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(TAJIRI、スペル・デルフィン、葛西純など豪華メンバーと対戦した自主興行)

 黒潮“イケメン”二郎といえば、日本マット界を代表する“華”のあるレスラーだ。

スイカをはじめド派手な柄のジャケット着用でファイト。入場では福山雅治の「HELLO」を一曲丸ごと使ってのパフォーマンスを見せる。出てくるだけで会場の雰囲気が明るくなり、観客を笑顔にさせてみせるのは才能と言うしかない。

 この春、所属していたWRESTLE-1を離れフリーに。DDTなど様々なリングで活躍してきたが、来年からはアメリカに活動拠点を移すことが発表された。

 もともと、フリーになったのは世界の舞台を目指すため。7月には上海でWWEの系列団体・NXTのトライアウトに参加していた。2020年は、いよいよ夢に向かって本腰を入れることになる。

 アメリカ行きが発表されたのは、9月17日、新宿FACEでの自主興行。師匠・TAJIRIとのシングルマッチやハードコア戦など4試合すべてに(リングネームとコスチームを変えながら)登場したイケメンは「俺なりの旅に出ます」と超満員のファンに飛躍を誓った。この興行でも見られた体を張ったサービス精神、豊富なアイディアがアメリカでどう発揮されるのか、期待したいところだ。

 12月23日にも新宿FACEで自主興行を開催するイケメン。残り少ない日本での日々を、単に“消化する”つもりはない。全日本プロレスの「王道トーナメント」では三冠ヘビー級王者・宮原健斗と対戦してインパクトを残した。またDDTではEXTREME級のベルトを保持している。

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(9.29DDTではトップ選手2人と同時に対戦)

 9月29日のDDT後楽園ホール大会では、2度目の防衛戦が決定。HARASHIMA、遠藤哲哉とトップ選手との3WAYマッチで「2人とも叩き潰したい」というイケメンの希望により最後の一人になるまで試合が続くサバイバル3WAY形式での対戦となった。

 そしてこの試合の勝者は、11月3日のビッグマッチ、両国国技館大会で竹下幸之介と対戦する。竹下が持つKO-D無差別級王座とEXTREME級王座のダブルタイトルマッチだ。団体を長く牽引してきたHARASHIMA、新世代の旗手でKO-D無差別戴冠経験もある遠藤に勝ち、フリーのイケメンが両国でタイトルマッチとなれば快挙と言っていい。

 イケメンは過去に竹下と2度対戦し、1勝1敗という結果を残してもいる。実績で言えば竹下とのダブル王座戦は不自然ではないし、そもそも現EXTREME級王者はイケメンだ。

「アメリカに拠点を移す前に、チャンピオンとして最高の状態でやれることをやりたい。1試合1試合を大事にしたいです。DDTはやりたいようにやらせてくれて恩義を感じてます。感謝の気持ちをもってDDTの選手をぶっ倒したいし、今の俺より(日本ラストの)12月の俺のほうが輝いていたい。そのためにも両国に出て、そこで竹下幸之介に勝つ。楽しみにしてください」

タイトルマッチ調印式で、イケメンはそう語っている。可能性としてはKO-D無差別&EXTREME2冠王としてアメリカ進出を果たすこともありえるだけに注目だ。天性の華やかさと身体能力、笑いと激しさが同居する独自のプロレスを堪能したい。

文・橋本宗洋

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