自動追尾する警備用をはじめ、建築現場での測量用、離島間や僻地での物流用、さらには医療分野にまで、活躍の場を広げているドローン。個人向け市場も盛況のようで、ビックカメラ有楽町店の長谷拓映主任は「趣味でやられる年輩の方もいるし、若い方が旅行前に購入することもある」と話す。
山口県の刑務所の巡回警備にも導入されている警備会社のセコムの「セコムドローン」は、飛行から帰還、充電までを完全自律で行う。定点監視カメラに比べて死角が少なく、自動追尾もできるため、不審車両のナンバーを撮影し、その後侵入者を自動で追尾。証拠映像を撮影していくといった活用場面が想定されている。同社技術開発本部の神山憲マネージャーは「侵入者が入ってきた時に飛ばし、我々がオペレーションで警察に証拠を提出する。また、人が行きづらい高い場所なども簡単に巡回できる」と話す。
飛行精度の高まりによって活躍が期待されるのが測量分野だ。テラドローン株式会社最高戦略責任者の金子洋介氏は「空中から一気に全ての場所の3Dモデルができるので、時間が10分の1になる上に、正確なものができる。より早く安く、質の高いものができる」これまで人が1日かけて行っていた建築現場の測量も、ドローンに搭載したレーザーシステムによって10倍のスピードで正確なデータを取ることができ、誤差はわずかプラスマイナス5cmだという。
また、天候によって定期船が止まることのある離島などは、物流ドローンが注目されている。アフリカでは輸血用血液や医薬品を確保できない住民たちを支援する手段として導入され、これまでの1200万人を救っているという。
ドローンは競技としても注目されている。競技人口が世界で100万人以上とも言われるドローン・レースが、11月に行われる東京モーターショーで初開催されることになった。日本代表の白石麻衣氏は操縦歴1年くらいだといい、「運動神経や反射神経が大事になってくると思うが、どれだけ練習できるか、集中してできるのかというのがパイロットに求められてくる」と話す。
ドローンのカメラ映像をゴーグルで見ながら操縦することについて白石氏は「最初は酔ったが、慣れる。実際に飛んでいるスピードよりも見ている映像はもっとスパッと流れていく感じだ」と説明。また、自身の使っているコントローラーについて「これは8万円くらい。スティックが2本あって、ゲームみたいな感じで上下・前後・左右の動きを操縦している」と説明した。
さらに、人を乗せ、空飛ぶバイクのように水面を駆け抜けるCGのような「ホバーバイク」も存在する。プロペラがないため、ぶつかった時に人がケガをする可能性が少なく、音も静かだという。価格は軽自動車ほどの値段で販売される予定で、実機に触れた経験のある白石氏は「ドローンに乗るのが将来的な夢でもあるので、またがってみたときに車輪ではなくてプロペラだということに感動してワクワクした」と振り返った。
このような進化型にはNTTドコモが開発した風船型で警備や監視を想定している「羽のないドローン」、ヤマトホールディングスが開発し、2025年の実用化を目指す「空飛ぶトラック」なども開発が進む。一方、そんなドローンの技術や製品開発を進める上で、日本には「海外に比べ、飛行できる土地が少ない」「自動飛行中の事故の責任」「ドローン技術者の人材不足」といった課題があるという。
ドローン・ジャパンCEOの春原久徳氏は「いわゆるハードウェアとしては日本だけが遅れているわけでははない。中国のDJI社が世界の7~8割のシェアを握っているが、これはDJIが進んでいるだけで、日本が絶望的に遅れている状況ではないと思っている。課題と解決の仕方がこれからの鍵になる。中国では水素電池を載せて現状の倍の2時間くらい飛べるものもあったが、色々な許可を取らないと飛ばすことができない。ただ、千葉には特区があり、神奈川では県知事も実験をしよう、活用につなげていこうと旗を振っている。空飛ぶ車に関しても、"エアモビリティ"ということで政府も進めている。導入する時のコストとリスクの話がビジネスの中では生じるので、現状では既存の道路の活用をした方がいいのではないかということになる」と話す。
白石氏は「深センにある、日本の秋葉原のような電気街に行ったが、路面にあるお店でもドローンを扱っていて、店員が実際に飛ばして見せてくれたりする。入りやすさが全然違うと思ったし、トイとして使っていたり、女の子だったら壮大な景色で自撮りしたりしていて、とても流行っていると感じた」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)