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(遠藤、イケメン相手にEXTREME級王座を奪取したHARASHIMA。気力体力ともに衰え知らずだ)

 11月3日開催のDDT両国国技館大会、そのメインイベントでは、KO-D無差別級とDDT EXTREME級のダブルタイトルマッチが行なわれる。

 KO-D無差別のチャンピオンは竹下幸之介。現在のDDTを代表するトップ選手で、7月の大田区総合体育館大会で4度目の戴冠を果たした。対するEXTREME級王者は、9.29後楽園大会での王座戦を経て、HARASHIMAに決まった。HARASHIMAはキャリア18年、DDTを初期から引っ張ってきたベテランだ。

 両者は2017年3月、さいたまスーパーアリーナでの旗揚げ20周年記念大会でも対戦。ここで新世代の竹下が勝ち、KO-D無差別級のベルトを巻いて世代交代を果たした。ここから竹下は1年以上にわたりタイトル防衛、第一次全盛期を築いている。

 DDTのトップであることを誰もが認める存在になった竹下。今回のタイトルマッチは、ベテランが新世代のエースに挑むというこれまでにない構図となった。

 9月29日の後楽園ホール大会、HARASHIMAはEXTREME級タイトルマッチで黒潮“イケメン”二郎、遠藤哲哉とサバイバル3WAY形式で闘い、ベルト奪取とともに両国メイン進出を決めた。

 3人同時対戦、最後の1人になるまで闘う試合形式は、かつて両国大会でケニー・オメガ、木高イサミ相手に経験済みだ。HARASHIMAの試合運び、勝負どころを見極める勘はさすがというしかなかった。20代のイケメン、遠藤と真っ向から渡り合い、どちらも得意技・蒼魔刀で沈めている。

 竹下とHARASHIMA、両国国技館では勝ったほうが二冠王となる。HARASHIMAがベルトを巻き、両国メインを決めたことに「一番意外な結果」と竹下。「2年前のさいたまスーパーアリーナでHARASHIMAさんからベルトを獲って時代が動いた。今は二冠王になることしか興味がない」という言葉も。もはや“竹下時代”が脅かされることはないという自信の表れだ。

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(ベルトにしか興味がないという竹下だが、心境に変化も)

 だがHARASHIMAは、結果を残して竹下と対峙している状況を「これが現実だから」。竹下の実力は認めつつ、衰えたり時代を譲ったりした気はまったくない。この日、腰を傷めた状態でリングに上がった竹下に対し、自分のストロングポイントを「ベストコンディション」だと語ってもいる。

「チャンピオンならいつでも万全の状態を見せないと。さいたまの後、ボクが一度でもケガや病気で欠場しましたか? 足を引きずってリングに上がったことがありますか? そういう部分では絶対に負けてない」

 10月6日の札幌大会では、KO-D6人タッグのベルトをかけて対戦した両者(竹下&勝俣瞬馬&飯野雄貴vsHARASHIMA&上野勇希&吉村直巳)。飯野が吉村をファールして竹下組の防衛となったが、竹下はツイッターで「今日の試合で僕目線の最近のHARASHIMAさんの印象がすごく変わった」と記している。

 両国まで前哨戦を重ねる中で竹下とHARASHIMAがどんな闘いを繰り広げ、それが両者の力関係にどう影響するか。いま現在の印象で言うなら、久々のトップ獲りに臨むHARASHIMAの充実ぶりは最高潮。2年半という“タメ”の期間が強さと恐さにつながっているように見える。守るHARASHIMAではなく攻めるHARASHIMAは、竹下にとって初体験のはずだ。

文・橋本宗洋

写真/DDTプロレスリング

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