「原田前大臣の発言によって傷ついた方、県民の皆さんに対して大変申し訳なく思う。所管外とはいえ、そう断った上での発言をされたことも前大臣の発言なので、新しく大臣になった私が所管外のこととはいえ、そこで傷ついた方々にしっかり向き合うことも私はやらないといけないと思った」。入閣直後に福島を訪問した小泉進次郎環境相の発言が賛否両論を巻き起こしている。
小泉環境相が言及しているのは、原田義昭前大臣が退任前日の最後の記者会見で「多少所管は外れるが、それを思い切って放出して希釈すると。こういうことも、色んなことを選択肢を考えて、他にあまり選択肢はないなと」と、経産省所管の福島第一原発汚染水対策について触れた問題だ。原田前大臣は小泉氏の発言を受け、自身のFacebookで「誰かが言わなければならない、自分はその捨て石になってもいい、と素直に自認した」と綴っている。
この問題について、元経産官僚でコンサルタントの宇佐美典也氏は「そもそも原発や原発に伴う問題に対して科学的見地から安全な状況を作るのが環境省、環境大臣の役割で、その下にある原子力規制委員会は、濃度が高い状態の汚染水がタンクに保管され続ける状況は良くないので、濃度を薄め、害のない状態にして海洋放出した方がいいんだと、2013年頃から一貫して言い続けてきた。ただ、環境省自身はあくまでも東京電力が出してきたプランを審査する立場なので、"海洋放出しろ"とは言えない。経産省も東電をサポートする立場なので、自分たちで決定することはできない。だから難しい問題で、誰も言えないという状況が生まれてしまい、東電もお手上げ状態だった。そこで原田さんは所管外ながらも、"それで申請して来い"というメッセージを東電、経産省に送り続けてきた。今回の会見での発言は、その延長線上のものだった。そんな中で小泉さんが"申し訳ない"と福島に謝りに行ってしまったら、自分の所管に悪影響を与え、仕事を進めにくくしてしまう。原田さんが"申請しろ"とメッセージを発したのに、小泉さんの発言によって、東電や経産省は申請ができなくなってしまった。つまり、今の状況がまた続くことになってしまう。一言で言えば、本当に"喝!"だ」と厳しく批判。
一方、テレビ朝日の足立直紀政治部長は「原田さんは大臣を1年やって、事情を分かった上で"これが最善の選択肢だ"と、捨て石になってもいいという覚悟でおっしゃったのは理解できる。しかし、やはりちょっと唐突ではあった。海洋に放出した方がましだ、ということも含めて説明がないので、漁業関係者はびっくりしてしまったと思う。経産省も含め、こういう状況だということを国民に説明した上で"こうするのがベストな選択肢だが、どうか"と言わないといけなかったと思う。だから小泉さんとしては、びっくりした漁業関係者に落ち着いてもらうことが作業として必要になったとも言える。また、小泉さんにはまだ色々な情報が入っていないので、自分が関わってきた福島への思いが先行しているのだろう。これから色々やっていくうちに現状が見えてくるし、環境省もアドバイスはしていくと思う」との見方を示した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)