芸人の肩書きを持ちながら、凄腕の探偵として活躍する人材がいる。実はお笑いコンビ・オオカミ少年の片岡正徳は、芸人だけの活動だけでなく、探偵業も営み、その腕の良さから芸人仲間や業界人からの依頼が絶えない状況。しかも、彼の肩書きはこれだけではない。
地方創生問題に本気で取り組むべく、慶應義塾大学大学院で研究員として在籍し、さらには構成作家としての顔も持つ。つまり片岡には4つの肩書きがあるのだ。しかし、なぜ片岡は芸人とは真逆とも言える“探偵”になろうと思ったのか。その素顔を語ってもらった。
▲クセ強め男女7人の恋愛旅!「ときめきトラベル」MCのオオカミ少年・片岡正徳
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こんにちは片岡正徳です。僕は普段オオカミ少年というコンビを組んで芸人をやらせてもらっているのですが、それと並行しながら探偵事務所も営んでいます。そうするといろんな人から「どうして芸人をやりながら探偵?」と聞かれるので、今回はなぜ僕がまったく業種の異なる職業に就いたのかを説明していきたいと思います。
僕は、なんとなくテレビや映画の影響を受けて「探偵ってかっこいいな」と思っていました。そんなある日、原宿を歩いていると探偵学校の看板を見つけたので、すぐに電話をしたんです。
するとその当時はまだ探偵という職業が世間的にはグレーな印象があり、実際に会ってみると「片岡さんみたいな芸人の方がマスコットになってくれると、探偵業界も盛り上がります」と言われ、思いの外、歓迎されたのです。当時はライブで使うネタ探し的な意味もあり、探偵養成学校に通うことになりました。もちろん月謝は毎月しっかり支払っていました。
いざ入学してみると探偵の授業は超ガチ。盗聴の授業ではヘッドホンをつけて仕掛けられた盗聴器を探したり、街に出て先生をターゲットに見立てた尾行の練習も行いました。尾行っていうのは1人で行うことはまずなくて、何人かでフォーメーションを組んでやるものなんです。たとえば1人は対象者に近づいて、もう1人は少し距離を置いてカメラで証拠を撮る。さらにもう1人は遠くにいて全体を監視するみたいな。
以前、ターゲット役の先生を尾行する授業があって、先生の入った喫茶店の出口が2つあったので、2人でそれぞれの出口を塞いだのですが……。そしたらいつまで経っても先生が出てこないのでおかしいなと思ったら、実はその喫茶店には3つ目の出口があって。僕ら生徒は完全に先生を見失ったんです。それで先生に連絡を入れると「まだまだですね。またアルタ前からスタートです」と厳しいお言葉をいただきました(笑)。
尾行の授業中にラブホ前で後輩に目撃され…「そうじゃないから!」
また、尾行の続きで途中でその先生が女性の先生と新宿のラブホテルに入るシチュエーションがありました。なので、僕は女性の生徒とカップルを装って、同じラブホテルに潜入したんです。でも場所が新宿ということは、その近くによしもとの劇場もある。
そこで、ちょうどその場面を後輩芸人に見られていたんです。会ったときに「あ、大丈夫ですよ! この前ラブホテルの近くで見たことは内緒にしておきますから♪」と言われて。「いや、そうじゃないから!」となったこともありました(笑)。
あと、あまり知られていないのですが僕は構成作家としても活動していて、そのきっかけとなったのがあるディレクターさんとの再会なんです。僕は25歳でよしもとに入ってラッキーなことに最初からわりとテレビに出させてもらっていました。ただ、30歳を過ぎたあたりから「ちょっと仕事減ってきたな」と感じるようになっていたとき、昔お世話になっていたディレクターさんとたまたま再会して、僕は純粋にその人の話が面白くて芸人としてタメになるから毎日のように一緒に遊んでいたんでいたんです。
現場に行くと「爆笑問題さんのドッキリ企画だった」
するとある日「片岡みたいな奴がまだアルバイトをしないと生活ができないのはおかしい」と言われて。そのまま連れていかれたのが爆笑問題さんのドッキリ番組の作家会議でした。これだけでもビックリなのにさらに続けて「おまえ、今日から構成作家やれよ」と言われて、本当にまったく想像もしていなかった構成作家見習い的な日々が始まったのです(笑)。
構成作家見習い的な仕事にも慣れてきたある日、芸人として地方に営業に行くとイベントの内容をどうするかでスタッフさんが話し合っていました。そこでさりげなく僕が「こことここを変えてみたらどうですか?」と言うと「すごくいいです! 次もお願いします!」となり、そこから本格的に構成作家としてのギャラも入ってくるようになりました。