「購入した当日のみ利用可能」
JR武蔵野線の越谷レイクタウン駅に掲出された「きっぷってなに?」というポスターが話題を呼んでいる。これは夏休みなどの長期休み期間に、帰りに使えると思い同じきっぷを2枚買ってしまうなど、使い方を知らない人によるトラブルが急増したことを受けての処置。かつては駅員による「きっぷ切り」が当たり前のように見られたが、1990年代から山手線で自動改札が導入されると、2000年代初頭にはきっぷ切りの姿がほぼ消滅。さらにICカードが全盛の今、きっぷは絶滅寸前になりつつある。
東急電鉄元職員できっぷ切りの経験がある國武卓さん(40)は現在、ホスピタリティツーリズム専門学校の鉄道科専任講師を務めながら鉄道業界を目指す学生を指導している。
國武さんによると、「カチカチ」「タンタン」と甲高い音を立てるきっぷ切りのリズムは十人十色だといい、使用する指も2本派と3本派がいるのだとか。もちろん初めから上手く切ることはできず、國武さんも当初は手を切ったり、指の間を挟んだりしたという。また指を動かし続ける地味な重労働の限界は30分で、その都度、駅員が交代で業務に当たっていたらしい。
國武さんが挙げた業務の難しさには「きっぷを切るまでに求められる一瞬の判断力」がある。「乗り換えのためには今まで来た値段のきっぷが正しいかどうか、また受け取った2枚目のきっぷがここからの料金として正しいかどうかの瞬時の判断が必要。そのうえで、使う方のきっぷにハサミを入れて渡さなければいけない」と話す國武さんは、目の前の人ではなく、3人くらい先の様子を俯瞰して観察することで、不正乗車を未然に防ぐアンテナを張っていたという。
それだけではなく、受け取るきっぷの値段が高いか安いか、適正かを判断するために「連絡会社を含めるとあらかじめ200駅くらいの運賃を記憶していました」と当時の苦労を振り返った。(AbemaTV『Abema的ニュースショー』より)
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