エンターテインメント色の強い試合でおなじみの東京女子プロレスが、8月4日に夏祭り的イベントを開催した。会場は神奈川の鶴見青果市場。インディープロレスファンには“聖地”の一つと言っていいだろう。壁が二面、開放されている半野外といった趣の会場だ。市場だけに内装は倉庫のようで天井も高く、つまりかなり“自由度”が高い。
それをいいことにやりたい放題なのが東京女子の東京女子たる所以だ。メインイベントは山下実優vs渡辺未詩のシリアスなシングル対決だったが“夏祭り”ならではの試合も。その一つが《夏休み特別企画・夏だワクワク東京女子祭り2019「チュッ!夏パ~ティデスマッチ」》だ。
一つの試合のサブタイトルに「夏」という文字が三つも入っており、なおかつデスマッチ。どういうことかと疑問を感じる間にも、リング上には子供用プールが設置されていく。
浮き輪持参で海水浴モードの天満のどか&白川未奈に対し、元タッグ王者コンビ・坂崎ユカ&瑞希は浴衣姿で水鉄砲を四方八方に打ちながら入場。ゴングが鳴るとプールへの投げ、マットにスーパーボールをぶちまけてのバトル、水風船ぶつけ合いと「夏とプロレスの融合」としか言いようのない展開に。
場外戦では観客も濡らしながらの水鉄砲&水風船合戦。さらに坂崎と瑞希は花火を持ち出し乱射するクレイジーぶりを見せる。観客が選手に「マジでやめて!」と悲鳴をあげるプロレスがそこにはあった。
坂崎に至ってはリング上でも花火を噴射し、最終的には両手に持った花火プラス、リング下からの打ち上げ花火をバックにしての魔法少女スプラッシュ(トップロープからのボディプレス)で白川をフォール。場内水浸しで煙と火薬の匂いが充満するという壮絶な一戦であった。
この大会には、かつて鶴見青果市場を主戦場にしていた怪奇派デモニオ・ウノが参戦。辰巳リカと対戦し、両者リングアウトからの延長戦というオールドインディーファンには嬉しい光景が見られた。場外戦では、辰巳が(これもインディー好きにはおなじみの)「ジャスコ行くぞ!」のシャウト。闘いながら会場の向かいにあるジャスコになだれ込もうというのである。会場駐車場から横断歩道を渡ってなお闘いは続いたが、やはり“店内戦”は実現せず。そもそも、今は店自体がジャスコではなくイオンに変わっていたのだった。
会場内では市場での作業用に用意されているフォークリフトに乗り込む場面もあった辰巳。こちらもやりたい放題の末、ミサイルヒップ(ダイビングヒップアタック)で勝利している。
このメチャクチャな夏祭りバトルを、DDTの“大社長”高木三四郎も見守っていた。久しぶりの鶴見青果市場、その自由度にあらためて驚いたようだ。おそらく日本で最も“なんでもあり”な会場として、鶴見青果市場への再進出に期待したい。
なお、大会中に会場関係者が東京女子・甲田哲也代表に何やら話している場面が。もしやクレーム…と思われたが、実際には「冷えてるわよ」とスイカの差し入れだったとのこと。
文・橋本宗洋