原発事故がキッカケで語られなくなった!?”地球温暖化”の現実は今どうなっているのか
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 世界の平均気温(7月)が過去最高を観測、今年も暑い夏となった。ドキュメンタリー映画『不都合な真実』(2006年)で人類の危機を訴えたアメリカのゴア元副大統領がノーベル平和賞を受賞するなど、世界的に大流行した「地球温暖化」は今、どうなっているのだろうか。

 実は日本では2011年の東日本大震災以降、「地球温暖化」という言葉そのものが影を潜めているという。

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 国立環境研究所の江守正多氏は、「Googleトレンドのグラフを見ると、日本の場合2008年の洞爺湖サミットの頃に盛り上がったが、リーマンショックがあって、温暖化どころではないという雰囲気が生まれたし、翌年のコペンハーゲンでの国際交渉もあまりうまくいかず、国際的に盛り下がってしまった。そこに3.11が来て、"脱原発"の人が増えた。彼らの中で、"温暖化は原発推進の口実だったのではないか。陰謀なのではないか。嘘だと言っている科学者もいるし"という形で、温暖化懐疑論・否定論が脱原発に援用されるようになっていったことが考えられる。また、温暖化のリスクよりも、地震や放射線のリスクへの心配の優先順位が高くなったということもあるかもしれない」と推測する。

 江守氏によると、化石燃料を燃やすと出るエアロゾルが太陽光を遮断するため冷却効果はあるものの、温室効果ガスの増加による効果が上回っており、温暖化が進む方向にあるという。「東京の場合、地球温暖化で1℃、ヒートアイランド減少で2℃、併せて3℃上昇している」。

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 実際、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、「世界平均気温は0.85℃上昇(産業革命以降)」「温暖化の原因は人間によって排出された温室効果ガス(CO2など)によるもの」「温暖化の影響で海面は上昇」「雪氷は減少」していて、地球温暖化は進んでおり、2100年の世界の平均気温の予測として、対策を取った場合でも0.3~1.7℃上昇、対策を取らなかった場合は2.6~4.8℃上昇という予測もある。

 「ある年にある場所で大雨が降ったというのは気象のランダム、たまたまそこで起きたことだが、長期的なトレンドとして背景には温暖化があると考えられるし、温暖化が進めばさらに増えると考えないといけない。ちょうどアマゾンの森林火災が注目されているが、原因にはエルニーニョや干ばつなどのほか、気温上昇と乾燥化、森林伐採がある。今、パリ協定という国連の交渉の枠組みの中、基本的にはどの国もCO2排出ゼロに向かっている。そのために先進国がまず技術開発して途上国に使ってもらったり、資金を融通したりして、みんなでゼロに向かっていこうというのが考え方だ」。

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 また、"温暖化で融ける"というイメージのある南極の氷については「増加している」とする説もあるものの、グリーンランド、アルプス、ヒマラヤ等の陸氷が減少していることから、やはり差し引きで地球の氷の量は減っており、世界の海面は年平均で3ミリ上昇しているというのだ。その一方、フロン類の規制が奏功した結果、オゾン層については2060年ごろに完全回復の可能性もあるという。

 ユーグレナ取締役副社長の永田暁彦氏は「人はそうであってほしいと思う姿と現実とのギャップを受け入れがたいが、数字はファクトだし、そこに対して何をしていくのか、真剣に話し合うことが大切だと思っている」と指摘していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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