建国70周年を迎えた中国、デモ長期化で“世界の金融センター”としての香港の価値低下に懸念も
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 1日、建国70年目の「国慶節」を迎えた中国。先週、催涙弾や火炎瓶が飛び交う香港デモの現場を取材した現地を取材したジャーナリストの堀氏は、リアルな香港の様子について「攻防が繰り広げられている周辺は住宅街だが、家の中から状況を見守っている方々もいた。本当に日常が続く中でこうしたデモが続けられている」とレポート。また、同じく現地で取材を続けている写真家のキセキミチコ氏も「数か所、厄介な警察署がある場所はデモや攻撃が毎晩行われているが、それ以外の場所以外は基本的に平和だ」と話す。

建国70周年を迎えた中国、デモ長期化で“世界の金融センター”としての香港の価値低下に懸念も

 「デモの目的は逃亡犯条例の撤回となってはいるが、香港市民が言うには、これまでの政府に対する思いなどが爆発してこのような行動になっている。2014年の雨傘運動がなし崩しで終わったので、今回は絶対諦めないという意識もあると思う。ただ、逮捕されれば仕事に復帰できなくなるので、平和的な集会やただ叫ぶだけ、ただ集まるだけという所が多く、最前線で戦うようなデモには一般の人はほとんど参加しないと思う」。

 他方、当局による取り締まりが厳しさを増していることも感じているとも話す。

 「9月29日のデモは警察による武力行使が今まで以上に過度だったと思う。14時半集合、15時から歩き始めるというアナウンスがあったが、13時半の時点で警察が急に来て、4人が何もしていないのに捕まった。最終的な逮捕者数の情報は入ってきていないが、異常な人数だったし、催涙弾の連発も激しかった。前日には今まで捕まらなかった救護の人、この日もプレスの方が何人か捕まっているのを見た。そういう意味でも、1日は危険だと見ている。」。

建国70周年を迎えた中国、デモ長期化で“世界の金融センター”としての香港の価値低下に懸念も

 東アジア情勢に詳しい講談社の近藤大介特別編集委員は「香港基本法によれば、2047年の7月1日には香港は中国に統一されてしまう。12歳~83歳の人が拘束されたと言われるくらいに広がっているし、若者たちとしてはは、"あと28年で命がなくなってしまう、抵抗するなら今回しかない"という、背水のだという思いがあるだろう。香港の人に取材していると、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官に付いているのはもう香港警察しかない。すでに公務員さえも気持ちとしてはデモに加わっているとなると、当局としてはかなり悲観的な状況ではないかと話す。

  その一方、「習近平主席の場合、折れるということはないだろう。おそらく1日の70周年イベントが終わった後に、林鄭月娥さんとの会談が行われると思うが、林鄭月娥さんは相当辞めたがっていると聞いているので、そこで辞意を表明するのではないか。中国としては、来年3月の全国人民代表大会までは引っ張ろうとすると思う。今の状況は"チキンレース"で、これが続いけば1989年の天安門事件のように、最後は何らかの形で中国が出てきて、一つひとつ排除していくだろう。すでに武装警察の一部が香港警察と合流しながら、どこでどの程度のデモが起こっているのか調査していて、鎮圧の準備をしていると言っていいだろう」との見方を示した。

建国70周年を迎えた中国、デモ長期化で“世界の金融センター”としての香港の価値低下に懸念も

 国際政治学者の三浦瑠麗氏は「投資ファンドに勤務する夫が香港の銀行に投資しており、月に1度は取締役会などで香港に行っている」という。

 「土日のデモと平日の平穏さの差など、どこを見るかによって香港は違って見えるということは前提としておさえておかなければいけないし、中国政府寄りの人間対市民という二分構造を作ってしまうと見誤るだろう。経済界は中国共産党・大陸側に支配されない、自由な経済体制を謳歌したい。一方、市民や学生、とりわけ就職難や給料が下がっていることなど、経済的な不況による負の効果を被っている人たちからすれば、経済界は特権階級、完全に体制側・大陸寄りに見えるし、それによる企業の風評被害もある。また、デモの大義には多くの人が賛同するだろうが、暴力化していくことには多くの人が反対している。経済を人質に取ることで本当に生活が苦しくなれば、デモに反対する人が出てくるという状況もあるだろう。今も香港の自由は保たれてはいるし、金融市場も活発だ。IPOマーケットでいうとニューヨーク市場を抜き、世界最大だ。官僚たちの個人的な富も香港を通って世界中に投資されているので、今思われているより香港の価値は大きい。ただ、香港の金融機関で億万長者のお金を預かるような人たちはかなり風評被害に遭って困っているし、短期的な利益を求めて空売りしておいてその後利益を上げるという動きが起きている。とりわけリベラルが強いドイツの人権派が許容できない絵を見せられたら…ということをアメリカの最強硬派は望んでいるし、だから中国は人民解放軍を入れることを怖がっている」。

 これに対し、近藤氏は「金融センターという意味では、中国から見ると3年前の6月にイギリスがブレグジット(EU離脱)を決めた。あの時点で香港の価値が落ちたし、10月末にブレグジットが行われれば、香港の価値は一気に落ちる。アメリカが香港人権・民主主義法案というものを作ろうとしていて、これができれば1983年にできた1ドル=7.8香港元のペッグ制が崩れる可能性がある。そうなれば香港元は紙屑のようになる。この2点で、香港の金融センターとしての価値は相当揺らいでいると見ている」と指摘した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶動画:堀氏とキセキミチコ氏による現地映像と議論の模様(期間限定)

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