11月16日に開催されたONE Championship北京大会「ONE:AGE OF DRAGONS」で、ムエタイのレジェンドであるヨドサンクライ・IWE・フェアテックス(タイ)が、初参戦のベテラン選手ジャマール・ユスポフ(ロシア)に衝撃のKO負けを喫した。
ONEを舞台に「ムエタイvs欧州キック」の食うか食われるかの戦いが繰り広げられているスーパーシリーズ。独自の判定基準、オーブンフィンガーグローブでの打撃戦に、最強と目されるタイ勢に対して欧州勢が一矢報いるシーンも増えてきた。
タイで最も人気のある200勝男「THE HERO」ことヨドサンクライ。ONEの初陣となった3月大会では日本でもお馴染みのアンディー・サワーに鮮やかなKO勝ちを収め格の違いを見せつけたが、続くキックボクシング・ルールでは欧州の刺客・サミー・サナ(フランス)に判定負け。3戦目は自身のフィールド、ムエタイルールで復帰戦に臨んだ。
1ラウンド、大柄でリーチに勝るユスポフだが、ヨドサンクライのハイキックで額をカット、さらに強烈なミドルをボディや右腕に被弾してペースを握られる。ユスポフもジャブで反撃に出るがヨドサンクライの重い打撃に圧倒される形でラウンドは終了。
2ラウンド、再び強い左ミドルを放つなど流れはヨドサンクライと思われたが、ここでユスポフの逆襲の左ストレートが顎を捉えると、ヨドサンクライがまさかのダウン。スリップ気味に見えたダウンシーンだったが、試合再開後もヨドサンクライの動きは鈍い。ユスポフが冷静に左右のストレート連打から左フックを叩き込むと、ムエタイのレジェンドが前から崩れ落ちた。
前回のサナ戦のようにキックボクシング・ルールでの敗戦はあるものの、ムエタイルールでヨドサンクライが敗れたのは実に10年ぶりのこと。34歳とキャリア後期を迎えているとはいえ、200勝の伝説の男を持ってしてもオープンフィンガーグローブでの殴り合いは予測不可能。独自のスタイルを持つONEスーパーシリーズで苦戦が続いている。
ONE初登場で思わぬ伏兵となったユスポフだが、長いキャリアでの戦績はこれで52勝9敗。キックボクシング、ムエタイの垣根を越えたチャンピオンズ・リーグにまた1人注目の選手が登場した。