10月13日、両国国技館で開催されたONE Championship「ONE: CENTURY 世紀」に参戦した平田樹が、日系ファイター、リカ・イシゲ(タイ)に2ラウンド、アームロックで1本勝ち。格闘リアリティ番組「格闘代理戦争」出身の日本期待の女子ファイターが、日本開催の大会でも圧倒的な力と勢いを見せつけ、ONE参戦で2連勝を飾った。
「格闘代理戦争3rdシーズン」の優勝者として総合格闘技歴わずか1年で、世界的なMMA大会への契約を掴んだ平田。その対戦相手はリカ・イシゲだ。日本にルーツを持つ日系タイ人ファイターで愛らしいルックスから「タイニー・ドール」の愛称で人気の選手。ムエタイや柔術などをベースに確かなサブミッション技術と実力を持ち主である。
実質的、日本人対決となるカードに、平田は大会前から「アイドル系には負けられない。勝ったら世代交代だ」と、モデルと兼業のルックス良さでも注目度の高いイシゲにライバル心を燃やしつつ、デビュー2戦目に向けて気合も十分だった。
キャリア的には一日の長のあるイシゲとの対戦。試合は伸び盛りの20歳、平田が一方的に攻める展開になった。1ラウンド序盤、平田の右の強烈なフック一撃がイシゲを捉え倒れたところにパウンド。あと一歩でフィニッシュまで追い込むが、テイクダウンされたイシゲも下から腕をとって十字を狙い抵抗する。
平田もヒザ、サイドポジションから荒々しいパウンドと攻撃の手を緩めない。防戦一方のイシゲに容赦なく鉄槌を振り落とすが、余力のあるイシゲも柔術仕込みの防御で粘りを見せ、このラウンドを乗り切った。
2Rに入っても平田の積極的な攻撃は続く。再び右、ボディと打ち込みイシゲをテイクダウン。寝技での攻防で平田が、デビュー戦同様V1アームロックで再三フィニッシュを狙う。再びスタンドの攻防でも平田が右ストレートを当て倒し、サイドポジションから最後は平田が体を回転させ、首を両足で固める(通称、洗濯バサミ)体勢から、腕を真っ直ぐ伸ばしきりアームバーでイシゲからタップを奪った。
2戦連続鮮やかな1本勝ちを決めた平田だが、試合後は「試合一つ一つ勝たないといけないと思い臨んでいます。本当は打撃でKOしたかったんですけど、また寝技になっちゃいました、すいません」と、あくまでスカ勝ちフィニッシュへのこだわりをのぞかせた。
ランク制度のないONE Championshipだが、平田にとって女子アトム戦線の中堅選手イシゲを撃破したことで、タイトル戦線へ向けてまた一つステップアップするための重要な試合をクリアした。急速なスピードで成長を遂げる「Japanese Phenom(日本から来た天才)」、次戦に向けてさらなる期待が高まる快勝だった。
写真/井賀孝
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