(竹下vs青木の調印式が行なわれた定例会見には大石も“乱入”。青木は相手にしなかったが、試合はどうなるか)

 青木真也が、1年でMMAプロレスの2タイトル獲得を成し遂げるかもしれない。今年3月、ONE Championshipのタイトル奪還を果たした青木。初防衛戦で敗れたものの、今度はDDTのベルトに挑戦する。

 舞台は9月1日の大阪大会。団体の頂点であるKO-D無差別級王座戦で、チャンピオンはエース・竹下幸之介だ。

 日本のMMAを代表する格闘家が、DDTのトップにして令和のプロレス界を背負うであろうレスラーと対戦。その振り幅が今の青木らしさと言っていい。

 これまでDDTのビッグマッチで何度も激闘を繰り広げてきた竹下。しかし青木はその激闘ぶりに対して「大変だよな」と客観的、批評的なスタンスだ。

 自分なら、竹下と“いわゆる激闘”とは違う闘いをすることができる。そんな思いから、青木は挑戦を表明したようだ。20日のDDT定例会見では、こんな言葉で竹下を挑発している。

「(竹下とは)1勝1敗。2試合ともいい評価をいただけたけど、今回は面白くならない気がする。だって最近の竹下はお客さんを裏切る度胸も覚悟もないでしょ」

 試合のカギは「ファンを裏切れるかどうか」だと青木。また竹下の激闘ぶりについて「立派の一言。褒め言葉としてもバカにする言葉としても立派」とも。逆に竹下は「裏切らないことが裏切ることかも」と語っており、予想の難しさではここ最近で群を抜いている。

 過去2戦、青木に対し竹下が“プロレスリングの寝技”で渡り合ったことで独自の緊張感が生まれたが、今回はまた違う展開になってくるはず。青木は7月に男色ディーノ戦を経験、DDTへの順応力を高めてもいる。

 8月25日の後楽園ホール大会、竹下は坂口征夫、高木三四郎、アントーニオ本多と組んで男色ディーノ&スーパー・ササダンゴ・マシン&MAO&サンティーノ・マレラと対戦する。この試合は「竹下幸之介の夏の青木真也対策!」と題されており、ここから竹下の“狙い”が見えてくるかどうかも気になる。

 一方、青木は同大会で大石真翔とシングルマッチ。大石はディーノのタッグパートナーであり、コミカルな試合を得意としつつインサイドワークに長けた技巧派でもある。“プロレスの寝技”の熟練度では竹下以上だろう。青木にとってはDDTのさらなる洗礼、あるいは“プロレス力査定”か。大石の懐の深さを考えると、侮れない一戦だ。

文・橋本宗洋