![“誤爆”の竹串が頭にグサリ、その状態でファンサービス継続の松本都「頭蓋骨が割れたかと…」 “出禁”騒動は否定](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/a/8/724w/img_a87a0108416b7b690734c0744703a5d2404101.jpg)
(タッグパートナー・葛西の誤爆で都の頭に竹串がグサリ。このダメージで敗れた都はトライアングル王座陥落)
9月14日、横浜文化体育館で開催された女子プロレス団体アイスリボンのビッグマッチは、いい意味で“いつものアイスリボン”だった。横浜文体大会は、今回が3年連続での開催。地力勝負の時期にきたということかもしれない。他団体からのゲスト参戦はあったが“この日しか実現できない特別なカード”はなかった。そしてそれでも、充分に楽しめる大会だったのだ。
メインはシングル王座、ICE×∞のベルトをかけたトーナメントの決勝戦。世羅りさと雪妃真矢、トップ選手同士かつタッグパートナーでもある2人の闘いになった。タッグを組んでいるから余計にライバル意識が出るし、お互いを信頼しているからこそ激しい攻防になる。それが世羅と雪妃の関係性だ。場外戦も含め、両者はひたすら激しい技を繰り出しあった。
世羅は腰攻めから様々な投げを豪快に決め、さらにヒザと得意の攻撃を繰り出す。雪妃は要所で鋭い蹴り。最後はタイガードライバー、スノウトーンボムとたたみかけて雪妃がベルトを取り戻した。ハードな試合の中での“受けっぷり”も含め、雪妃はエースらしい闘いを見せたと言える。
藤本つかさ戦での時間切れ引き分け、規定による王座剥奪から新王者決定トーナメントに優勝。結局、今年は雪妃しかベルトを巻いていないことになる。「剥奪の時はベルトに嫌われたと思ったけど、今は相思相愛」と雪妃。
昨年も横浜文体のメインでタイトルマッチを行なった雪妃だが、藤本に挑戦して敗北。「悔しくて泣いた記憶がフラッシュバックした」という。この会場の青コーナーは7回目。ベルトを巻いて「文体という会場にリベンジできた」とも。
タッグ選手権では星ハム子&星いぶきの親子タッグが王者組(ジュリア&テキーラ沙弥)に大善戦。取締役選手代表の藤本は、ディアナとセンダイガールズの2冠を持つSareeeに完勝し「思っていたより差がありましたね。彼女には受けの美学が足りない」とバッサリ斬り捨てた。
![“誤爆”の竹串が頭にグサリ、その状態でファンサービス継続の松本都「頭蓋骨が割れたかと…」 “出禁”騒動は否定](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/b/a/724w/img_bab821559393a6f3a526a7fbcb0dbee5365924.jpg)
(世羅に蹴りを叩き込む雪妃。試合になればビジュアル以上に激しさが際立つ。翌週には2人でタッグ王座奪還に成功)
“いわゆる女子プロレス”のイメージからはみ出すような試合もアイスリボンが得意とするところ。柊くるみ&山下りな&有田ひめかvsアジャ・コング&世志琥&藤田あかねのハードコアマッチではレゴブロック(つまり四角いプラスチック片)が散乱したマットにハシゴの上からの投げが決まり、男女タッグ3WAY(松屋うの&黒潮“イケメン”二郎vsラム会長&鈴木秀樹vs松本都&葛西純)では松本都の頭にデスマッチ名物・竹串の束が突き刺さった。
竹串攻撃はデスマッチでよく見るものではあるのだが“デスマッチのカリスマ”葛西の攻撃が小柄な都に決まるのは衝撃的だった。しかも試合後の都は、竹串が頭に刺さったままグッズ売り場でファンサービスも。
「頭蓋骨が割れたかと思った!」
後日、コメントを求めると、都は竹串の痛みをそう表現した。試合から物販までの時間が30分ほどあり「どんどん痛くなってきてなかなか抜けなくて最悪でした」とも。葛西とは何度もタッグを組んでいるだけに精神的ショックも大きかったようだ。また「痛くて泣いてても誰も心配してくれないのでびっくりしました」というのは松本都という選手の存在をよく表す言葉だろう。そこまで含めて“さすが”である。
![“誤爆”の竹串が頭にグサリ、その状態でファンサービス継続の松本都「頭蓋骨が割れたかと…」 “出禁”騒動は否定](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/0/a/724w/img_0a329d495efcd710d3a6f64852b69aea356431.jpg)
(藤本はディアナのSareeeに勝利。10.6ディアナ後楽園での再戦も決まった)
ちなみに一部メディアで報じられた都のアイスリボン「出禁」に関しては、試合の勝者・松屋うのとの舌戦の中で出たものであり、具体的に何か決まっているわけではないようだ。都はアイスリボンを円満退団しフリーの身。アイスリボン以外での活躍も視野に入れつつ、10月12日の後楽園ホール大会にも出たいという気持ちはあるようだ。
激しい攻防、むき出しの感情、幅の広いマッチメイク。大舞台での“いつものアイスリボン”は、やはり団体の底力を見せるものでもあった。
この魅力をさらに幅広い層に伝えていくのが、団体の最大のテーマだろう。文体を満員にするという課題は今年も残った。アイスリボンが打ち出したのは攻めの姿勢だ。来年5月4日にも横浜文化体育館でビッグマッチを開催。また“聖地”後楽園ホール大会は来年9回開催と倍増させる。藤本の表現を借りると「業務拡大」である。
今のメンバーで提供できる試合の魅力に加え、その伸びしろに自信があるということだろう。大きな試合が続く中で、思わぬ選手が成長していく可能性もある。9.14横浜文体は今年の集大成という以上に、来年に向けてのスタートとなる大会だった。
文・橋本宗洋