”あおり運転”めぐる報道、「原因の追究や客観的な見方から外れていないか」カンニング竹山、箕輪厚介氏らが苦言
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 18日、傷害の疑いで逮捕された宮崎文夫容疑者(43)と、同容疑者を匿ったとして逮捕された交際相手の喜本奈津子容疑者(51)。宮崎容疑者は今月10日、茨城県の常磐道で煽り運転を繰り返し、男性の顔面を数回殴打した疑いが持たれている。また宮崎容疑者の車に同乗していた喜本容疑者は携帯電話で暴行する様子などを撮影していた。

■「再犯防止のためにも、治療的な観点での対策を」

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 あおり運転について、臨床心理士で筑波大学教授の原田隆之氏は、「共通点として見えてきているのは、車に一種の"匿名性"があるということ。面と向かっては言えないことも、車の中だから聞こえないということで言ってしまうことがあると思う。また、一人で運転している時は"マイルール"になりがちで、歩いている時やみんなでいる時よりも自己中心性が前面に出てくるような部分はあるのではないか。もちろん今回の事件は別格で、質が違う。舌打ちをしてしまったり乱暴な運転をしてしまったりする人たちが直ちにこういう事件を起こすわけではないが、普段とは違う攻撃性が出やすいのは確かだし、そこでブレーキが効くか効かないかだ」と話す。

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 実際、煽り運転に関して、チューリッヒ保険による「他の車の運転に対してカッとなって、挑発的な運転をしそうになることがありますか?」というアンケートでは、「ある」が37%、「ない」が63%という結果になっている。

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 街で聞いてみても、「煽られて嫌なこともあるが、自分もやってしまう時もある。急いでいる時に前の車が遅かったり法定速度よりも遅かったりするとちょっとイラっとする。煽るかも…今はやらないが」「急にスピードを出したり、"そこで追い抜きする必要ある?"というところで追い越ししてきたり、車と車をぐいぐい曲がりながら入っていくとか。そういう時は"イライラしているのかな"と思う」「下道を走っている時に法定速度より下回っている車の後ろを走っていると、ちょっとイライラするなっていうのはある。他のドライバーもイラっとすることはあると思う」と、"他人事ではない"という認識の人も少なくないことがわかった。

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 また、煽り運転と車の価格帯が関連することを示唆するデータもある。国際交通安全学会誌Vol.43「日本におけるあおり運転の事例調査」では、価格帯500万円以上では「加害者40%、被害者10%」、200~499万円では「加害者29%、被害者40%」、200万円未満では「加害者20%、被害者35%」となっており、価格帯が上がれば上がるほど加害者の割合が増え、被害者の割合が減るという結果が出ている。

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 東海大学教授の金慶珠氏は「高級車と軽自動車だと軽自動車が煽られやすいし、かつて私が喧嘩したのもトラックの運転手さんやバスの運転手さんなどで、やはり大きい車に対して怒りを覚えた。逆に800万円くらいの車に乗っていたときは、"若い女のくせに"と言われたことがある」と振り返り、カンニング竹山も「前に遅い車がいたとして、それがデカい黒塗りのベンツなら煽り運転をしないのではないか。僕も小さい車に乗っていた頃はたまに煽られたし、地方に行って小さいレンタカーを借りてウロウロしていると結構煽られるが、デカい外車に乗っているときは誰も煽って来ない」と話した。

 原田氏は「この調査データは母数が38件しかないので、これを一般化することや皆さんの体験を一般化することは無理がある。もっと重要なことは運転している本人のパーソナリティの方が煽る・煽らないに関係していると思う」との見解を示し、「数は少ないが、やはり今回の容疑者のような人はいるし、それはどれだけ法律が厳しくても、カメラを増やしても、やるときはやる。一つ言えることは、こういう人は何度も何度も繰り返す傾向があるので、やはり早めに見つけ、どうやって繰り返させないようにするかが重要だ。それは罰を与えるだけでは不十分で、自己中心性や爆発性といった心理的な問題を治療していくという手当てが必要だ。今、そうしたソフト面の手当てが全くない。今後、もっと治療的な、本人の色々な問題性を修正する手当てが刑務所や警察で必要だろう」と訴えた。

■「異常な私刑になっていく」

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 また、出演者からは、過熱気味の報道に対する違和感も。

 カンニング竹山は「それだけニュースが無かったのかもしれないが、喜本容疑者が移送される画を流すのを見て、これ、いるか?と思った。なぜ二人がこういうことをやったのかがどうしても理解できないので、他のドライバーのためにも、なぜこうなってしまったかを、ちゃんとわかるようにしてほしいと思う」、幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏は「人を殴る画、それをガラケーで取る画はセンセーショナルでえげつないから、世の中の人々がそれを叩こうとするのもわかる。ただ、今はそれが行き過ぎているということをSNSで指摘すると"擁護するのか"と炎上してしまうくらいにまでなっている。今回の件に限らず毎回のことだが、どこからか原因を追究しようとか、客観的な見方から外れて、地に落としてやろう、メシウマだよね、というゲームに変わり、異常な私刑になっていく。今回も、多少金持ってたらしいね。人生終わったね、みたいな雰囲気を感じる」と指摘。池澤あやかも「報道されることによってネット上に様々な情報が残ってしまい、社会復帰も難しくなる」と懸念を示した。

 「スローニュース」代表の瀬尾傑氏は「個人だけの問題にしてバッシングするだけでは、制度を温存することになる。厳罰化なのか、再犯防止のルールを定めるのか、あるいはメンタルな部分や再教育の部分を改めていくとか、そういう議論に結びつけたい」、原田氏も「特に女性に対するバッシングが強すぎると思う。確かに感情的に容疑者の行為は不愉快だが、だからといってバッシングすることは、感情的に不愉快だから煽り運転をしているのと同じだ。これは節度を持ってするべきだ」と苦言を呈した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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