11月8日フィリピン・マニラで開催されたONE Championship「ONE:MASTERS OF FATE」に出場したロビン・カタラン(フィリピン)がグスタボ・バラート(キューバ)と対戦、衝撃の右ハイキックでカタランがKO勝利を収めた。
13人兄弟のうち4人がONEの契約選手というフィリピンを代表する格闘一家で知られるカタラン兄弟。この大会でもメインイベントに兄のレネ・カタランが控えるなか、弟のロビンが先陣を切った。
一方、対戦相手のバラートは、小柄ながら筋骨隆々な肉体を持つ元ロンドン五輪のグレコローマン・レスリング・キューバ代表。MMA仕様に仕上がり打撃センスも高く、ペースをど返しの振り回す打撃が良くも悪くもトレードマークになっている。4月のフライ級トーナメント1回戦では、日本の和田竜光を最後まで苦しめた。
1ラウンド、序盤から激しい打撃戦となったこの試合。組みが得意なバラートだが、強気な姿勢でカタランに打ち合いを挑む。バラートの組んでからの強烈なヒザを何度も浴びるカタランだが、首相撲ではレスリング選手と互角の勝負。スタンドではペースを顧みない派手な打ち合いが続く。
2ラウンドに入っても両者激しい殴り合い。バラート怒涛の攻撃を、冷静にカタランがいなしながらローを叩き込み静観し、多彩なキックで試合を組み立てる。再びバラートがテイクダウンを奪うが、やや失速ぎみかあっさりと立たれ体を入れ替えられる。
再びスタンドの攻防、明らかにスタミナ切れのバラートにカタランの強烈なミドル、それでも前に出るバラート。アグレッシブ一辺倒のスタイルを貫きながらもガードは徐々に下がる。やや散漫になったガードを狙いすましたように、強烈なカタランの右ハイ。攻めに攻めたバラートが前に倒れたまま失神。
余りの壮絶なKO劇。解説でも語られた通りUWFインターの高田延彦vs北尾光司戦を彷彿とさせる戦慄のハイキックだ。一方惨敗を喫したバラートだが、小柄な体を振り回して、体力が切れるまで真っ向打ち合う向こう見ずなファイトスタイルは、もはや彼の魅力として「ONEの名勝負製造機」というイメージを決定付ける試合となった。敗れ方が壮絶だからこそ、また見たいファイター。グスタボ・バラートの次戦も間違いなく面白い試合になるだろう。