10月に開催されるONE Championshipの前哨戦となる「ONE JAPAN SERIES」。そのこけら落としとなった9月1日(日)「Road to ONE:CENTURY」(新木場スタジオコースト)は、組まれた12試合が次々にKO、TKOで決着する「神興行」となった。
そんな中、17歳のムエタイ期待のホープ・朝陽・PKセンチャイムエタイジムが薩摩3373(サザナミ)と対戦。世界への扉を開く大会で、文字どおり大きなインパクトを残した。
朝陽はまるでマンガの主人公のようなキャリアの持ち主でもある。5歳でムエタイを始め、アマチュア138戦を戦っている。タイでの試合経験も豊富だ。6月には国内のムエタイの大きな大会「BOM SEASON II vol.2」で、タイ人選手・サームシエンを2ラウンドでKOしルンピニージャパン スーパーバンタム級王者なる国内タイトルも戴冠している。
その強烈な左フックからファンの間では、那須川天心を苦しめたロッタン・ジットムアンソンのアグレッシブな戦い方に重ねて「和製ロッタン」とも呼ばれている。年齢、実力、キャリアから、今後の日本格闘界を担っていく一人と言っても過言ではない。
対戦相手である37歳のベテランに対して、1ラウンド序盤から朝陽の鋭い蹴り、左フックが炸裂。さらに右のミドル、右のローの一発はどれも鈍い音を立てて重い。薩摩の左から右ローのコンビネーションにも冷静に対処し、狭い距離から左フック。右ロー、左フックと的確に当てていく。“当たれば倒れる”という雰囲気が漂う中、素早く距離を詰めて踏み込んだ朝陽が強烈な左フックを一閃。この1撃をまともに食った薩摩は、まるで“時が止まった”かのように大の字のまま仰向けにマットに沈んだ。
AbemaTVで解説を務めた大沢ケンジも朝陽を「日本のムエタイ界、キックの世界を背負って立つ選手」と太鼓判を押した。日本人選手にとって厳しい戦いの場と言われ「タイ vs 欧州」ばかりがクローズアップされているONEのムエタイだが、「ONE JAPAN SERIES」には未来のスター予備軍がひしめいている。初回にして新たな歴史が始まる、そんな予感と期待が膨らむ大会となった。
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