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(ぽちゃじょ旗揚げ戦でのまなせvs今成。敗れたまなせだが“開眼”するものがあった)

 まなせゆうなにとって、今年はプロレス人生の大きな節目になるだろう。

 グラビア世界からプロレスに挑戦、デビューしたのが2014年の1月。スターダム、アクトレスガールズを経て現在は東京女子プロレスを主戦場にしている。小さくて細くて可愛らしい選手がたくさんいる最近の女子プロレス。その中で30代になったまなせは自分の立ち位置を作ろうと試行錯誤してきた。

 「冷遇されてるんじゃないか」と思う時もあった。上福ゆきと組んでタッグ王座に挑戦した際、他のタイトルマッチのような調印式がなかった。挑戦表明も前哨戦も地方大会でのことで、タイトル挑戦に気づかなかった記者もいたという。

 埋もれないためにはどうすればいいか。飛躍するためには何が必要なのか。考える中で出場することになったのが4月の「ぽっちゃり女子プロレス」だった。大会をプロデュースするのは今成夢人。DDTの映像スタッフにしてガンバレ☆プロレスの選手でもある。「ぽちゃじょ」ことぽっちゃり女子プロレスは、今成の個人的な感情、もっと言えば、ある種の性癖を全開にした企画だ。

「僕は中学、高校の頃、深夜のプロレス中継と一緒にエッチな番組を録画してたんですよ。ミニスカポリスだったりとか。プロレスを録画するふりしてエッチな番組を録ってたふしもあります。プロレスを好きな気持ちと性の目覚めが同時進行で」

 そういう人間である以上、自分が大会をプロデュースするからには何もかもオープンにしなければいけないのだった。そして、そんな今成がぽちゃじょのエースに指名したのがまなせだった。

 試合でも試合の間のショーでも、当然ながら出てくるのはぽっちゃり女性が中心だった「ぽちゃじょ」旗揚げ戦。メインでは今成とまなせがシングルマッチで対戦した。あくまでシリアスな、気迫のこもった攻防だった。まなせ自身、もっと「ネタ的」な大会になると思っていたが、そうはならなかった。

「それは、まなせさんがそううふうに(真っ向勝負で)きてくれたからですよ」と今成。試合前のまなせは「めっちゃナーバス」だったという。「そもそも女性としか試合をしたことがなかったですし。周りは“面白そうだね、頑張って”みたいな雰囲気でしたけど、私はとてもそんな感じじゃなかった」。ただ大会が始まってみると「これはもう、変に何か考えても無駄だな」と腹を括った。

「今まで経験してきたことへの自信もあったので、もうやるしかないと。いつもは作戦を立てるタイプなんですけど、今回はあえてそれをしないで自分を出して闘うのが大事だなって。デビュー戦みたいな気持ちでしたね」

 まなせがデビュー戦で闘ったのは、先輩の宝城カイリ。現在WWEで活躍するカイリ・セインである。

「どうすれば勝てるかなんて分からないから、シンプルに自分を出すしかなかった。けっこう怖かったですけど」

 自分よりパワーのある男子選手との試合も同じで、とにかく思い切り技を出すしかなかった。そのことが、まなせの“デカくて強い”という根源的な持ち味を引き出したと言えるだろう。

「ぽちゃじょで試合して、プロレスラーとしての感覚も変わりました。明るい、楽しいだけじゃない自分もいるんだなって。もともとそうだったのかもしれないんですけど」

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(ぽちゃじょについて語った今成&まなせ。ぽっちゃりの「P」ポーズで)

 全力を出し切ってまなせは負けたが、それでも残ったのは「ありのままの自分を愛する」という自己肯定だった。ぽっちゃりした女性が好きなんだ、まなせゆうなはそのままでいいんだという今成のアピールは「エッチな意味を抜きにすれば(笑)」本当に嬉しかった。

「私は自分の体が好きとまでは言えないけど、悪くないと思ってくれる人がいるのは凄く嬉しいです。以前はみんなと違うことをなんとか武器にしようと思ってたけど、それはネガティブなものだったかもしれない。これまで、私は“そのままでもいい”と言われたことが一度もなかったんです。新体操をやってた頃もグラビア時代もとにかくやせろと言われて、プロレス初めてからも太ったなと。それは結局、みんなが求める姿になれない自分が悪いんだろうなって思ってました。だから“そのままでいい”という言葉は体形で悩んでる人間には凄く嬉しいんですよ。たくさんの人に抱きしめてもらえたような気持ちになりました」

 同日夜に開催されたガンプロ・石井慧介プロデュース興行にも出場したまなせは、男子に交じっての試合でラリアットという新たな武器を身につけた。女子でもラリアットとブレーンバスターで観客を魅了するレスラーがまなせの理想だ。

 自分の“大きさ”を味方にして、東京女子のトーナメント「東京プリンセスカップ」では決勝進出を果たした。ただ自信をつけた今、まなせはトーナメント準優勝では満足しなくなってもいる。

 8月20日、新木場1st RINGでぽちゃじょ第2戦が行なわれる。25日には東京女子の後楽園大会、さらに9月1日は、関西初のビッグマッチとなるエディオンアリーナ第二競技場大会。この2週間が、まなせにとっての夏のクライマックスだ。

 ぽちゃじょ旗揚げ戦、まなせはエンディングで「Let it go」を熱唱して「ありのままの自分」を肯定した。「なんでプロレスの試合後に歌ってんだ」という話なのだが、それは不思議と感動的な光景でもあった。

 8.20新木場の第2戦でまなせが闘うのはポチャミネーター(P-800)。今成の解説によると、未来では過剰なダイエットの広告によってぽっちゃり体形の人々が殲滅の危機にあるという。そんな危機に立ち上がったレジスタンスがマナ・コナー(まなせ)。もちろんポチャミネーターは未来からマナ・コナーを消すためにやってくるわけだ。

 ということで、ぽちゃじょはかなりフィクション性が強いプロレスイベントである。しかし、だ。モチーフがサラ・コナーである。タフな女の代名詞。プロデューサー・今成がまなせに何を託したいのかは予想できるし、大会ではその予想の先まで見せてくれるはず。

 これはまなせゆうなが「なりたい自分」になるための闘いだ。「たくさんの女性にぽちゃじょが届いてほしい」というまなせは、期間限定でツイッターアカウントをマナ・コナーとのダブルネームにしている。

文・橋本宗洋

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