猛暑の中、街中に立ってビラを配る女性の姿があった。ある日突然、最愛の息子をひき逃げ事故で失った母親は、間もなく迎える時効を前に、息子の無念を晴らすべく情報提供を呼び掛けていた。「時効まであとわずか!!」と書かれたビラには、その時がおよそ1か月後の9月30日午前0時に迫っていることが記されていた。
 埼玉県熊谷市でひき逃げ死亡事故が起こったのは2009年9月30日午後7時ごろ。当時10歳だった小関孝徳くんは、書道教室から自宅への帰宅途中、自転車に乗っているところを車にはねられて死亡した。無事に帰るはずだった自宅にある孝徳くんの遺影のそばには、今もサッカーボールが置かれている。事故を起こした車両はそのまま逃走しており、手がかりは見つかっていない。