かねてよりラジオ番組を持つのが目標だと語っていたテレビ朝日の弘中綾香アナウンサーは今年4月、局の垣根を超え「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)にゲスト出演し大きな反響を呼んだ。7月末には冠番組「ひろなかラジオ」(AbemaTV)をスタートさせ、フルスロットル・等身大の姿でトークショーを繰り広げ視聴者の心を掴むと、8月末日には「弘中綾香のオールナイトニッポン0(ZERO)」(ニッポン放送)で念願のパーソナリティも担当。局のアナウンサーとしては異例の展開となった。
アナウンサーという職業は、”仕事は台本通り話せばいい”という側面もある。しかし、弘中アナはこれらの番組ではすべて自分の言葉で視聴者に思いを伝えてきた。そんな弘中アナの発言は、時に”毒舌”と評されることもあるが、世間から批判されること・共感されないことへの恐怖を感じることはないのだろうか? 今の本音を聞いた。
少数派の人の心に届けばいい
--ラジオなどの原稿がない現場でトークを繰り広げている弘中アナは、なんとも生き生きとしているなと感じました。
弘中アナ:ふふ(笑)。ありがとうございます。
--主にトークだけをメインとする番組収録は楽しかったですか?
弘中アナ:そうですね。自分の内面にあるものをアウトプットすることは素直に楽しかったです。
--自分のパーソナルな部分を発信する一方で、共感を生まない恐怖みたいなものを感じることはあるんでしょうか?
弘中アナ:もともと、共感されたいなんて思ってないんですよ。
--弘中さんの芯の強さを感じる言葉ですね。
弘中アナ:そうですか(笑)? でも共感を自ら求めにいっちゃうと、ものすごく一般論になっちゃうと思うんです。マジョリティーの人が「Yes」と考えることがイコール「共感される」っていうことだと思うんですけど、それに対して私は”こういう考えもあるよね”という違う角度からの見方を発信する立場でありたいと思っています。
--なるほど。
弘中アナ:全員が全員、大勢の意見に賛同しているわけではなくて、むしろ”賛同できないんだけどどうしよう”とか、”私、同じ考えをしていない…困ったな”とか、そういう思いに悩んでいる人って割とたくさんいると思っていて。そういう潜在的な人に対して、「こういう考えもあっていいんじゃないの?」と言葉を投げかけるスタンスでいたいんです。少数派の人の心に届けばいいなというか。
自分にしかできないことを抑えて生きたくない
--仕事をする上で心がけていることはありますか?
弘中アナ:自分に対してだと”無理はしないこと”ですね。無理をしたら長続きはしないですから。
--好きな女性アナウンサーランキングでは2位にランクインして、”テレビ朝日のエースアナ”という期待も当然受けると思うんです。でも、今の弘中さんはただただアナウンサーとしての王道を邁進するだけではなく、ド派手にコスプレをしてみたり、ニッポン放送のラジオ番組に出演してみたりと、すごく伸び伸びと仕事をされてますよね。
弘中アナ:そうですね。もちろんいただいた仕事に関しては、期待されてオファーしていただいてると思います。それに応えようとはしているんですけど、自分に対してはあまり高いハードルや決まったレールを設定しないようには心がけています。
--過去、番組の中で「つならない大人になりたくない」という発言もありました。弘中さんにとって”つならない大人”とは?
(※「ひろなかラジオ」#16の中での発言)
弘中アナ:凡庸というか、個性よりも協調を重んじるというか、そういう存在ですね(笑)。そういうのってすごく画一的じゃないですか。つまらないな~と思っちゃう。”大人になる”って言い換えると”丸くなる”ってことだと思っています。それも良いことだと思うんですけど、私は自分にしかできないことを抑えて生きたくないんです。
ありのままの姿でお喋りすることができた
--AbemaTVでは期間限定ながら「ひろなかラジオ」という冠番組を配信して、弘中さんならではの雰囲気を作りあげていましたね。
弘中アナ:「ひろなかラジオ」は、お互いのことを元々よく知っている作家さん・スタッフさん5名くらいの少数精鋭で作っていった番組です。でも、作るというか、雑談の延長みたいな感じが正直なところというか。「今日、何話しますぅ?」みたいなノリから、収録も始まるという(笑)。でもだからこそ、変に気負わずやることができました。私もあまりカメラを意識しない・ありのままの姿でお喋りすることができたのかなと思います。
--中でもゲスト登場回は、そんな雰囲気でしたね。
弘中アナ:そうですね。特にマンボウやしろさん(演出家)とか、山本雪乃ちゃん(テレビ朝日アナウンサー)、林美桜ちゃん(テレビ朝日アナウンサー)は仲のいい人たちなので、そんな感じだったと思います(笑)。居酒屋や部室の延長だったと言えるかも。
--伝えることができてうれしかったエピソードはありますか?
弘中アナ:雪乃ちゃんや美桜ちゃんは私とアナウンス部の先輩・後輩の関係で、私特有の先輩としての強い接し方もあったと思いますけど(笑)、テレビでは見ることのできない彼女たちの魅力を引き出せたんじゃないかなと思います。私の高校時代の友達からも「あの子たちおもしろかったね」って言われました。あっ! あと、X1(韓国のアイドルグループ)への思いを語れたのは良かった!
(指ハートポーズをとってくれた弘中アナ)
--すごい熱量でしたよね(笑)。同じファンの方から大反響を呼びました。
弘中アナ:大好きなX1の魅力をお話しすることができて楽しかったです。伝えきれなかった部分もあったかもですけど。
こういう方が世の中ですごいと言われる物事を成し遂げる
--研究助手として出演されてる「激レアさんを連れてきた。」(テレビ朝日)の中で、弘中さんが特に印象に残っている激レアさんは誰ですか?
弘中アナ:最近だと、ロボットの研究に没頭してしまって(2019年8月17日放送回)、食事することも忘れて体重が40kg台になってしまった男性の方がいらっしゃったんです。ロボットのことを考えていると寝食のことを忘れてしまう…それを無意識でやってしまうという方でした。私はそういう集中力がそこまでないタイプの人間なので「ああ、こういう方が世の中ですごいと言われる物事を成し遂げるのね」と感じました。面白かったです。
--「激レアさん」って生き様がかっこいい方がたくさん登場しますよね。
弘中アナ:そうですね。好きなことに没頭できて、それが仕事として身を結んでっていう。すごく素敵な社会への貢献の形だと思います。
--収録を重ねる上で番組への思いは強くなったりしてますか?
弘中アナ:番組に登場してくださる激レアさんたちって、アプローチ方法が違うだけで、「激レアさん」にもなるし、「セブンルール」に出演される方になったり、「カンブリア宮殿」に出る人にもなったり…。いろんなプレゼン方法があると思うんです。そんな中、私たちができることは、激レアさんを「激レアさん」流のアプローチで、丁寧に紹介することだと思ってます。
--”キチンと取材をして”というか。
弘中アナ:うん。短い時間でも、激レアさんの人生にできる限り寄り添って、事実に基づきながら楽しいプレゼンができればと、日々やっています。
--最後にひとつ。さまざまな番組での弘中さんの姿をいち視聴者として観ていると、人を笑顔にさせたい欲が強い人なのかなと感じるんです。
弘中アナ:ええ~(笑)? どういうことです?
--これまで取材や番組を通じて、弘中さんはエンターテイメントっていうものにものすごく力をもらってきた人なんだなと知ることができました。その上で弘中さんは面白いやり取り・言葉が思う浮かぶ人で、そしてごくごく自然体で共演者とのやり取りを楽しんで、率先して笑いを作りにいってるというか。
弘中アナ:ああ。うん、そうですね。私自身もバラエティ番組は好きですし、1日の最後は笑って終わりたいと思いながら夜は動画なんかを観ています(笑)。生きてると辛いことってあるけど、視聴者の皆さんには私が出演している番組を観ているときくらいはそういうことも忘れてほしいなって気持ちはあります。それがバラエティ番組であるならば、やっぱり”楽しかったな”って思ってもらいたいですね。
【激レアさん、アベマオリジナル企画が初登場! 中国での知名度は総理大臣並み!! 日本が誇る“アジアの大スター”蒼井そら登場で最も過激な回に!?】
■「激レアさんを連れてきた。」
<キャスト>若林正恭(研究員) / 弘中綾香アナウンサー(研究助手) / ケンドーコバヤシ(ゲスト研究員) / 蒼井そら(激レアさん)
Abemaビデオ配信開始日:10月26日(土)地上波放送直後~
AbemaTV放送日:10月27日(日)22:00~23:00
URL: https://abema.tv/video/title/87-13
--弘中綾香アナウンサー コメント--
番組当初の過激な「激レアさん」を懐かしく思う方だったり、初めて「激レアさん」を観る方も”こんな変わった人がいるんだ”と発見してもらえるような、地上波には流せないAbemaならではの内容にできたらなと思います。