東京女子プロレスのインターナショナル・プリンセス王者になったばかりの伊藤麻希が、さっそく勢いづいている。次の大舞台は11月3日のDDT両国国技館大会。ここで伊藤はイギリスの人気選手クリス・ブルックスと組んでガントレットタッグ戦に出場する。
ブルックスはレスラーであると同時に超がつくほどのプロレスマニア。前回の来日時も連日、さまざまな団体を観戦していた。その中の一つが東京女子プロレス。伊藤と意気投合し「NEO伊藤リスペクト軍団」に加入することとなった。あくまでリーダーは伊藤である。
チャンピオンとして初の試合となった10.26東京女子プロレス板橋大会では、伊藤は上福ゆき、らくと組んで快勝。堂々とした試合ぶりからコミコルな要素、安定感のある「伊藤スペシャル」でのフィニッシュと、成長している姿を見せた。またこの試合では上福とらくが伊藤リスペクト軍団のTシャツ着用でリングに。「新伊藤リスペクト軍団」としてメンバー増殖効果もあっての勝利だったと言える。
が、試合後の上福は「ビジネスなんで」とらくともどもTシャツをアッサリ返却。Tシャツを持ったまま涙目になるしかない伊藤だったが、しかしただでは転ばないのだった。
「伊藤にはNEO伊藤リスペクト軍団があるし!」
そう言うと観戦中だったブルックスをリングに呼び込んだ。2人は11月2日の両国前夜祭イベントでの試合で初タッグを披露する予定だったが、前倒しでのサプライズお披露目だ。まだ試合はしていないとはいえ、コンビネーションは文句なし。ブルックスは上福が脱ぎ捨てたTシャツを着て伊藤への忠誠をアピールし、ガッチリ握手すると伊藤も満面の笑み。「世界一可愛いのは?」、「伊藤ちゃん!」のコール&レスポンスで試合を締めた。
(「新伊藤リスペクト軍」は勝利したものの即解散)
インタビュースペースでも2人でコメント。「我々はいいチームになる。間違いなく勝てるね」と言うブルックスは、伊藤のリクエストに答えリスペクト軍の入場曲「セツナイロ」のダンスも教わることになった。両国では伊藤&ブルックスの入場ダンスが見られそうだ。もともと「セツナイロ」は伊藤が所属する福岡のエンタメグループ・トキヲイキルの曲。それを“スモウアリーナ”でイギリスのレスラーが踊るのだからプロレス界はなんでもありだ。
その後もツイッターでファンに「SEKAIICHI KAWAII NO WA...?」と呼びかけるなど、ブルックスはノリまくっている。伊藤は世界進出をテーマに掲げているだけに、このパートナーはとてつもなく心強い。なにしろブルックスは、新日本プロレス参戦も噂されたほどの選手なのだ。そんなブルックスを“従える”のはアイドルグループを「クビ」になった過去のある女子レスラー。大変な事態である。
両国大会の先、11月16日の名古屋大会では、伊藤がインターナショナル王座の初防衛戦に臨む。挑戦者は東京女子プロレス初参戦のナイトシェイド。同じイギリスの選手ということでコメントを求められたブルックスは「イージー」と伊藤の楽勝を予想した。異なる国の選手、なおかつ男女タッグというのはかなりレアだが、期待感は膨らむばかり。DDT両国とその前夜祭は“世界規模”のチームの初陣ということになるのかもしれない。
文・橋本宗洋