東京女子プロレスのリングで活躍する沙希様(赤井沙希とは別人)と操のタッグ「NEO美威獅鬼軍」は、結成以来いまだ無敗の快進撃を続けている。
DDT全ブランドが集結する11月3日の両国国技館大会では保持するプリンセスタッグ王座の防衛戦を行なうが、2人の眼中に挑戦者はいない。自分たちにふさわしい相手が見当たらないため、挑戦表明してきた辰巳リカ&渡辺未詩と仕方なく闘うだけだという。できれば、試合の時間に国技館で舞踏会を開催したかったというからさすがは美軍である。
両国に向けての最後の試合、調子を見る上で大事な機会でもあった10月26日の東京女子・板橋大会でも、美軍は舞海魅星&鈴芽の新人コンビに快勝。キャリアの浅い相手の全力をしっかり受け止めた上で、最後は抜群のコンビネーションから操が鈴芽を仕留めた。
チームとしては沙希様が“主”で操が“従”なのだが、操がフィニッシュすることが多いのも美軍の特徴。戦力に偏りがないから、相手にとっては攻略しにくい。
防衛戦に向け、チャンピオンは盤石の態勢。一方の挑戦者コンビは板橋大会のメインイベントに登場した。坂崎ユカ&辰巳リカ&渡辺未詩vs中島翔子&山下実優&乃蒼ヒカリの6人タッグマッチ。中島と坂崎はシングル王座戦に向けての前哨戦、タッグ歴の浅いリカと未詩にとってはチーム力を高めるためのいい機会だった。
(未詩はソフトボール部出身。バッティングフォームからのダブルハンマーを決め「ナイスバッティン!」)
テーマをはっきり意識していたからだろう。リカと未詩は坂崎ともども序盤から好連携を見せる。勝負どころでは、未詩がカナディアンバックブリーカーで担いだ相手にリカがツイスト・オブ・フェイト(回転式)という合体技も初披露した。また前シングル王者である山下に対し、未詩が真っ向勝負で互角に渡り合う姿も目立った。
試合は坂崎がヒカリをフォールして勝利。シングル、タッグの各挑戦者が弾みをつけた形だ。唐突な感もあったリカと未詩が組んでの挑戦だが、ここにきて王座戦にふさわしいタッグに仕上がったと言っていい。
リカは「逆転ホームランを打ちます!」とファンにアピール。精神的にも好調だ。美軍の牙城はあくまで強固だが、王座奪取の機運が高まってきていることは間違いない。
文・橋本宗洋