丸山奏子が「幸せだな」と思う赤坂ドリブンズ 先輩たちが明け方まで育成方針で激論を交わした“丸山会議”/麻雀・Mリーグ
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 プロ麻雀界において、一つの大きな挑戦が始まろうとしている。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」に、わずかプロ歴2年目ながら、大抜擢で赤坂ドリブンズに入った丸山奏子(最高位戦)。前年覇者の赤坂ドリブンズは、彼女を育てながら連覇を目指そうとしている。まだプロとしても駆け出しである丸山だが、園田賢(最高位戦)、村上淳(最高位戦)、鈴木たろう(協会)の3人から指導を受け、既に「幸せで、すごくありがたいなと思います」と、実感しているという。本人が9月30日の開幕を前に、早くも心から感謝し、真剣に強くなりたいと心に誓ったのは“丸山会議”とも呼べる出来事があったからだ。

 雀荘のアルバイトをきっかけに競技麻雀に興味を持ち、OLをしながらプロになったのが2018年の春。丸山のプロ歴はまだ1年半ほど。麻雀歴にしても6年ほどといったところだ。そんな彼女を赤坂ドリブンズは「育成」をテーマに、最高峰リーグの選手として戦えるプロに育て、そして未来を託すという“候補生”とした。ドラフトでの指名後は「しばらく夢のような気分でしたね。自分のことという感覚が持てないくらいびっくりでした」と、青天の霹靂という言葉が実にしっくりくるという。

 丸山の指導体制は、主に園田と鈴木が知識・技術を叩き込み、村上はメンタル等について考えているという。短期間で丸山をトップクラスの選手に育て上げるために、チーム内で育成カリキュラムが作られた。指導役の一人、園田は「シーズン中は全試合来て、各試合のポイントを2、3カ所見つけて、その瞬間にどんな情報を得られたのか、何か考えたのか、なぜ切ったのか、それをテキストに起こして翌日までに提出、それに対してのフィードバックを翌日にやる、ぐらいのことはやろうと思っています」と説明した。当然、超ハイレベルな思考の持ち主である赤坂ドリブンズであれば、試合からちょっとつまんでテキストに起こした程度では、受け取ってもらえないかもしれない。鈴木も「麻雀ってなんとなく打っている人が多いと思うんで。ドリブンズカラーは『全てを考える』っていうこと」だという。意図なき選択は悪。そのぐらいの意識が求められている。

 そこまで厳しい環境にも、丸山が食らいついていこうと思うのは“丸山会議”があったからだ。「ある日教えてもらったんですが、私がいない時にみなさんが居酒屋で丸山の勉強方針をどうするかで飲んでいたらしいんです。そうしたら終電を逃しちゃって、気づいたら居酒屋も閉店だったそうで」。麻雀について熱く語るドリブンズなら、ありそうな話だ。だが、ここからがさらにすごかった。「閉店した後、居酒屋の前で明るくなるまで立ちっぱなしで、ずっとしゃべってたらしくて。こんな熱量を持って、本気で教えてくれようと思われることなんで、なかなかないじゃないですか」。

 この“丸山会議”、もっとも激論したのは園田と鈴木だった。お互い、麻雀に対する考え方が近く、仲もよかったが、この日ばかりはケンカにでもなろうかと勢いでぶつかりあった。

 園田 たろうさんと、あんなに言い争ったことはないんじゃないか、くらいですね。居酒屋出たのが2時か3時で、その後何も飲みもせず、2~3時間立ったまま。おかげで家に着いた時は、完全に酔いが覚めてましたよ(苦笑)

 鈴木 園田とは結構話が合うんで、あんまりもめないんですけどね(苦笑)僕と園田で言い合いになってましたから。

 激論の主題は、いつどのタイミングで、どんな指導をすべきか。早い時期から実戦を繰り返すか、もっと知識で基礎を固めて、じっくりいくか。実戦を早めに取り入れれば、仕上がりは早くなるが、理解を深めてからの方が熟練度は増すのではないか。そんな話を酒を飲みながらだけではなく、早朝の道端で3時間も繰り広げたと聞けば、誰でも意気に感じざるを得ない。

 プロ2年目の女性が、トッププロだけが集うMリーグで、どこまで通用するかわからない。本人もシーズン中、ずっと指導を受けることで「今日の丸山、めっちゃ鳴くなとか、今日の丸山、すごいリーチ寄りだなとか、変化すると思うんです。いきなり詰め込むとパンクするから、何かおかしいということも顕著に出てくると思うんです」という自覚がある。その上で「そうやって勉強して変化する私が、一番の見どころになるかなと思います」とも言った。大の大人たちが、とてつもなく真剣に考え、その思いを注ぎ込まれる丸山。先輩たちの熱量に突き動かされた新星が、ついにMリーグの舞台に立つ。

◆丸山奏子(まるやま・かなこ)1993年8月17日、北海道生まれ。A型。最高位戦日本プロ麻雀協会所属。

◆Mリーグ 2018年に発足。同年10月から7チームによるリーグ戦を行い、初代王者の赤坂ドリブンズが優勝賞金5000万円を獲得した。2019シーズンから新たにKADOKAWAサクラナイツが加入し、全8チームによるリーグ戦に。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合を行う。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。

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