4場所ぶりに土俵復帰を果たした元幕内千代の国が今場所は幕下四十六枚目で4戦全勝とストレートで勝ち越しを決めた。前頭十五枚目だった今年初場所で左膝複合靭帯損傷という重傷を負い、手術、リハビリ等で半年以上も土俵から離れていた。
これまでも何度もケガに泣かされながら、そのたびに不屈の闘志で這い上がってきた。入門当初から両肩の脱臼癖に悩まされていたが、左肩の手術を行ってからは順調に出世。平成24年(2012年)初場所で新入幕を果たした。しかし、この場所から右肩の脱臼を繰り返し、3場所連続の休場で番付は十両下位まで降下。復帰場所で十両優勝したのを皮切りに再入幕を果たすが、その後も左太もも二頭筋損傷、右踵骨骨挫傷、右踵骨骨折とケガが相次ぎ、十両十三枚目で迎えた平成26年(2014年)秋場所では両膝の半月板を損傷。新十両から連続20場所務めた関取の座を明け渡すことになった。
3場所連続休場で番付は三段目まで落ちたが三段目と十両で優勝するなど、順調に復活の階段を駆け上がり、平成28年(2016年)名古屋場所で13場所ぶりに幕内復帰。三段目からの再入幕は史上3人目だった。しばらくは幕内に定着し、平成29年(2017年)夏場所には前頭筆頭に台頭。初金星も獲得したが大きく負け越し。それでも前頭十一枚目で迎えた平成30年(2018年)夏場所は12勝で自身初の三賞となる敢闘賞を受賞し、再び三役目前まで躍進したがここでも左肘を負傷し、その後は精彩を欠いて再び平幕下位へ。九日目に早々と勝ち越しを決めたものの前述した左膝の重傷で長期休場を強いられた。
躍動感溢れる相撲ぶりと最後の最後まで決して諦めない粘り強さが、かえってケガを誘発させてしまった面は否めないだろう。それでも腐ることなく地道な努力を重ねてファン前に帰ってきた。今場所は地力的には格下相手ということもあり、基本に忠実な突き押しに徹しているために危ない場面はないが、こういう相撲が続けば悪夢はもう繰り返されることはないだろう。
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