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 こんにちは。青木真也です。爆児です。

 11月17日、爆破甲子園で大仁田厚と闘ってきましたよ。爆破して爆破される「絵になる試合」となったわけですが、ダメージ大で「爆破ふざけんな」が正直なところであります。総合格闘技の現役のトップ戦線にいて、プロレスをやるだけでも個性派とされるのに、電流爆破までやる青木真也の振り幅はどうなってんだよ。さすがに試合前は軽受けした自分を悔いたのだけれども、後の祭りではあるし、爆破バットに爆薬を仕込むスタッフから伝わる緊張感に危険性を感じました。本当に無事でよかった。笑い事じゃなく、事故が隣り合わせなんだぞ。

 高校時代に熱狂した大仁田劇場。テレ朝・真鍋由アナウンサーとのやりとり、長州力戦への流れで熱狂した世代としては大仁田厚は特別な存在です。まさかこうしてリングの対角に立てるとは思いもしなかったです。ただ対戦相手となったら憧れの気持ちは捨てて一人の対戦相手だ。自分が日々を懸命に働いて、憧れていた人と仕事をするのはどんな仕事でも喜びの瞬間です。オレが言いたいのはこういうこと。

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 試合を終えて感じるのは大仁田厚の凄さだ。

 試合後に控え室で「オレは邪道って呼ばれるけれど、しっかりとしたプロレスができるんだ」といった主旨のことを言っていました。この言葉に全てが詰まっているように僕は感じて、大事なことを改めて教えていただいた気がしたのです。さすがだ大仁田厚。

 爆破試合は爆破で盛り上がる側面が強いので、麻薬的に爆破に頼ってしまう側面があるのではないかと思っていました。格闘技でもプロレスでも基本の動作をしっかりとやれることが強さであるし、それが厚みだと思っています。基本的な動作を大事に、日々をコツコツ積み上げていくことを忘れてはいけないのだと思います。安易に盛り上がる試合や、安易に流行りの技に逃げてはいけない。

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 自分がファンで見ていた時代の選手と仕事をさせてもらうことがあるのですが、ファンで見ていた時の気持ちが変わることなく好きでいれる選手とそうでない選手が存在します。大仁田厚は試合をする前も試合をした後も大仁田厚で最高でした。ありがとうございました。

 もう直ぐ12月で今年も最終盤です。ここからラストスパートをかけるのか、のんびりやるのかは人それぞれだとは思いますが、焦ってもいいことないですし、だらけてもいいことはないです。変わらずコツコツ淡々とやりましょう

文/青木真也(格闘家)

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