秘書が地元有権者に2万円の香典を渡した疑いが『週刊文春』に報じられ、25日に経済産業大臣を辞任した菅原氏。辞任の理由について菅原氏は、「現在、私の地元の政治活動に関して様々な報道がされているが、今日から各委員会も本格化して動き出す中で、私の問題に関して国会が停滞する、法案審議ができないのは本意ではない」と説明した。
公職選挙法では、地元有権者に香典を渡す行為は政治家本人が渡す場合を除いて原則、寄付行為にあたるとして禁じられている。また、菅原氏は2006年から2007年にかけて、地元選挙区の支援者に「メロン」「カニ」などの贈答品を配った疑惑があり、国会で追求を受けていた。
菅原氏は24日、「明日の国会で説明する」と述べ、ブログでも「一歩ずつ日本のためにやるべきことをつとめていく」と続投を思わせる投稿をしていたが、なぜ急転直下の辞任となったのか。テレビ朝日政治部官邸キャップの吉野真太郎記者は次のように指摘する。
「安倍政権はもう7年になるが、閣僚の疑惑に対する方針は一貫している。まずは自分で説明すること、そして説明できなければ更迭。今回は贈答品のリストが出ていたが、それが本物かどうかも含めて官邸は『まずは説明してみなさい』というスタンスだった。今週になって報じられたのが香典で、これは永田町関係者なら“いろはのい”のような問題だが、あろうことか秘書が持って行ったことが証拠とともに報じられた。これで空気が一変し、一気に更迭の流れになった」
菅原氏の辞任は更迭だと指摘する吉野記者。これまでの事例と共通する部分があるといい、「更迭が発表された時には後任も決まっているということ。菅原氏が安倍総理に辞表を提出して官邸を後にしたのは午前8時半、そして後任の梶山氏が官邸に呼ばれたのはその8分後で、あまりにも用意周到。あくまでも菅原氏に“一晩考えて自分で決めた”という形を整えてあげたのでは」との見方を示す。
さらに、背景には関西電力の金品受領問題もあるとし、「経済産業省は電力業界の監督官庁で、関西電力の問題を徹底的に調査して是正する立場にある。そのトップの経産大臣がカネの問題を抱えているというのは示しがつかない」と指摘した。
また、政治ジャーナリストの細川隆三氏は「『カニ』や『メロン』で叩かれていて、一番気を付けなければいけない時に、香典問題。永田町の常識からすれば想像を絶すること」と苦言を呈しつつ、「安倍内閣の身体検査はそんなにガチガチではないことが見て取れる。一番厳しかったのは小泉内閣で、永田町の噂話レベルでも閣僚にはなれなかった。今回、メロンだカニだという噂が耳に入っていたとしても、かなり前の話なので乗り切れると思ったかもしれないが、香典の話が事実なら完全にアウト。ブログには『自分で説明する』と書いていたが、辞任したのでしないだろう」と懸念を示す。
一方、こうした秘書の活動が当たり前になっていたのかという疑問には、「良い事務所は古参の秘書がいて、事務所の統率を取る。菅原氏にそういう方がいたというのはあまり聞かないが、もし今回のようなことが日常的に行われていたとしたら、菅原氏は秘書を教育・指導しないといけない。それがまったくできていない」と指摘した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
▶映像:菅原氏辞任に選挙区の住民「情けない」
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