのはないですよ(笑)。
--『アメトーーク!』などを手がけるテレビ朝日の加地倫三プロデューサーが弘中さんのトーク術をラジオ番組で絶賛していました。入社試験の時「頭抜けてすごかった」と。
弘中:いや、あれ本当かな? 加地さん、絶対その時のこと覚えていないと思いますよ(笑)。
--面接官だったんですよね?
弘中:直接はお会いしていないんですけど、面接官だったみたいです。スタジオで擬似番組をやるっていう試験があったんですね。カメラ越しにはプロデューサーさんがたくさんいて、それを見てくださっていたみたいですね。でも、本当に私の話なのかは定かではない。
--(笑)。『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)に出演したら「踊るヒット賞取るタイプ」というコメントも。
弘中:ふふふふ(笑)。加地さん、本当にいい人。盛っていただいている。思うのは、テレビ番組って「弘中ちゃんどうなの?」と振られて、一言で返して成立させるというやりとりじゃないですか? 会話が2ターン、3ターンとラリーすることがあまりないんですよね。
--確かに。特にバラエティはそういう図式な気がしますね。
弘中:でもラジオは議論を深めていけるのがおもしろいなって。自由度が高いというか。そもそも会話ってこういうものだよなとも思うんです。そういうところも、”ラジオをやりたい”と思ったきっかけですね。
YouTubeめっちゃ観る
--これまで共演された方の中で話が上手だなと思う人はいましたか? ラジオをする上で影響を受けたというか。
弘中:皆さんお話は上手だなと思います。共演者ではないですけど私がよく聞いているラジオは神田松之丞さんの番組です。松之丞さんは30分のラジオ番組をおひとりだけで喋ってるんですね。それがすっごく面白くて。尊敬しています。
--収録現場に立ち会わせてもらって”弘中さんよく1人でこんだけ話せるな”と驚きました。
弘中:本当ですか(笑)? そんなに話せていたかな。それと私、YouTubeをよく観るんですよ。なのでYouTuberの方の口調も真似ちゃっているのかもしれません。そう言えば、になっちゃいましたけどYouTubeめっちゃ観る。
--どういった動画を観るんですか?
弘中:美容系を観ます。あと、けみおくんとか、丸山礼さんとか。YouTuberっておひとりで展開する動画が多いじゃないですか? その影響もあって、1人で喋ることにも抵抗がないのかも。
--『ひろなかラジオ』に呼びたいゲストはいますか?
弘中:「お悩み相談室」ってコーナーを生の人間相手にやってみたいと思います。コメントだけだと伝わらない部分もあるし、「弘中に悩みを聞いてもらいたい」って思いがある人がいれば、ぜひスタジオにきて欲しいです。しっかり長尺で相談に乗りたいですね。
--オードリーさんは?
弘中:いやいやいやいや(笑)。来てくれないですよ、絶対に。
アナウンサーという枠に縛られたくない
--弘中さんにはテレ朝のエースアナとして、期待もかかっていると思います。
弘中:そうなんですか(笑)。全く自覚がない。
--今後、弘中綾香一個人として目指していきたい道はなんでしょうか? 「革命家になりたい」という発言も耳にしましたが。
弘中:いえいえいえいえ。
--局のアナウンサーが”ラジオ番組に出演”は前代未聞のことで。でも弘中さんが新しいことに挑戦していくことで、今後アナウンサーの表現の幅も広がっていくと思います。いわゆる”当たり前”と思われてたものの裏をかいていきたい、という気持ちはあるんでしょうか?
弘中:そうですね。人がやっていないことというか、アナウンサーという枠にあまり縛られたくないなっていうのはあります。あとは、立派な社会人になりたいなっていうのが20代後半にして出てきました。
--そうなんですか?
弘中:テレビ朝日の同期と私を比べると、社会人スキルが本当にないなって思うことがあって。同期の子が電話応対とかで「ご査収してください」とか言ってるのを見ると、「えっ、ごさしゅう…って」とビックリします。”ああ、私は社会人スキルが足りないな”って思っちゃうんです。まずはアナウンス技術だろ! って突っ込まれそうですけど、そういうところも、これからはキチンとしていきたいです。
取材・テキスト / 中山洋平
写真 / You Ishii